日頃から心身のコンディショニングに気を配っているサッカー選手は“おうち”でどのように過ごし、どのようなことを考えているのか。緊急事態宣言下で迎えるゴールデンウィークに合わせて、選手たちの日々の生活におけるちょっとした工夫やアイデアを紹介します。第4回はガンバ大阪に所属する東口順昭選手が登場。自主トレーニング、“おうち”での過ごし方、リーグ再開後の展望などについて語っていただきました。


取材・構成=山本剛央

写真提供=東口順昭



◆■洗濯(08:00〜08:30)


今のこの状況になる前からですが、朝起きたらまずは洗濯をします。洗濯機を回している間に子どもとサッカーをしたり、朝ごはんを食べたりして、その後に洗濯物を干すのがルーティン。子どもが脱いだ服はしょっちゅう裏返しになっていますが、もちろんちゃんと直してから洗います(笑)。こだわりというか、ポイントは干し方です。服の向きをキレイにそろえて等間隔で干していく。かつ、美しく乾くように工夫しながら干す。そういうゲーム性を含めながらやれば楽しくなるし、自分の思いどおりにキレイに乾けばやっぱりうれしいので(笑)。




◆■自主トレーニング(09:00〜10:30)


チームから課されているメニューをこなしつつ、それとは別で自主トレもしています。外に走りにいったり、自宅で筋トレをしたり。パーソナルトレーナーの方とオンラインビデオをつないで、映像を観てもらいながらメニューを組んでもらったりもしていますね。あと、ガンバのGKコーチ松代(直樹)さんとは座学のようなこともしています。ある試合の失点シーンの映像が送られてきて、「GKとしてどういう対処をすべきだったか?」を考えてレポートを松代さんに提出し、フィードバックをもらうという内容。もちろん、気づきや学びはたくさんあるし、頭の準備というか、GKの個人戦術を養うという意味でもすごく有意義になっています。




◆■料理(12:00〜13:00)


この自粛期間中に始めたことの一つが料理。すでに2本の動画もアップしました(オフィシャルLINEブログから閲覧可能)。「普段やっていないから、やってみようかな」という軽いノリで始めたけど、やっぱりめっちゃ難しいですね……。公開した動画ではクッキーとだし巻き卵に挑戦。それ以外にもパスタを作りましたが、「パスタが美味しくならないわけがない」と思っていたのに、結果は大失敗(苦笑)。茹で時間が長かったし、パスタソースの缶を茹で上がったパスタにそのままかけてしまい……。熱いパスタと、冷たいソース、「そりゃあ美味しくないよな」と。料理は作るだけじゃなく、メニューを考えたり、買い出ししたり、後片付けしたり……「ホンマ大変やな」と痛感しました(笑)。



――今回は「おうちWEEK」と題した企画の一環として、自宅でどのように過ごしているのか詳しく聞かせてください。ガンバ大阪の選手の皆さんは3月28日から自宅待機となり、すでに1カ月以上が経過しました。率直に今の心境はいかがですか?


東口順昭(以下、東口) 正直、ちょっと自粛疲れしてきたかなとは感じています。もちろん、みんなとサッカーができないし、外食もできない。それにリフレッシュする方法も限られていますからね。今は新型コロナウイルスが1日でも早く収束してほしいと願うことしかできないし、我慢ですね。


──「サッカーができない」という意味では、東口選手は過去に大ケガをした際に長期間の離脱を余儀なくされました。その時とは心の持ちようも違いますよね?


東口 全然違いますね。しんどさは一緒かもしれませんが、ケガのリハビリ期間は外食もできるし、人とも会って話すこともできます。その時と比べて今はずっと自宅にいなければいけない。みんな同じ状況とはいえ、やっぱり難しさやストレスは感じていますね。


──そういった自粛生活の中で、プロサッカー選手としてどういうことが大事だと考えていますか?


東口 まずはやっぱり、コロナが収束するようにしっかりと自粛をすること。その上でチームの活動が再開したときに備えて、コンディションを維持することです。あとは、普通の生活ができるように、やるべきことをやるという感じですね。


──ずっと家にいることで、食生活は何か変化がありましたか?


東口 家で3食をしっかり食べているから、より一層、健康的になったんじゃないかなと思っています。食事する時間帯が毎日一緒ですし、もちろんジャンクフードは食べていないので。外食をしていたら、ついつい油っぽいものを食べてしまうこともありますが、それもないですしね。


──自粛期間を利用して体質改善に取り組んでいると言えますね。


東口 自ずとそうなっていった感じですけど(笑)。ただ、僕の場合、オフシーズンは体重が落ちてしまうんですよ。いつもより動いていないぶん、食欲が落ちがちになり食べる量も減る。それがダイレクトに体重に表れてくる。なので今は、食べる量を減らさないように意識してガツガツ食べています。


──他に何か新しく取り組んでいることはありますか?


東口 長い距離を走ることかな。これまで、あまりやってこなかったので、この期間を生かして取り組んでいます。純粋にスタミナをつける、心肺機能を鍛えることに加えて、長い距離を走るための集中力も養いたいなと。大体40分くらい走っています。


──その一方で、家で過ごす時間も増えていると思いますが、家族について新たな発見や気づきはありましたか?


東口 円グラフにも書いたとおり15〜18時は小学3年生の長男のサッカーを付きっきりで見ているんですよ。できなかったことが、どんどんできるようになっていく。リフティングもうまくなったし、そういった成長を見られることがうれしいし、楽しいですね。


──お子さんはお父さんとサッカーができてうれしいでしょうね。


東口 いやー、どうやろ(笑)。僕、結構怒るので長男はたまに泣きながらやっています。複雑な気持ちかもしれません(笑)。でも、できることが多くなっていること自体は長男も喜んでいるかなと。


──制限された毎日を過ごす中で、メンタル面で心がけていること、工夫していることはありますか? 時には気持ちが落ちてしまうこともあると思いますが。


東口 気持ちが落ちないようにするのは、なかなか難しい。落ちてしまったときは、応援してくれている人たちからのメッセージを見ますね。ブログにアップした料理動画に対してのコメントや、インスタグラムに寄せられるコメントには、すごく助けられています。「再開したら頑張ってください」など、そういう声はやっぱり励みになりますから。あと、録画していたガンバの試合を観ることでモチベーションを上げています。「あ〜、サッカーやりたいな〜!」と心から思うので。


──まだまだ先が見通せない状況ですが、Jリーグ再開後のことをイメージしたりしますか?


東口 どのような状況であれ、サッカーができることをめっちゃ幸せに感じるはず。「無観客試合になるかもしれない」、「過密スケジュールになる」などいろいろ議論されていますが、一つ言えることはどのチームも条件は同じということ。何よりもまず選手それぞれが体力、コンディションを維持することが大事。ガンバにはいい選手がそろっていると思うので、過密日程になったとしても問題はないというか、むしろプラスに働いていくんじゃないかなと思っています。


──最後に、サッカーファンに向けたメッセージをお願いします。


東口 まずは、それぞれがそれぞれの立場で今できることをやっていきましょう。サッカーをやっている子どもたちには、この期間を生かしてレベルアップに励んでもらいたい。自宅でも公園でも、一人であっても、工夫すればいろいろな練習ができます。サッカー以外の勉強や生活のことも、いろいろと考えながら過ごしてほしいなと思います。サポーターの皆さんには、Jリーグの再開を心待ちにしていただき、いざ再開されたときには溜め込んだうっ憤をスタジアムで爆発させてください。今はまだ我慢が必要ですが、お互いに頑張っていきましょう!