ここ最近、2018年に打ち上げられたNASAの系外惑星探査衛星「TESS」による太陽系外惑星発見のニュースが相次いでいますが、そのいっぽうで、10年前に公開された過去の観測データをもとに太陽系の比較的近くにある系外惑星を複数確認したとする研究成果が今回発表されました。

■太陽系の近くに5個の系外惑星を新たに発見

系外惑星「GJ 180 d」(右手前)の想像図。主星の「GJ 180 d」(左奥)や、内側を公転する2つの系外惑星も一緒に描かれている(Credit: Robin Dienel, courtesy of the Carnegie Institution for Science.)

今回、Fabo Feng氏(カーネギー研究所)らの研究チームは、太陽系の近くにある38の赤色矮星に関する観測データを再分析しました。このデータはMathias Zechmeister氏(マックス・プランク天文学研究所、当時)らによって2009年に発表されたもので、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡(VLT)を使って2000年から2007年にかけて観測されたものとなります。

最新の手法を用いたデータの再分析に、ラスカンパナス天文台、ラ・シヤ天文台、W・M・ケック天文台からの追加観測によるデータも合わせた結果、9つの赤色矮星において合計16個の系外惑星を発見・再確認することに成功しました。16個の系外惑星には、今回の研究によって初めて見つかったものが5つ含まれています。研究チームは16個の系外惑星のなかでも「GJ 180 d」「GJ 299A c」「GJ 433 c」の3つに注目しています。

今回初めて見つかったGJ 180 dとGJ 299A cは、互いによく似た系外惑星です。およそ40光年先にあるGJ 180 dは地球のおよそ7.5倍の質量を持ち、主星を約106日周期で公転。およそ19光年先にあるGJ 299A cの質量は地球のおよそ7.9倍で、公転周期は約122日とされています。2つとも地球より重く、サイズも大きいと推定されることから「スーパー・アース」に分類されています。

質量と公転周期が近い2つの系外惑星は、軌道が主星のハビタブルゾーンに位置しているという点でも共通しています。なかでもGJ 180 dについてFeng氏は「潮汐固定(※)されていない」とみており、質量こそ地球の8倍近くに達するものの、地球でみられるような生命を支えられる環境を持つ可能性を示唆しています。

※…恒星の潮汐力によって自転と公転の周期が同期した状態になること。潮汐ロックとも。

いっぽう、GJ 299A cが周回する赤色矮星「GJ 299A」は、水素の核融合を起こすに至らなかった褐色矮星「GJ 299B」と連星を成しており、褐色矮星を含む連星系における系外惑星の形成について、新たな知見が得られると期待されています。なお、GJ 299Aは閃光星(フレア星)として知られていることから、GJ 299A cの地表は地球のような生命にとってはきびしい環境となっている可能性もあります。

系外惑星「GJ 229A c」の地表を描いた想像図(Credit: Robin Dienel, courtesy of the Carnegie Institution for Science.)

■GJ 433 cは直接撮影も可能?

また、およそ29光年先にあるGJ 433 cは地球の30倍近い質量を持っており、太陽系の海王星(質量は地球の約17倍)よりも重いとみられることから「スーパー・ネプチューン」に分類されています。

誤差が大きいものの、GJ 433 cの公転周期は4000〜6600日ほどとみられています。主星から離れた軌道を描いている可能性が高く、太陽系からの距離も比較的近いことから、海王星に似た系外惑星としては初めて直接撮影できるのではないかと研究チームは期待しています。

今回発見された系外惑星候補は、惑星の公転にあわせて主星が前後左右へと円を描くようにわずかにふらつく様子を分析する「視線速度法」によって発見されました。Feng氏や研究に参加したJeff Crane氏(カーネギー研究所)は、太陽系に比較的近い系外惑星を網羅し、地球のような生命が生存し得る環境を持っているか否かを見極めたいとしています。

 

Image Credit: Robin Dienel, courtesy of the Carnegie Institution for Science.
Source: カーネギー研究所
文/松村武宏