NASAのニュースでは天文学や宇宙開発のものを聞くことが多いですが、NASAには幅広いミッションがあり、それによってドローンや自動運転といった技術の発展や数千もの新製品の開発・改良に寄与しています。そうした最新事例がNASAの「スピンオフ」(Spinoff publication)として公開されました。

スピンオフは毎年発行されていますが、2020年版ではロボット制御による外科手術への応用が期待されるコントローラー、ドローンを遠隔操縦できるツール、レーザーを使用したハイスピードカメラによる自動車・潜水艦の自動運転・操縦支援といった事例が掲載されています。より私たちの身近なところでは、健康状態を遠隔監視するシステム、スニーカーから超音速機まであらゆるものの設計に使われるスーパーコンピューター、発電所の設備の破損を防ぐガラスコーティングの技術などがあります。こうした技術は、有人宇宙飛行計画で宇宙飛行士を支援する、月や火星の探査時に探査車の破損を防ぐなどといった背景・目的から開発されたものです。技術の応用範囲は広く、医療・交通・防犯・防災・情報技術・エネルギー・工業と多岐に渡り、計50個の技術が紹介されています(フリーズドライの宇宙食もその1つです)。

また「Spinoffs of Tomorrow」という章では、息の臭いで病気を診断するナノセンサーアレイ、干ばつの程度を評価・予測するシステム、ハッカーの侵入を検知するコンピューター監視システムなど、将来に向けて企業や研究者が活用できる技術を20個掲載しています。

スピンオフは誰でも見ることができ、NASAのWebサイトに掲載されています。英語で書かれていますが写真も多く、Youtubeチャンネルもありますので見るだけでも面白いかもしれません。すぐに役に立つミッションだけが重要なわけではありませんが、技術の発展が宇宙開発や天文学に応用されるのとは反対に、宇宙開発からこれほど広範囲に技術が応用できるのは驚きですね。

 

Credits: NASA
Source: NASA
文/北越康敬