銀河全体よりも明るく輝く活発な銀河中心核「クエーサー」は、ビッグバンから10億年ほどしか経っていない初期の宇宙にも数多く見つかっています。今回、観測史上2番目に遠いクエーサーが見つかったとする研究成果が発表されています。

■地球に光が届くまで130億2000万年、太陽の15億倍の質量があるブラックホールを持つとみられる

クエーサー「J1007+2115」、通称「Pōniuāʻena(ポーニウアエナ)」を描いた想像図(Credit: International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/P. Marenfeld.)

Jinyi Yang氏(スチュワード天文台)らの研究グループは、2019年5月に確認されたクエーサー「J1007+2115」が、太陽のおよそ15億倍の質量がある超大質量ブラックホールを持つとする研究結果を発表しました。

J1007+2115の赤方偏移(※)は7.515(光が地球に届くまでの時間はおよそ130億2000万年)とされており、研究グループでは2018年に報告された別のクエーサー「J1342+0928」(赤方偏移7.54)に次いで観測史上2番目に遠いクエーサーだとしています。また、J1342+0928に存在するとみられる超大質量ブラックホールの質量は太陽の8億倍ほどとされていることから、Yang氏はJ1007+2115について「太陽の10億倍以上のブラックホールを持つ既知の天体としては最も遠い」とコメントしています。

※…宇宙の膨張にともなって光の波長が伸びた量。遠くの天体ほど数値が大きい

研究グループによると、ビッグバンから7億年ほどしか経っていない時代に太陽の15億倍という質量にまでブラックホールが成長するためには、ビッグバンから1億年ほどの段階ですでに太陽の1万倍の質量を持った、いわば「種」となるブラックホールが存在しなければならないといいます。研究に参加したXiaohui Fan氏(アリゾナ大学)は「初期の宇宙におけるブラックホールの形成および成長について、今回の発見は改めて課題を提示するものとなりました」と語ります。

なお、J1007+2115の観測にはハワイのマウナケア山にあるW.M.ケック天文台やジェミニ天文台の望遠鏡が用いられたことから、J1007+2115はハワイ語で「unseen spinning source of creation, surrounded with brilliance(輝きに囲まれた、見えざる回転する創造の源)」を意味する「Pōniuāʻena(ポーニウアエナ)」と名付けられています。

ブラックホールの質量が太陽の1万倍だった頃のJ1007+2115を描いた想像図(Credit: International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/P. Marenfeld.)

 

Image Credit: International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/P. Marenfeld.
Source: W.M.ケック天文台 / ジェミニ天文台
文/松村武宏