ハッブル宇宙望遠鏡が2020年7月4日に撮影した土星の最新画像(Credit: NASA, ESA, A. Simon (Goddard Space Flight Center), M.H. Wong (University of California, Berkeley), and the OPAL Team)

■環の傾きが小さくなり、青みを帯びた南極域が見えるように

7月21日、土星が地球から見て太陽とは反対側に位置する「衝(しょう)」となりました。衝の前後は地球との距離が近くなるため、観測するのに良いタイミングです。こちらは7月24日に公開された土星の最新画像。「ハッブル」宇宙望遠鏡に搭載されている「広視野カメラ3(WFC3)」によって7月4日に撮影されたものです。土星とともに衛星のミマス(右)とエンケラドゥス(下)も写っています。

今回撮影された画像には、土星の北半球にわずかに赤みを帯びたもやが写っています。もやの原因としては太陽光の増加にともなう大気循環の変化や、光化学反応によって生成されるもやの量の変化といった季節的な理由が考えられるといいます。また、昨年撮影された画像では土星の南極域が環に隠されていましたが、土星の公転にともない環の傾きが小さくなったため、今年の画像では冬から春へと移り変わりつつある青みを帯びた南極域が見えるようになっています。

現在土星の環の傾きは年々小さくなっていて、2025年頃には真横を向いて地球からはほとんど見えなくなりますが、その後は2033年頃にかけて再び傾きが大きくなっていくことになります。こうした15年ごとに起こる土星の環の消失は見かけ上の現象ですが、あと1億年ほど経てば本当に環が消えてしまうかもしれないとする研究成果がJames O’Donoghue氏(ゴダード宇宙飛行センター、当時)らによって2018年に発表されています。

この研究では環を構成する氷の粒子が「オリンピックサイズのプールが30分で満たされる」(O’Donoghue氏)勢いで土星に降り続いているとしており、環の寿命そのものを3億年程度と推定しています。見事な環は土星と同じくらい古いものだと考えられてきたものの、太陽系の歴史からすれば最近になって現れた存在なのかもしれません。O’Donoghue氏は「私たちは環を持つ土星の姿を見ることができて幸運です」と語っています。

 

関連:ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した土星の最新画像、衛星が巡る様子も(2019年9月)

Image Credit: NASA, ESA, A. Simon (Goddard Space Flight Center), M.H. Wong (University of California, Berkeley), and the OPAL Team
Source: hubblesite.org / NASA
文/松村武宏