悪くはなかった2019年

2017年、2018年と苦戦を強いられてきたヤマハは、シーズン前半こそ苦戦したものの、後半には安定して好成績を残せるようになっていた。昨シーズン注目を集めたのはワークスチームの2人ではなく、サテライトチームであるペトロナス・ヤマハSRTの新人、ファビオ・クアルタラロだ。

シーズン序盤からヤマハのワークス勢を凌ぐ活躍を見せ、絶対王者であるホンダのマルク・マルケスに真っ向勝負を仕掛けるなど、存在感を見せつけた。優勝こそ達成できなかったものの、MotoGP初年度でサテライトチームという状況下で2位5回、3位2回、ポールポジション6回と目覚ましい活躍だった。

このクアルタラロの活躍の一方、ワークスチーム所属の2人、マーベリック・ビニャーレスとバレンティーノ・ロッシの成績は、クアルタラロほどではなかった。

ただ、ビニャーレスはシーズン序盤こそ不調だったが、第7戦以降に調子を取り戻し、第8戦オランダGPでシーズン初優勝を記録。誰もが認めるスピードを持っているものの、メンタル面で波があるビニャーレスのために、ベースセッティングを見つめ直したことが功を奏した。

それ以降、常に安定した成績を残したビニャーレスは、第18戦マレーシアGPでも優勝しランキング3位を獲得。ヤマハはカーボンスイングアームの採用やエンジン開発を進め、良いマシンを与えたことで、ビニャーレスに自信を取り戻させることに成功した。

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求めていたレース中の強さを手に入れた?

2019年シーズンを見ていると、ホンダのマルク・マルケスの決勝での強さは頭ひとつ抜き出ていた。ヤマハ勢に関していえば、クアルタラロのペースの良さに比べ、ワークス勢の決勝でのペースは安定感に欠けていた印象だ。

ロッシはタイヤ、特にリアタイヤの摩耗に苦しみ、レース中盤からペースが落ちていく傾向にあり、ビニャーレスは前半のペースが悪く、後半に巻き返すもトップとの差が開きすぎて追いつけないというパターンが非常に多かった。

しかし、2019年シーズン終了後のバレンシア、ヘレスでのテスト、そして今年に入ってからのセパンとカタールでの公式テストでは、ヤマハ勢が好調をキープした。全く新しいシャシーを投入し、根本的に変更されたヤマハYZR-M1は、全てのテストでトップタイムをマーク。バレンシア、ヘレス、そしてカタールではビニャーレスがトップタイム、セパンではクアルタラロが3日間通じてトップタイムを記録した。

そして、課題であったロングランでも順調に成果が出てきている。ビニャーレスは一発のタイムだけでなはく、他のライダーに比べ多くの周回をこなし、なおかつ高い水準のタイムで安定した走りを見せた。

これまでは、ビニャーレスとロッシのワークスチームと、クアルタラロとフランコ・モルビデリのサテライトチームのペースにばらつきが見られていた。だが、2020年仕様になってからは、4台とも安定して上位に名を連ねるようになっている。今年のヤマハはホンダ、そしてマルケスに対抗できるパッケージが揃ったように見える。

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今シーズン最大のトピックスはロッシの去就

2017年以降優勝がない生きる伝説、バレンティーノ・ロッシ。今年のシーズン開幕前に、ヤマハはいち早く2021年のファクトリーチームの体制を発表した。ビニャーレスとクアルタラロという若く有望なコンビが実現、この体制は2022年までの契約だ。つまり、ロッシがヤマハのワークスで戦うのは、今年で最後ということになる。

2000年に500cc(現MotoGPクラス)にステップアップし、いきなりランキング2位を獲得、翌年の2001年から2005年まで最高峰クラス5連覇を達成。2008年、2009年も王者に輝いたMotoGPのアイコンであるロッシが、来年以降サテライトチームでMotoGPに参戦するのか、または今年限りで現役を引退するのか、注目が集まっている。

ロッシは今年のシーズン前半までの結果、自身のポテンシャルを見た上で今後どうするかを判断すると発表した。開幕直前のセパンテストでは全体の5番手につけており、この結果はロッシにとって好材料となるだろう。

世界で最も人気のある42歳の大ベテランが今後もキャリアを続けるべく最高の状態に仕上げてくるはずだ。ヤマハ全体の進化ももちろんだが、今年にかけるロッシにも注目だ。

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