高卒1年目からの活躍は至難の業

近年のロッテはドラフトで、平沢大河、安田尚憲、藤原恭大と甲子園を沸かせた将来有望な野手を1位指名。多くのファンが数年後のブレイクを期待し、その成長ぶりを1年1年見守っている。

早く1軍の舞台で活躍している姿を見たいのは誰もが思っていることであるが、高卒1年目からプロのレベルに適応するのは至難の業。長いプロ野球の歴史でルーキーイヤーから活躍する高卒野手も中にはいるが、ほんの一握り。その多くがプロの壁にぶち当たり、苦い経験と下積みを経て開花できるかどうかという具合だ。

そこで今回は、90年代以降にロッテに入団した高卒野手について、1軍の試合を何年目に経験し、レギュラーとして活躍し始めたのは何年目だったのか、「1軍デビューした年」と「100試合以上出場した年」を基準にその傾向を探り、平沢、安田、藤原の現状と比較してみる。

※捕手は守備が重視されるなど特異なポジションのため、今回は比較対象外とする。

多くの試合に出場できるのは、主に5年目以降

1990年以降に入団した高卒野手で、年間100試合以上出場した経験がある選手は9人。その成績を下表にまとめた(平沢、安田、藤原の成績も記載)。

90年代以降に入団した高卒野手/1軍デビューした年・100試合以上出場した年


1年目から1軍の試合に出場しているのは、サブロー、今江敏晃、西岡剛、早坂圭介、平沢、安田、藤原の7選手。期待をかけられていた証でもあるが、まず1軍のレベルを体感させるといった意味合いが強いだろう。実際に出場試合数も少なく、1年目から特筆すべき数字を残している選手はいない。

次に各選手が初めて100試合以上出場した時期をみてみると、5年目が最も多く3人(福浦和也、サブロー、渡辺正人)、6年目以降が大塚明、早坂、細谷圭の3人だった。大半が5年目以降となっており、やはりレギュラーとして活躍するには、それだけの年数を要することがよくわかる。

だが、3年目で100試合以上に出場した選手もいる。西岡と平沢だ。

3年目にレギュラー奪取した西岡は一気に日本代表へ

西岡は3年目となった2005年に122試合に出場。1番打者として41盗塁をマークするなどチームを牽引し、リーグ優勝と日本一に貢献した。ロッテでレギュラーを確固たるものとするだけでなく、2006年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にも召集され、主に2番打者として毎試合出場。同大会の初代世界一にも貢献するなど、日本を代表するプレーヤーのひとりに一気に上り詰めた。

以降も不動のリードオフマンとして活躍し、2010年には200安打を達成して首位打者を獲得。チームの下剋上日本一に大きく貢献した。

一方の平沢は3年目の2018年に112試合に出場。その多くが本職の遊撃手ではなく右翼手としてであったが、外野でもそつのないプレーを見せるなど非凡な野球センスを発揮した。

特筆すべきは出塁率で、打率こそ.213と低迷したが出塁率は.328で、これは2005年の西岡の出塁率.320を上回っている。井口資仁監督もこの出塁率を評価。荻野貴司がケガで夏場に離脱した際には、平沢に1番や2番を打たせるケースもあった。

過去の高卒野手と比較しても、早い段階で出場機会を得ており、2019年はさらなる飛躍が期待された。だが、ケガなどの影響もあり51試合の出場にとどまり、打率も.198と低迷。前年からの技術と成績の上積みとはならず悔しい思いをしただけに、5年目となる今季は奮起が期待される。

ロッテのスターに上り詰めたサブローでも遅咲きで、初めて100試合に出場した5年目は108試合出場で打率.231。ブレイクしたと言えるのは、131試合に出場し、打率.286、9本塁打、43打点、13盗塁をマークした8年目の2002年ではないだろうか。

他球団ではあるが、同じ高卒左打者の中日・高橋周平は2019年に.293をマークするなど好成績を残したが、8年目のブレイクだった。遊撃も外野も年々競争は激しさを増しているが、平沢には己の良さを見つめなおして焦らずに着実に経験を積んでほしい。

福浦、今江も突出した存在

前述した西岡のほかに、高卒野手で特筆すべき成績を残しているのが今江と福浦だ。

今江は4年目の2005年に132試合に出場し、打率.310のハイアベレージで71打点を稼いだ。この年を皮切りに三塁のレギュラーに定着し、長年にわたって主力としてチームを牽引した。

福浦は5年目の1998年に129試合に出場し、打率.284、57打点をマークした。この年以降は打線にとって欠かせない存在となり、リーグ屈指の安打製造機に成長。楽天監督時の野村克也氏に「福浦には弱点が見当たらない。どこを投げてもきれいに打ち返される」とまで言わしめた。

それまで、首位打者が毎年の指定席だったイチローがメジャーに渡った直後の2001年に打率.346で首位打者に輝くと、同年を含む6年連続で3割をマーク。地元千葉出身のフランチャイズプレーヤーとして長年にわたってチームに貢献し、レジェンドとなった。

ターニングポイントになるのは5年目

福浦やサブロー、そしてチームに欠かせない貴重なバイプレーヤーだった渡辺らの活躍を考えると、ロッテの高卒野手にとって5年目というのは、ひとつのターニングポイントとなりそうだ。5年目までに、ブレイク、もしくは、結果につながらなくても年間で多くの試合に出場して経験を積んでいることが、レギュラー選手となるための最低条件といえる。

西岡や今江のように早い段階でチームの主力になれれば、それに越したことはない。だが全体的にみれば、高卒野手が1軍で活躍するためにはそれなりの年月がかかっている。今季からメジャーに活躍の舞台を移した元DeNAの筒香嘉智(現レイズ)もブレイクしたのは5年目だった。

今季5年目を迎える平沢は正念場とも言えるし、今季3年目を迎える安田に関しては、西岡や今江のように一気にブレイクといければ理想的だろう。昨季1軍のレベルを身に染みて体感した藤原にしてもブレイクが早いに越したことはないが、過去の事例をみてもすぐに活躍できるほど甘くはない。

それでも、かつて西岡と今江がブレイクし長年チームを牽引したように、近い将来再び高卒野手が躍動し、チームを活性化してくれることを期待したい。

2020年プロ野球・千葉ロッテマリーンズ記事まとめ