昨季11連勝のニールが大役

パ・リーグ3連覇を目指す西武の辻発彦監督は、開幕投手にザック・ニールを指名した。新型コロナウイルスの影響で開幕が延期となったが、そのままスライドすると思われる。

ニールは来日2年目となるが、昨シーズンは11連勝を含む12勝1敗とリーグ優勝に大きく貢献。規定投球回には到達していないものの、防御率2.87と安定した投球を見せた。

オープン戦では2試合で7.1回を投げ2失点、防御率2.45と全く問題のない数字を残している。特に最後の登板となった3月14日のヤクルト戦では、3回無失点、被安打4、与四球0、奪三振4とほぼ完璧な投球を披露している。

3月半ばまで開幕戦に向けてなんの不安もない、といった貫禄の投球だった。しかしその後、体調不良で別メニュー調整となった。幸い練習にはすぐ復帰したが、本来の開幕日である3月20日に行われた練習試合の登板は回避した。開幕延期がプラスになったわけだ。

東尾修は開幕戦で2勝7敗

ここで西武(前身球団含む)の開幕投手の歴史を振り返ってみたい。最も多く先発のマウンドに上がっているのは東尾修の10回。しかし、勝率は決して良くなく2勝7敗と大きく負け越している。7敗はパ・リーグワーストであり、NPBでは金田正一(国鉄ほか)の8敗につぐワースト2位タイである。通算251勝を挙げ、名球会入りを果たした東尾でも、開幕戦に限っては結果を残せなかった。

西武の開幕戦最多勝は「神様、仏様、稲尾様」で親しまれた稲尾和久である。稲尾は1960年から1963年に4年連続で開幕投手を務め、すべての年で完投勝利をマークした。そのうち2試合が完封となっており4試合で失ったのは6点だけ。まさに神がかり的な投球内容だった。

開幕戦の4年連続完投勝利は、山田久志(阪急)の5年連続に次ぐNPB2位の記録でもある。ちなみに稲尾が開幕投手を務めたのはこの4回だけ。つまり4戦4勝、4連続完投勝利という記録を残しているのである。

外国人の開幕投手は郭泰源以来

今年このままニールが開幕のマウンドに登れば、西武(前身球団含む)としては1995年の郭泰源以来の外国人開幕投手となる。郭は1980年代後半から1990年代にかけてのチーム黄金時代を支えたひとり。1994年と1995年の2度開幕投手を務めており、1勝0敗の成績を残している。

それ以外には外国人が開幕投手を務めた例はない。裏を返すと、各時代に日本人のエース格が充実していたということでもある。古くは稲尾和久や東尾修、その後も工藤公康に渡辺久信、西口文也、松坂大輔、涌井秀章と球界を代表する選手たちがエースを張ってきた。

現在のチームを見ると、日本人のエース格は存在しない。しかし、髙橋光成や今井達也といった近い将来君臨してもおかしくない可能性を秘めた投手は複数いる。

今年はニールに開幕投手の座を譲ることになった髙橋光や今井が、来年以降、実力で射止めることができるだろうか。これからチームが安定した強さを発揮するためにも、若きエースの誕生が望まれる。

2020年プロ野球・埼玉西武ライオンズ記事まとめ