天皇賞・春展望とコース紹介

今週は現役最強ステイヤー決定戦、天皇賞・春。昨年の有馬記念4着以来の実戦で、キタサンブラックに続く連覇とGⅠ3勝目を狙うフィエールマン、前哨戦の阪神大賞典を快勝したユーキャンスマイル、復権を狙う菊花賞馬キセキなどが伝統の盾を争う。

京都芝3200mは外回りコースが舞台。向正面のスタートから3コーナーまでの距離が十分にあるため隊列は定まりやすいものの、長丁場とあって道中の動きが激しい。2周目の京都名物・3コーナーの坂の下りからペースが上がって持続力勝負となり、平坦な直線を舞台にタフさと根性が試される。

当該コースが使用されるのは年に一度、GⅠ天皇賞・春のみ。例が少ないため、1986年以降のレースデータ(33レース。1994年の阪神で行われた天皇賞・春を除く)を使用する。

1枠成績に刮目せよ

京都芝3200m・1986年以降の枠別成績

天皇賞・春はとにかく1枠が強く、勝率・連対率・複勝率全てにおいてトップ。2006年・8番人気3着ストラタジェム、2009年・12番人気1着マイネルキッツ、2012年・14番人気1着ビートブラック、2015年10番人気3着カレンミロティック…と白帽×穴馬の激走は枚挙にいとまがない。1枠を引いた馬は人気薄でもすぐに消すことなく慎重に検討しておきたい。

逆に8枠は苦戦が続いており、勝ったのは2008年のアドマイヤジュピタのみ(1994年のビワハヤヒデも8枠から勝っているが阪神開催だった)。1番人気に支持されたトウカイテイオーもメジロマックイーンもオルフェーヴルも勝てなかった。長丁場だから枠は関係なし、と決めつけるのは早計。桃帽の評価はシビアに考えたい。

京都芝3200m・1986年以降の脚質別成績

勝ち馬33頭のうち85%にあたる28頭が4角5番手以内通過からの押し切りと、好位で運んで直線しぶとい脚を使うのが必勝パターン。2012年以降の8レースでは2018年レインボーライン(4角11番手通過)を除く勝ち馬7頭が4角5番手以内だった。対照的に追込脚質受難のレースで、4角13番手以下から馬券になった馬は1頭もいない。また道中の動きが激しいこともあり、2015年ゴールドシップのように向正面からのマクリで勝ち切るシーンも幾度か見られてきた。

ユーキャンスマイルに暗雲

京都芝3200m・種牡馬別成績

種牡馬では2013年・2014年と連覇したフェノーメノなど4勝を数えるステイゴールドが一押し。昨年8番人気の低評価を覆し3着に粘ったパフォーマプロミスもステイゴールド産駒だ。今年はそのパフォーマプロミスとの叩き合いに敗れて昨年4着のエタリオウ、日経賞3着からの臨戦となるスティッフェリオが該当。どちらも下位人気が予想されるだけに買い目に入れて損はない。

なお、ディープインパクト産駒が長年勝てないGⅠとして知られていた天皇賞・春だが、昨年フィエールマンがそのジンクスを打ち破っている。

とにかく相性が悪いのがキングカメハメハ産駒。のべ14頭出走して馬券圏内はゼロ、掲示板にすら2頭しか入っていない。2011年に1・2番人気を分け合ったトゥザグローリー・ローズキングダムはそろって二桁着順に沈んでいる。

フィエールマンに次ぐ2番人気が濃厚のユーキャンスマイルには黄色信号が灯っている。本馬は母父ダンスインズダークだが、該当馬の成績も【0-0-0-8】と全滅。ダンスインザダーク産駒も【0-0-1-19】とこれでもかというほど厳しいデータが並ぶ。昨年も3番人気5着と人気を裏切っており、血統面からはとても買えない。

京都芝3200m・騎手別成績

「長距離は騎手で買え」という格言通り、数人の騎手に良績が集中。中でも盾男・武豊騎手の成績がずば抜けている。他を寄せ付けない最多8勝はもとより、複勝率7割超えが特筆に値する。今年は前走よもやの敗戦を喫したキセキに騎乗するが、前走1番人気馬に騎乗した際の成績は【5-1-2-2】複勝率80.0%をマーク。

前走掲示板外からというローテも1989年イナリワン(阪神大賞典6着→天皇賞・春1着)、2008年メイショウサムソン(産経大阪杯6着→天皇賞・春2着)と前例はある。大雨で究極のタフネス勝負になった菊花賞を制し、超高速決着となった2018年ジャパンカップでも2着に頑張ったキセキの能力は疑いようもなく、名手の手綱さばき一つで復活もあるだろう。

ミッキースワローに騎乗する横山典弘騎手も好成績。イングランディーレで鮮やかな大逃げを打ち、4歳4強を倒した2004年、ゴールドシップを見事制御して勝ち切った2015年が思い起こされ、何かやってくれるのではないかという期待感がある。信頼して馬券を託すのも一策だ。

なお松山弘平騎手の落馬負傷により急遽メイショウテンゲンへの騎乗が決まった幸英明騎手は【0-0-0-14】だが、騎乗馬全頭が9番人気以下という事情もあった。

意外にも相性の悪いダイヤモンドS組

京都芝3200m・調教師別成績

調教師成績はきわめてデータが少ないため参考程度だが、今年管理馬が出走する中でもっとも好調なのは友道康夫調教師。シュヴァルグランで3度の馬券圏内があり、アドマイヤ ジュピタで勝利を収めている。今年はユーキャンスマイル・エタリオウの2頭出しという布陣だ。

やや気がかりなのがキセキで出走する角居勝彦調教師の【0-0-0-8】。このうち4番人気以内も4頭が該当したものの、いずれも掲示板外に敗れている。スティッフェリオの音無秀孝調教師も2006年リンカーンでの2着があるが【0-1-0-10】と強調材料に乏しい。

1986年以降の京都芝3200mにおける条件別成績

最後に京都芝3200mにおける条件別成績を挙げた。今も昔も相性の良い菊花賞馬は抜群の信頼度で、2015年以降に限ると【4-0-1-1】複勝率83.3%。さらに2番人気以内に限ると複勝率は100%とパーフェクトだ。フィエールマンは鉄板軸だろう。

前走でGⅡを制した馬の相性もよく、該当馬は2006年からの14レースのうち、2012年を除く13レースで馬券になっている。今年の該当馬はユーキャンスマイルとミッキースワローのみ。ここまでのデータを加味してミッキースワローを推奨したい。

対照的に厳しいのが牝馬。2005年に出走したオーストラリアの女傑マカイビーディーヴァや、エリザベス女王杯連覇の実績を誇ったアドマイヤグルーヴといった名牝でも掲示板に載ることすらできなかった。いまだ条件馬の身ながら見事レーティング上位での出走を果たしたアイドルホース・メロディーレーンには厳しいデータだが、なんとかはねのけてほしい。

距離的に信頼が持てそうな前走ダイヤモンドS組も首を傾げたくなるほどの低調ぶりで、馬券になったのは2015年のフェイムゲーム(2着)のみ。今年は青森産馬の星ミライヘノツバサが該当している。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。

京都芝3200mコースデータ