物理的優位を生かした頭脳プレー

過去10年、1番人気がゼロ勝と難解な重賞となっている新潟大賞典。今年も1番人気レッドガランは6着で、勝ったのは10番人気の伏兵トーセンスーリヤだった。

前後半1000mは59秒7−58秒9。直線部分が長い新潟外回り2000mとしては、スローに近い流れ。勝ったトーセンスーリヤは好位のインで流れに乗った。最後の直線部分にあたる後半600mは、11秒2−11秒4−12秒8。最後はラップが落ちて後続が押し寄せたが、11秒台前半が続く平坦新潟特有のラップ構成は外を回る組、後ろから差し込む組に使えようがない脚を求められた。

物理的な難しさは物理的に優位を生む。勝因はインの4番手という絶好位にいたことであり、物理的な優位さを最後まで生かした形となった。新潟競馬場はこうした物理的優位が生まれやすい競馬場だ。直線が長いから最後の脚で間に合うというのは錯覚なんだと思い知らされるコースであり、乗り手にも慌てずにじっくり行きたいと思わせるのだろう。

勝ったトーセンスーリヤは大井競馬場でデビューしたマル地馬。北海道や中山での実績が目立つ小回り向きの馬とみられ、10番人気だった。だが先述したように、新潟は物理的な優位さが生きるコースなため、小回りで鍛えられた機動性、いわゆるセコい競馬がイメージ以上に有効な競馬場である。トーセンスーリヤのストロングポイントをよく知る横山和生騎手だからこそ、できた競馬だ。

唯一差してきたプレシャスブルー

2着アトミックフォースは逃げて好走。こちらも、物理的優位を存分に使っての逃げ残りだった。だが、トーセンスーリヤとは反対で左回りの直線が長いコースに適性がある馬なので、不思議ではない。

ブラヴァスをハナだけしのいだ3着プレシャスブルーは、前走福島組。この組はデータ上、好走馬が勢いそのままに走るケースが多く、8着から巻き返したのは予想外ではあった。だが、トーセンスーリヤと似た小回り適性を持つ機動性が高い馬。4角10番手から唯一物理的優位を最後まで詰めてきた組だけに今後再び人気薄であれば面白い存在になる。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

2020年新潟大賞典位置取りインフォグラフィックⒸSPAIA