馬場も流れもタフな一戦

6月28日(日)に阪神競馬場で行われる宝塚記念(GⅠ・芝2200m)。春古馬3冠の最終戦となる戦いに、歴戦の古馬18頭が集結した。

昨年の皐月賞馬サートゥルナーリアや大阪杯で牡馬をなで斬りにしたラッキーライラックが人気の中心と目されるなかで、馬券的に狙うべきはどの馬か。また、実績馬の取捨はどう考えるべきか。今週もデータを踏まえて検討していこう。

はじめに、当該レースにおける過去10年の傾向を分析する。

宝塚記念・過去10年1~3着馬の4角順位/ペース判定・人気別成績ⒸSPAIA



本レースが行われる阪神芝2200mは芝2000mでゲートを1F後方にずらした形態であり、そういう意味では大阪杯と類似したコースと言える。

異なる点としては、コーナーまでの距離が伸びるため先行争いが長く続きやすく前半が比較的、締まった流れになることが挙げられる。もう一つは馬場状態であり、梅雨時で時計のかかる馬場になるのが例年の傾向だ。

脚質について言えば、もともと逃げ・先行が有利のコースである一方でこのレースに限れば差し馬も存在感を示している印象。

もっとも12年のオルフェーヴルを除けば勝ち馬は4角6番手以内からしか出ておらず、やはり早めに前に取り付く競馬が理想。大阪杯と同じく内回りコースで立ち回りのうまさを生かせる馬を中心視したい。

馬場への対応がカギ

過去5年の阪神芝2200m枠番別成績ⒸSPAIA



続いて枠番別成績(試行回数があまり多くないため、過去5年に期間を拡大している)。成績トップは2枠で複勝率36%となかなかの好成績。全体的な傾向として真ん中から内枠の成績が良いと考えられる。その一方で、好走率はまずまずでも回収率では外枠も決して内枠に劣っておらず、一概に優劣はつけがたいというのが全体的な印象ではある。

先週の馬場傾向から考えても内外で大きな差はなく、このままなら馬場・枠順の影響はおおむねフラットと見込まれる。一方で執筆時点の予報では土曜夜から多少の降雨が予想されており、馬場状態が悪化する可能性は十分にあるだろう。馬場悪化時のパフォーマンスは重要な評価軸と考えたい。

どうにも不確定要素ばかり並べてしまったが、ここで有力なデータを一つ。過去10年の出走馬のうち馬場悪化時(稍重・重・不良)のGⅠまたはGⅡを勝利した経験がある馬は【6-5-3-20】で単回収率164%、複回収率125%と非常に安定している。該当馬が9年連続で馬券に絡むなど信頼性も高く、この条件を満たす馬から馬券を組み立ててみたい。

大阪杯に続いて……

本命はクロノジェネシスとする。前走の大阪杯は大外枠からほぼ完璧な立ち回りで2着。内を回って抜け出してきた勝ち馬とは枠の差が出た格好だが、内回り適性を発揮してキッチリと結果を出したといえよう。同じ阪神の内回りコースで今回も上位が期待できそうだ。

何より、重馬場の京都記念を勝つなど渋った馬場への対応に不安がない点は評価できるポイントだ。惜しむらくは前走と同じく大外8枠を引いてしまったことだが、距離が伸びるぶんリカバリーもしやすいものと見込んで今回も本命で狙いたい。

対抗には天皇賞・春からの巻き返しを期すキセキを推したい。当レースは直線で失速して6着という競馬であり、気性不安を抱えるなかでやはり3200mは厳しかったという感じの内容。一方で、道中で落鉄していたことも踏まえれば前走で見切りをつけるのは早計だ。昨年リスグラシューの2着に粘ったレースでもあるし、距離短縮の今回で見直したい。

3番手にラッキーライラック。大阪杯はスローな流れのなか内でしっかり脚を溜め、直線で前をかわす競馬で勝利。5歳春にして潜在能力が完全に開花したと言ってよいだろう。メンバー中でも上昇度は随一であり、これといった減点要素もないためこれ以上低い評価はできない。

サートゥルナーリアは4番手評価としたい。前走の金鯱賞から間隔が空いたこと自体を不安視する必要はないだろうが、当レースはメンバーレベルもそこまで高くなく、レース運び的も無難にモノにしたという程度の評価が妥当な印象。もちろん有馬記念2着の実績などから考えて軽視はしにくいが、歴戦の古馬が揃ったなかで人気を背負うとなれば過信は禁物だろう。

ブラストワンピースは成績にムラが大きくレース運びに注文がつくタイプで嫌う余地は大いにあるが、グランプリホースという点は軽視すべきでない。実際に、過去10年の有馬記念で馬券になった馬は宝塚記念で連対率32%、複勝率44%と明確なリンクが見られている。ここは押さえておくのが無難だろう。

大阪杯5着のワグネリアンについては、2000mだと4角で少し置かれるところがあるため1Fでも距離が伸びるのは好都合と考えたい。さほど人気にもならないと見て相手には入れておく。以上に加えて、天皇賞組からスティッフェリオ、トーセンカンビーナの2頭を相手に加えておくことにする。グローリーヴェイズは今回が初の阪神という点で割り引きたいところ。もともと平坦コースでの良績が目立つタイプでもあるし、今回は消し評価としたい。

▽宝塚記念予想▽
◎クロノジェネシス
○キセキ
▲ラッキーライラック
△サートゥルナーリア
×ワグネリアン
×ブラストワンピース
×スティッフェリオ
×トーセンカンビーナ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。