「井口イズム」浸透、山本由伸まで攻略

ロッテが8連勝で首位を快走している。6月25日のオリックス戦に勝って2016年4月17日以来1530日ぶりの単独首位に立つと、28日には6連戦の最後に登場して「ラスボス」と呼ばれたオリックスの若きエース・山本由伸を攻略。一度は追いつかれたが、レアードの決勝アーチで連勝を8に伸ばした。

開幕戦は落としたものの、2試合目以降全勝で、勝率は.889。6月28日終了時点で、13盗塁、25失点、防御率2.61はいずれもリーグトップだ。8勝のうち5勝は1点差と、接戦をものにしている。

好調の要因は様々あるが、コロナ渦で開幕が延期された難しい状況で、巧みに選手をハンドリングしている井口資仁監督の存在も大きい。就任時に掲げた「走塁革命」や選手起用、選手たちの能力をフルに発揮させる雰囲気作りも含め、監督就任3年目で浸透してきた「井口イズム」が実を結びつつある。

アトランタ五輪銀、ワールドシリーズ優勝など輝かしい実績

井口監督はアマチュア時代から輝かしい実績を残してきた。国学院久我山では甲子園出場を逃したが、青山学院大では1年春からリーグ戦に出場し、いきなり優勝。主将を務めた4年時には、日本代表としてアトランタ五輪に出場し、当時東洋大だった今岡誠現ロッテ二軍監督らとともに銀メダルを獲得した。

大学通算24本塁打の新記録を樹立して1996年ドラフト1位でダイエーに入団すると、翌1997年5月3日の近鉄戦で史上初のデビュー戦満塁本塁打。1999年にダイエーとしての初優勝、翌2000年の連覇に貢献し、2003年には2度目の盗塁王に輝いただけでなく、打率.340、27本塁打、109打点の好成績でチームを日本一に導いた。

ホワイトソックスに移籍した2005年にはワールドシリーズで優勝。2008年にはフィリーズでもチャンピオンリングを手にした。 2009年にロッテに移籍すると、2010年にはパ・リーグ3位からクライマックスシリーズ、日本シリーズを制して「下剋上」と呼ばれた日本一を達成。2017年に引退するまで日米通算2254安打、295本塁打、1222打点、224盗塁の成績を残した。

西武戦前には必ず地元の田無神社を参拝

実力はあっても一度も優勝を経験できないまま引退する選手も少なくない中で、井口監督の勝ち運は目を見張るものがある。単なる「運」で片付ける訳ではないが、栄光に満ちた球歴を振り返ると、実力以外の何かが味方しているとしか思えない。

実は運を味方につけるべく、足繁く通う場所がある。出身地の西東京市にある田無神社。金龍神、青龍神、赤龍神、白龍神、黒龍神の五龍神が祀られており、戦場へ向かう兵士がお守りとして像の一部を削り取ったと伝えられる楠木正成公像や、昭和の大横綱・大鵬ゆかりの土俵など勝負にまつわるものも多い、地元では有名なパワースポットだ。

開幕などの節目はもちろん、メットライフドームで西武戦が行われる試合前には、所沢に向かう道中にあるため、1カードに1度は参拝する。決して困ったときの神頼みではない。常日頃から勝負の神様に感謝を伝え、必勝を祈願しているのだ。

2019年のドラフト会議前にも参拝し、4球団競合の大船渡・佐々木朗希を引き当てた。前年に3球団競合した大阪桐蔭・藤原恭大に続き、2年連続で強運を発揮。球団が昨オフに発売した「GODHAND お守り」(税込700円)があっという間に完売したのも、ファンからその強運ぶりが認知されているからに他ならない。

勝負事に運はつきもの。今季は120試合と少なく、日程も詰まっているだけに、開幕ダッシュに成功したことは例年以上にアドバンテージになる。「下剋上」から10年。幕張の強風に乗って、勝ち運が巡ってきたとしても不思議ではない。

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