難解なハンデ戦?

7月5日(日)に福島競馬場で行われる宝塚記念(GⅠ・芝2200m)。夏競馬の開幕を告げる名物重賞に秋への飛躍を誓う12頭が集結した。

武豊騎手が騎乗するパラスアテナや遅れてきた大器ルリアン、良血馬グレイトオーサーらが人気の中心と目されるなか、重賞タイトルを手にするのは果たしてどの馬か。今週もデータを踏まえて検討していこう。

はじめに、当該レースにおける過去10年の傾向を分析する。

ラジオNIKKEI賞過去10年 1~3着馬の4角順位ⒸSPAIA



JRA全場のなかで最も一周距離が短いことで知られている福島競馬場。4コーナーにかけて設けられたスパイラルカーブの影響もあり、最後の直線では大きく横に広がった追い比べが頻繁に見られる舞台でもある。このようなコース形態のため極端な後傾ラップはあまり見られず、後半の持続力勝負の傾向が顕著である。

世代限定のハンデ重賞ということで混戦が予想されるところだが、今年は出走12頭中10頭が前走1勝クラスからの参戦。例年ハンデを背負うことが多いOP・重賞好走馬の出走がないため、今年に限ってはハンデが51kgから54kgに収まっている。ハンデ差が小さいうえに頭数も12頭と手ごろであることから、実力馬がおおむね能力を発揮できるものと考えてよいだろう。

開幕週だが……

過去3年の福島芝1800m枠番別成績ⒸSPAIA



続いて過去3年の枠番別成績を確認しよう。全体的な傾向として内枠と外枠で成績に大きな差はないが、複回収率を見てみると比較的に外枠が優勢となっている。直観的には小回りコースで内枠を重視したくなるところだが、むしろ外枠が過剰に嫌われている傾向があるのかもしれない。12頭という頭数を考えても敢えて外枠を下げる必要はないだろう。

その一方で、今週が開幕週ということで普通なら内目の馬場状態が良く前が止まりにくいことが予想される。ただし、先週に引き続いて今週も天気は雨模様。方向性としては基本的にイン前有利と考えて、降雨の状況と土曜開催の傾向を見ながら内枠先行馬の評価を考えるのが良いだろう。

今年は前走で逃げた馬が出走馬の半数を占めるなど先行脚質に偏っており、非常に隊列が読みにくい。こういうときに限って騎手心理の妙ですんなり流れが落ち着く、などという事態も十分ありうるだろう。とはいえ早めにスパートするレース運びがこの舞台の基本なのは確かであるし、差し当って持続力と重馬場適性を重視した馬券を組み立てるのが無難だろう。

好調のキズナ産駒に期待

本命にはルリアンを推す。新馬2着から長い休養を経て未勝利・1勝クラスと快勝してこの舞台に駒を進めてきており、順調に成長曲線に乗ってきた印象を受ける。特に阪神内回りコースを使用した近2走は好位追走からキッチリ抜け出すレース運びで、センスの高さは重賞でも十分通用するはずだ。大外8枠に入ったのも今回に限っては不安視する必要はないだろう。

最近はキズナ産駒の活躍が著しいが、今年に入っての単回収率133%(2歳戦を除く)という数字はディープインパクト産駒のそれを上回る好成績。今年だけで重賞5勝を挙げており、今回もその勝負強さに期待してみたい。

対抗はパラスアテナ。良血馬の揃った前走カーネーションCで上がり33.3の末脚を繰り出し勝利するなど、能力の高さはすでに証明済み。勝ち上がりが同じ福島ということもあり、コースへの適性も心配はないだろう。武豊騎手が鞍上というのも期待の高さをうかがわせる。

3番手にパンサラッサ。クラシックに駒を進めることはできなかったが、休み明けの前走で逃げを打って勝利。あのクラスで収まる器でなかったのは明らかだ。中1週と間隔は詰まっているが、体調が万全なら一度使ったぶんの上積みにも期待が持てるだろう。小回りコースの経験が豊富な点も評価を上げたいポイントだ。

過去6戦で馬券圏内を外していないサクラトゥジュールも怖い存在。前走もレコード勝ちを収めるなど能力の高さはすでに証明済みだ。高速馬場での成績が目立ってこそいるが、好メンバー相手に善戦した経験もあり軽視は禁物だろう。

出走馬のなかで疑問視したいのは2戦2勝で人気を集めそうなグレイトオーサー。前走は高速馬場の府中で楽に先頭に立ち、スローに落として逃げ切るという展開に恵まれた内容。小回り適性の点ではやはり疑問符が付く。実績豊富な牝系かつ鞍上がレーン騎手ということで人気を集めるようなら、馬券的には嫌ってみたい。

以下、相手には重馬場の山桜賞を勝利したコンドゥクシオンまで押さえておく。ハンデ戦ではあるがここは人気馬中心とみて、点数を抑えて手堅くモノにしたい。

▽ラジオNIKKEI賞予想▽
◎ルリアン
○パラスアテナ
▲パンサラッサ
△サクラトゥジュール
×コンドゥクシオン

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。