理屈が分かれば簡単に

ゴルファーが最も欲しているのは「飛ばし」だが、グリーン上でボールをピタッと「止める」ショットも獲得しておきたいスキルの1つだ。プロのトーナメントでよく目にする、グリーンにキャリーしてから3バウンド目ぐらいで、ギュギュッと転がり戻るバックスピンに憧れるゴルファーも多いのではないだろうか。

基本的に、ボールは打ち出された方向にコロコロと転がるもの。そのため、バックスピンは特殊で、高度なテクニックが必要と感じる人が多いかもしれない。だが、ボールの動きをコントロールするために必要な回転を生む技術は、理屈がわかれば意外なほど簡単に手に入る。

10月1日から開催されていた日本女子オープンでは、黄金世代の原英莉花が優勝した。勝利を引き寄せたのが、11番ホールの第2打で繰り出したスピンショット。ピンの根元付近にボールをキャリーさせ、3バウンド目くらいからギュギュッとバックスピンがかかり、ピンの約1メートル手前に止めた。

翌週のスタンレーレディスでは、稲見萌寧がプレーオフ1ホール目の第3打で強烈なバックスピンショットを放ち、優勝を手繰り寄せた。

どのようなショットでも必ずスピンはかかっている。キャリー後にスピンがほどけて転がるのか、ほどけずにバックスピンになるのかは、そのスピン量によって決まる。

では、ボールがキャリー地点よりも戻るようなバックスピンのスピン量はどれくらいなのだろうか。例えば、キャリー後2バウンドまでで2ヤード前に進み、3バウンド目でギュギュッと3ヤード転がり戻るショットの場合、グリーンの硬さなどによって変わるが、スピン量は10,000rpm(rpm=revolutions per minute、1分当たりの回転数)程度が必要になる。

十分なスピン量を得るために必要なこと

十分なスピン量を得るためにはどうすればよいのだろうか。

スピン量はヘッドスピードが速いほど増やしやすい。グリーンの硬さにもよるが、一般的な男性のヘッドスピード(ドライバーで40m/s)でスピン性能の高いウェッジとボールを使い、フェアウェイからのフルショットに近い距離(80〜100ヤード)でしっかりボールを捕まえることができれば、バックスピンはかかる。ボールを捕まえるためには、タイミング良く適度なダウンブローやフェースターン、スイートスポットでのヒットが必要だ。

一方ヘッドスピードがあまり出ない女性の場合、ボールをキャリー地点より転がし戻すようなスピンをかけることは難しい。仮にヘッドスピードが速くても、ラフからではボールとフェースの間に芝が絡まり、スピン量が増えずバックスピンがかかりにくい。

特別なテクニックは必要ない

ウェッジ=高弾道といったイメージを持つとインパクト時のロフトが増え、球が高く上がるだけでスピン量は増えにくい。また、飛距離をロスすることにもなる。ロフト角が大きいウェッジの場合も中低弾道のイメージを持った方が、インパクト時にクラブフェースとボールの摩擦が大きくなるためスピン量が増す。

30ヤードほどの短い距離で強烈なスピンをかけてピタッと止まるボールを打つには高度なテクニックが必要だが、フルショットに近い距離でウェッジを使いバックスピンをかけるのに特別なテクニックは必要ない。

ゴルフの醍醐味は豪快なロングドライブだが、強烈にスピンが効いた球がピンに絡むショットもコースラウンドのハイライトに加わる1打となるだろう。クラブやボールのスピン性能にこだわる必要もあるが、より質の高いインパクトを獲得しバックスピンに酔いしれてもらいたい。

【関連記事】
・【ゴルフ】飛距離増に心血注ぐデシャンボーらドラコン選手達がドライバーのロフト角を5.5度にする理由
・グリップを長く持つことのメリットとデメリット【ゴルフハウツー】
・脱オーバースイング コンパクトなトップオブスイングにする際の注意点【ゴルフハウツー】