1位 ドゥラメンテ(父・キングカメハメハ)

何だかんだで2020年の競馬も無事終了できた。同時に種牡馬の成績も出揃った。今回、ここで振り返るのはファーストシーズンサイヤー(新種牡馬)。デビューする産駒の数が増えるにつれて、特徴や適性、そして可能性がぼんやりとだが見えてきた。実績馬、血統馬が期待通りの成績を残せたのかどうか。1〜5位の馬を中心として、成績を見比べながら検証していきたい。

2020年ファーストシーズンサイヤー(中央)ⒸSPAIA


1位は二冠馬ドゥラメンテ。この世代の新種牡馬では最多の284頭に種付けしていたので(血統登録頭数は189頭)当然といえば当然かもしれないが、きっちり期待に応えたことは評価していいだろう。

重賞勝ち馬こそ出なかったが、過去にファーストシーズンサイヤーを獲得したロードカナロアやジャスタウェイも初年度の2歳重賞勝ち馬はいなかったし、何よりドゥラメンテ自体が早熟血統ではないので心配は要らないだろう。出世レースで定評のある東京スポーツ杯2歳S(GⅢ)では産駒のタイトルホルダー、ジュンブルースカイがそれぞれ2、3着に好走。種付け料が順調に上がっていることからも、馬産地のこの馬に対する期待のほどがうかがえる。

そのタイトルホルダーだが、2つ上にメロディーレーンがいる母系。350キロに満たない牝馬ながら菊花賞で掲示板に載って話題になった、あの馬だ。昨年の阪神大賞典の際にも触れたのだが、この母系はとにかくスタミナが豊富。もし菊花賞まで駒を進めていれば、忘れずマークしておきたい。

同3着馬ジュンブルースカイも母系がゼンノロブロイ×Rainbow Questというスタミナ重視の配合。タイトルホルダーもそうだが、クラシックを狙える母系から2歳重賞で好走する馬が出たのは驚き。あとは激しい気性が悪い方に出ないことを祈るだけだ。また、ダートより芝で好結果を出しているが、これは配合相手の関係が大きいと思われ、そこまで下手ではないはず。

2位 モーリス(父・スクリーンヒーロー)

2位は国内外でGI6勝を挙げたモーリス。これも265頭(血統登録頭数は176頭)と多くの種付けをこなしており順当な結果といえる。ドゥラメンテと同様に重賞勝ち馬は出なかった(年明け早々、シンザン記念で産駒がワンツーを達成)が、GⅢサウジアラビアRCでインフィナイトが2着に好走。また、カイザーノヴァとノースブリッジは早くも2勝目を挙げている。

昨年の新種牡馬記事の中で「血統の額面通りならステイヤーが、気性難が出ればスプリンターが、スピード不足に出ればダート向き。今年の新種牡馬の中では最も予想が難しい馬」と書いたが、上記のノースブリッジは芝の中距離で2勝。モーリス自身がスタミナ豊富なメジロ牧場出身の母系なので、気性難さえ出なければクラシックでの活躍を期待してよさそうだ。また、産駒が血統通りの適性を見せているのなら、ダートはあまり上手でないかもしれない。

3位 リオンディーズ(父・キングカメハメハ)

3位は朝日杯FS勝ちのリオンディーズ。この馬も種付け頭数は多かったが、同時期にデビューした新種牡馬より現役実績が見劣ること、また父にキングカメハメハを持つ新種牡馬が複数いたことを考えると健闘といえるだろう。三冠牝馬デアリングタクトを輩出した半兄エピファネイアの種付け料が高騰した(1000万円)ので、代用品(というのは失礼だが)としての需要も増すはずだ。

勝ち上がった14頭はいずれも1勝馬で、芝11勝、ダート3勝という内訳。半兄エピファネイアが芝特化の様相を呈していることから、同馬も芝向きの種牡馬と考えて間違いなさそう。また、マイル以上の距離で勝ち上がる産駒も目立ってきた。母がオークス馬だから当然かもしれないが、この馬の場合は激しい気性が産駒にどう伝わるかがポイントだっただけに、今のところはいい方向に向いているようで何よりである。

4位 ミッキーアイル(父・ディープインパクト)

4位はマイルGI2勝馬ミッキーアイル。上記3頭に比べると少ない種付け頭数ながら、初年度からメイケイエール(小倉2歳S、ファンタジーS)、そして交流重賞の兵庫ジュニアGPを勝ったデュアリストを輩出。世界的に見てもマイラー種牡馬の需要は高く、仕上がり早、さらにはダートでも活躍馬を出した。まさに前途洋々である。

そのデュアリストはダート巧者の母系出身。ミッキーアイル自身が芝向きの血統だから産駒も大半が芝向きかなと予想していたが、もしかすると母系のよさを生かすタイプの種牡馬かもしれない。また、メイケイエールのレースぶりを見る限り距離には限界がありそうだから、自身同様に産駒もマイル以下が主戦場となるだろう。

5位 マクフィ(父・Dubawi)

5位は欧州のマイル路線で活躍したマクフィ。すでに複数の国でGI馬を出している、実績十分の種牡馬である。

稼ぎ頭はGⅢ函館2歳Sで2着、そして年末の交流JpnI全日本2歳優駿で3着のルーチェドーロ。自身が英2000ギニー馬で、GI馬の産駒もフランス、オーストラリア、そしてニュージーランドで出した芝馬ばかりだが、昨年の新種牡馬レビューで「ダート向きの種牡馬になってもおかしくないと思う」と書いたように、今後もダート向きの産駒が増えてくるはずだ。

ちなみに、地方のファーストシーズンサイヤーは1位ホッコータルマエ、2位アジアエクスプレス、3位マクフィ、4位ダノンレジェンド、5位ディスクリートキャットの順番。中央、地方でともにベスト5に入ったのはマクフィだけという結果になった。

初年度は期待も込めて質のいい繁殖牝馬が集まる傾向だが、真価が問われるのは2年目以降。特にディープインパクト、キングカメハメハ系は後継者争いが激しくなっている。例えリーディング上位に食い込めなくても「ダート専科」「超仕上がり早」など、何かに特化した馬ほど長く種牡馬生活を送れる確率が高くなる。淘汰の激しい世界だけに、早めに地位を確立しておきたいところだ。

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
新種牡馬は予測するのが難しいので、一口やPOGで選択するのはできるだ控えるようにしているのですが、三冠牝馬デアリングアクトのようなケースを目の当たりにすると(しかも、入会している同じクラブだし……)、やっぱり狙ってみたくなりますよね。


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