笑顔の長距離砲パナソニック・片山勢三 プロの本職に匹敵するパワーで次の舞台目指す

笑顔の長距離砲パナソニック・片山勢三 プロの本職に匹敵するパワーで次の舞台目指す

社会人野球・パナソニックの片山勢三

社会人野球・パナソニックの片山勢三は、今秋のプロ野球ドラフト会議でその行方が注目されている屈指の長距離砲だ。愛嬌たっぷりの丸い笑顔が印象的だが、野球に対してはストイックな一面も持つ。将来が期待されるホームランアーチストが目指すものとは。

周囲を和ませる、丸顔のスマイル

愛嬌たっぷりのその笑顔は、周囲を幸せな気分にする力がある。

どんなに打席で結果が出ていなくても、試合後の記者対応はいつも大らか。人と接すると自然と笑みがこぼれるのだろう。仏頂面で取材を受ける彼の姿をまず見たことがない。

社会人野球2年目・パナソニックの片山勢三には自然と人を笑顔にする力がある。

「普段はかわいい。見た目通りのやつですよ。(野球以外では)飯食っているところしかあまり見ていないですけどね」

そう笑いながら答えるのは九州共立大学からパナソニックと6年間、ともに過ごしてきたキャッチャーの緒方壮助だ。

今秋のプロ野球ドラフト会議でその行方が注目されている社会人野球屈指の長距離砲は、ただ打つだけでなく、人からも愛される心優しきアーチストなのだ。

2度の大舞台で2度の2本塁打

もちろん本業の野球も凄い。とにかく大舞台に強い。記憶に残る選手という印象である。

今も筆者の記憶に、鮮明に残っているのは彼の社会人1年目。最初の公式戦となったJABAスポニチ大会の出来事だ。

ピッチャーは日本通運の高山亮太。制球力、安定感、打者との駆け引きと、社会人野球屈指の左腕投手である高山を相手に、片山は社会人デビュー最初の大会で、名刺代わりの2本塁打を打って挨拶した。

1本目は真ん中低めのスライダーを拾い上げ左翼席に放り込むと、2本目は外寄りのストレートを逆らわず右中間席へ運び込む。左右どちらにでも飛ばせる非凡なバッティングは、一つ上のプロの世界でも通用するのではないかとロマンを抱かせた。

また、この2本のホームランが、それだけインパクトに残ったのには“前振り”もあった。

アマチュア野球ファンの間では、まだ記憶に新しい2017年の明治神宮野球大会。当時からドラフト候補としてメディアやプロのスカウトの間で高く評価されてきた名城大の栗林良吏(現トヨタ自動車)から、この日もレフトとライトへ2本の本塁打を放っていたのだ。

ふたつの日が重なりあった彼のバッティング。右投手も左投手も、技巧派も速球派も関係ない。タイプの違うふたりの好投手をモノともしない姿は衝撃だった。

周囲が尊敬するストイックな姿勢

非凡なバッティングを支えるのは、もちろん彼の練習量だ。片山について、周囲は生真面目で練習熱心な男だと口を揃えるように言う。

たとえば前出の同僚・緒方は、彼のことを次のように語った。
「(九州共立大では)4番を打ちながらキャプテンもしていましたし、野球のことになると良い意味で自己中になれるというか、そのことだけ集中して野球に取り組める強さがあります。それだけバッティングに自信を持っているのか、自分の考えをぶらさずにしっかり押し切って(野球を)やれているのかなと思いますね」

片山本人にも話を聞いてみたが、無心で練習に取組んでいると、室内練習場で自分一人になっている。そんなことが大学時代から度々あったという。

さらに緒方は、片山についてこうも続けた。
「野球に対しては本当にストイックな部分があるんだと思います。その分、考える量も増えるので、調子が悪くなったりする時期も時々あるんですけど、大学から大舞台で打つことが多かったのはそういう普段の姿勢から来るものだと思います。同級生として見ても、単純に凄いなあといつも感心していますし、尊敬もしています」

技術だけでなく、人格者としても知られる片山。その影響力はチーム内でも発揮されているようだ。

結果を残せなかったときこそ練習

チームの中心である4番を主に任される片山。社会人野球2年目を迎えた今季は、都市対抗野球近畿2次予選の6試合で19打数4安打と思うような結果を残せず苦悩した。

だが、「そんなときこそ練習だ」と、第4代表決定戦準決勝(対ミキハウス)の試合後には室内練習場で約1時間の打ち込みを行い、タイミングの取り方を修正した。すると、翌日の第5代表決定戦1回戦(対日本生命戦)では待望の本塁打が飛び出した。

チームの指揮を執る田中篤史監督も片山についてこう話す。
「責任感が強い人間なので(2次予選で)下位打線を打ったことが彼の中では物凄く悔しかったと思うんです。(ミキハウス戦後の練習も)このままじゃダメと思っているから出た行動だと思います。そこは私達もちゃんと見ていますね」

さらに田中監督はこうも続けた。
「やっぱり(周りに)認めてもらわないとね。打てなくても(コイツなら)仕方ないと思ってもらえる選手になってくれないといけませんし、そうなるんじゃないかとも思って見ています」

理想のホームランは西武の山川穂高

目標はあくまで「プロ入り」。

九州共立大時代から社会人野球で更なる経験を積んだ今、『これならばやれる』という自信もついている。

片山が言う。
「小さいときからプロ野球選手になりたいと思っていました。周りからも『プロ野球選手になれ』ってずっと言われてきましたし、小・中学の指導者からも『プロ野球選手になれる素質があるから』とずっと言われてきたので、その夢を実現させたいと思っています。なので本気で目指そうと思って、社会人でお世話になろうと思いました」

社会人野球に進んだある日の出来事。チーム関係者に自分の打球が高く上がったときのタイムを測ってもらったことがあった。その時間は5秒台から6秒台がほとんどだったと言う。プロのホームランバッターが柵越えを放った時のタイムが大体それくらいだから、充分それに匹敵するだけのパワーはあるように思う。

「打球の角度、今年のオールスターゲームで打った山川穂高選手みたいな芯で当てたらホームランみたいな感じを目指しています」

今年の都市対抗野球では残念ながら、期待したホームランは見られなかった。だが、準々決勝のJFE東日本戦、4回表にサードを強襲した打球(記録はエラー)に確かな手応えも感じている。

「あれは、ど真芯だったので(打球も)強かったです」
「1戦目、2戦目と(バットが)下から出て狙い過ぎている部分があったので、ちょっと低いライナーを打つくらいの感じで打席に入りました。それが結果として(ボールの)下に入って、上に上がってホームランになったら良いなあと思っていたので紙一重。(ボールの)下に入っていたら打球は上がっていたと思うので良かったかなと思いますね」

課題としていたタイミングも、この日は2本のヒットを放つなど上々の答えを出した。

田中監督もこう言う。
「いい味を見せてくれたと思いますし、まだまだこんなものじゃないとも思っています。まだまだ成長できると思っていますし(今後に)期待しています」

都市対抗野球が終ったのも束の間。9月1日には第45回社会人野球日本選手権大会の近畿地区最終予選が開幕する。

都市対抗野球8強と日本選手権優勝を手土産に、次の舞台へ飛び出せるか。

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