ビッグクラブへの資金集中に異議 利害めぐり欧州クラブサッカー改編議論紛糾

ビッグクラブへの資金集中に異議 利害めぐり欧州クラブサッカー改編議論紛糾

収益分配で対立

欧州クラブ協会(ECA)は9月9日から10日にかけてスイス・ジュネーブ総会を開催。アンドレア・アニェッリ会長が再選し、2023年まで8年間、欧州クラブの束ね役を務めることになった。 今回の総会の大きな論点は、2024年以降の欧州クラブ大会(欧州チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ)のあり方についてだが議論は紛糾。大会の改編をめぐり、出口の見えない議論が続いている。この問題を複雑にしているのが、プロスポーツには切っても切れない事柄である、収益の分配だ。

欧州チャンピオンズリーグ(CL)の賞金は本戦出場給や大会成績給などのいくつかの基準で決定される。その中の一つにUEFA係数給と呼ばれる基準がある。欧州サッカー連盟(UEFA)は、CLの賞金の30%を割り当てるために、60年以上にわたる欧州の主要大会での成績に基づいたランキングを作成し各クラブのUEFA係数給を定めている。

欧州クラブ協会(ECA)がUEFAに強く求めたこの算出方法では、長期にわたり好成績を残したクラブに多くの資金が流れる仕組みになっている。今季、レアル・マドリーにはCLの結果に関係なく、少なくとも3,500万ユーロ(約43億円)が支払われる。一方で出場32クラブの中でランキング最下位のクラブには110万ユーロ(約1億3,000万円)しか支払われない。

欧州各国リーグで構成されるヨーロピアン・リーグズは、これを止めるように要望している言われる。

代替の方法として、最近3年間の大会結果に基づき、より公平な分配を行うべきだと主張する関係者もいる。クラブや各国リーグにより、提案は大きく異なり、大会改編に関するUEFAの協議は、行き詰まりをみせている。

5大リーグが欧州大陸支配、中小クラブから格差是正求める声

欧州チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、シーズン開幕時のUEFAスーパーカップの放映やスポンサーシップ販売の総収益は、1シーズンで32億5,000万ユーロ(約3965億円)にものぼる。

現在、ECAで提案されている改編案を実施するための、非常に大きな障害の一つは、5大リーグ(プレミアリーグ、リーガ・エスパニョーラ、ブンデスリーガ、セリエA、リーグ1)が抱く懸念だと言われている。もしUEFAの新たな計画で、欧州大会の放映権収益が増加するならば、それは国内リーグ・大会の衰退という代償を払うことになるというのだ。

ただ、これはリーグにより、意見に相違が出るだろう。オランダ、ポルトガル、ベルギー、スコットランドといった中堅国のリーグでは、国内での放映権収入が限られており、国内ビッグクラブといえども欧州大会で対等に競争できるレベルを維持することは財政的に厳しい。欧州大会からの収入が増えるのは願ってもないことだ。

一方で、昨シーズン、プレミアリーグの最下位クラブだったハダーズフィールド・タウンは、放映権収入だけで9660万ポンド(約134億円)を得た。これはスコットランド王者であるセルティックの CL賞金を含む2018年総収入1億0160万ポンド(約141億円)に匹敵する。ちなみにセルティックは2019年のCLグループステージ進出が出来ずに収入は低下した。

この事から分かるように、チケット、マーチャンダイズ、スポンサー収入等を合わせたプレミアリーグ最下位クラブの収入は、スコットランド首位クラブの収入よりずっと多い。スコットランドのビッグクラブは、プレミアリーグのクラブには勝てないと言われているが、経済的に見れば当然のことだ。

欧州クラブサッカーは5大リーグが席巻している。中堅国クラブには、迅速に行動を起こさなければ、格差が更に広がり埋められなくなるという危機感がある。5大リーグの抱く懸念以上に改編の障害になっているのは、オランダやポーランドといった中堅国クラブの危機意識だという意見もある。

アヤックスのエドウィン・ファン・デル・サール氏は「UEFAは、大国から小国までお金を分配します。それに加えて、5大リーグは、それぞれ世界中からお金を集めています。これでは持続可能ではありません」と訴える。

中堅国のあるクラブ関係者は、イングランドのビッグクラブに問題はなく、その競争力と歴史的、世界的な魅力を考えても、プレミアリーグ全体に問題はないと語る。しかし自分のクラブの収入が減っている一方で、イタリア6番目のクラブが、国内外からの莫大な放映権収入を得る理由を疑問視。

「うちのクラブの魅力が低くなるほど、試合を観戦したい人が減り、選手が他国のクラブに早く出てたいと思うようになります。主要国リーグは、国内にしか興味がなく、欧州大会に関心を示しません。うちの場合は、欧州大会が全てなのです」と嘆く。

延々と続く意見のぶつけ合い、大会論争の落とし所は不透明

欧州クラブ大会については、より幅広いレベルの競争、より多くの試合の実施、より高収入を生み出すことをどのように実現するかが問われている。

しかし9月9日から10日にスイス・ジュネーブで開催されたECA総会後、アンドレア・アニェッリ会長は、改編内容の決定は当初予定の2019年12月ではなく、2022年までに行われることになったと明らかにした。決定期限の突然の変更は、ECAでの議論の進捗がみられないことを物語っている。

2024年の改編という点は、コンセンサスがあるが、放映権販売をUEFAが開始する2022年までに決定する必要がある。

UEFA、ECA、ヨーロピアン・リーグズの代表者会議も9月に、スイスにあるUEFA本部で開催される予定だったが、 UEFAのアレクサンデル・チェフェリン会長により中止された。

議論が遅々として進まないのは、競技面だけではなく、経済的な成功を目指す各リーグやクラブの駆け引きがあるからだ。現状、どのような大会像を目指すかというおぼろげな全体像すら定まっておらず、先行きは不透明だ。


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