二大巨星、堕つ

2019年はディープインパクト、キングカメハメハという2頭の名種牡馬がこの世を去った。ともに現役時代にダービーを勝って頂点に立ち、種牡馬としてもリーディグサイアーとなった超一流馬。日本競馬への貢献度は計り知れないものがある。

ディープインパクトに関してはまだデビュー予定の産駒がたくさん控えているが、いつかはランキング首位の座を明け渡す日がくる。それは彼らの後継種牡馬なのか、はたまた輸入種牡馬の逆襲があるのか。そういったことを予想するのもまた、競馬の面白さの一つである。

実は凄い?ハービンジャー

2019年の中央競馬総合リーディングサイアーはディープインパクト。これでV8達成となり、まさに向かうところ敵なしの状態が続いている。ディープインパクトの父であるサンデーサイレンスは芝の一流馬をたくさん出したが、同時にダートの強豪も多く輩出。ディープイパクトは果たしてどうなのだろうか。ディープだけでなくそのほかの種牡馬も交えて検証してみた。

2019年リーディングサイアー・芝(中央)(賞金順)

まずは中央の芝部門。予想通りディープインパクトが断トツの1位。勝利数、重賞勝利数、賞金の全てで2位以下に倍以上の差をつけている。ちなみに、総合リーディングだと2位のハーツクライに倍スコアとはならず、ダート部門に限れば27位まで順位が下がる。父と違ってより芝向きの種牡馬だと考えていいだろう。

2位はハーツクライ。リスグラシュー(宝塚記念、有馬記念)やスワーヴリチャード(ジャパンカップ)など、産駒は特に賞金の高いレースでの活躍が目立った。ハーツクライの凄いところは、中央のダート部門で9位、地方(勝利回数)でも5位にランクインしていること。上記の代表産駒からも芝の中・長距離タイプのイメージが強いのだが、実はダートも全く問題なし。同じサンデーサイレンス系だが、ディープインパクト以上の万能種牡馬ということを証明している。

3位のロードカナロアは合計3世代でこの順位である。初年度にアーモンドアイ、2年目にサートゥルナーリアを出して順風満帆。ディープ亡き後、リーディングサイアー候補の筆頭はやはりこの馬で間違いない。

4位のステイゴールドは2015年に死亡していることもあり、ベスト10の中では最も出走回数が少なく、勝利数もディープインパクトの4分の1にも満たないのに獲得賞金は4位。まさに大舞台に強い証しである。

5位ルーラーシップ、6位ダイワメジャーときて、7位のハービンジャーには是非触れておきたい。ダート部門だと何と68位。ディープインパクト以上の芝専科だ。賞金のほとんどを芝だけで稼いだと考えると、相当に資質の高い種牡馬といえる。

このハービンジャーという馬はキングジョージなどを勝った欧州の一流馬だが、血統がDansili×Beringと少々重い。これまで日本に輸入されて結果を出せなかった欧州型に似ていて、正直なところ成功は厳しいのでは思っていた。それが、今では大舞台に強い種牡馬として定着。産駒のタイプはステイゴールドに近く、今後はますます存在感が増すと考えられる。

ファーストシーズンサイアートップはキズナ

2019年の新種牡馬ランキング1位はキズナ。

2019年ファーストシーズンサイアー(中央)(賞金順)

出走回数、出走頭数ともに群を抜いていて、数の勝利にも思えるが、ビアンフェが函館2歳Sを、マルターズディオサが朝日杯FSで2着と好走。中身も伴っていた。いろいろな条件で活躍する馬を出しており、母系のよさを引き出しているという言葉通りの結果といえるだろう。2歳総合でも3位にランクイン。仕上がりの早さは大きなアピールポイントとなるだけに、今後もリーディング上位の常連に名を連ねそうだ。

2位は現役時代、キズナのライバルだったエピファネイア。初年度こそキズナに譲ったものの、近年の種付け頭数はキズナを上回っており、今後逆転する可能性は十分あり得る。

3位はリアルインパクト。父がディープインパクトで、同系統のライバル種牡馬がたくさんいることを考えると大健闘だろう。

ゴールドシップは札幌2歳Sで産駒のブラックホール、サトノゴールドがワンツーを決めて4位まで順位を押し上げた。ダートでも勝利を挙げているが、産駒の走りを見ていると典型的な芝種牡馬とみて間違いない。父ステイゴールドに似たタイプだが、その父以上に振り幅が大きく出そう。よってコンスタントな活躍は望めなくても、超大物が出る可能性は十分あるとみている。

以下、5位ワールドエース、6位マジェスティックウォリアーと続くが、だいたい出走頭数に比例しており、2019年は順当な結果だったといえる。

意外にすごいドリームジャーニー

2歳全体ではディープインパクトが貫録の首位。

2019年2歳リーディングサイアー(中央)(賞金順)

ホープフルSではコントレイルがクラシックに向けて大きな期待を抱かせるレースを見せた。重賞勝利数も4勝で1位だが、もう1頭重賞を4勝した種牡馬がいる。それが2位のハーツクライ。こちらは産駒のサリオスが朝日杯FSを快勝。コントレイルと同様に今年が楽しみな馬である。ハーツクライ産駒は古馬になって強くなるイメージだったが、昨年10位、一昨年は3位と、2歳リーディングでもコンスタントに上位に入っている。仕上がりが早く、成長力があって、しかもダートも走る。父サンデーサイレンスに一番近いのは、実はこの馬なのかもしれない。

3位は新種牡馬ランキング1位のキズナ。2歳全体の中に入っても出走回数が抜けて多く、300回を超えたのは2015年のダイワメジャー(332回)以来。これで産駒に成長力があれば鬼に金棒だ。5位のエピファネイアも出走回数が多く、この2頭にかかる期待の大きさがよく分かる。

そのほか4位ダイワメジャー、6位ロードカナロアなどおなじみの名前が並ぶが、気になるのは9位のオルフェーヴル。芝ランキングでも9位と結果を残しているのだが、ここ2年で種付け数が激減。気の悪さが嫌われているという話も聞くが、現役時代のスーパーホースだけに産地の期待が大きすぎたのか、それとも何かほかに理由があるのか。

ちなみに、全兄ドリームジャーニーはアクシデントがあり、この世代の生産頭数は3頭のみ。それでも2019年にデビューした2頭はいずれも勝ち上がり、そのうちの1頭ヴェルトライゼンデがGIホープフルSで2着。受胎率の悪さもあってあまり話題にはならないが、種牡馬としてのポテンシャルは相当高いと考えられる。

2歳部門はディープインパクトをはじめ、3年連続でトップ10入りした種牡馬が何頭かいる。新たに加わったキズナ、エピファネイアが今年もここに残ることができるかどうかこの2頭から目が離せない。

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。