昨季はわずか20試合の出場にとどまる

昨季、チーム得点がリーグ最少の544点のオリックス。投手は山本由伸や山岡泰輔、田嶋大樹ら実力のある若手がひしめき計算が立つものの、やはり課題は打線だ。主砲の吉田正尚は2年連続で好成績を残すなど安定感と期待感があるが、全体的な迫力不足は否めない。それでも、チーム盗塁数はリーグ2位の122個と機動力があるため、吉田らを含む中軸が機能すれば一気に得点力が上がる可能性も秘めている。

昨オフにはチームの得点力不足解消のため、メジャー通算282本塁打を誇るアダム・ジョーンズを獲得。新4番候補のジョーンズが日本の野球にアジャストすれば打線の破壊力も増すはずだが、額面通りの活躍を見せてくれるかどうかはシーズンが始まってみなければ分からない。

仮に好調な滑り出しを見せても、吉田とジョーンズだけをマークしておけばいいという打線の状態が続けば打線がつながりをかき、「線」として機能しない。そこで期待がかかるのが、かつての本塁打王・T-岡田だ。

昨季はレギュラーに定着して以来、最少となるわずか20試合の出場にとどまった。打率.120、1本塁打、2打点は本人もファンも目を覆いたくなる数字だが、それでも昨オフに新たに3年契約を結んだ。

ここ数年は不本意な成績である中、異例ともいえる3年契約。球団から「やってもらわないと困る存在」「チーム上昇のためには不可欠な存在」と認識されている証明であるし、期待に応えるためにも今季は是が非でも復調した姿を見せなければならない。

得点力向上に欠かせないプレーヤー

ここ2年は不振が続いているT-岡田だが、2017年シーズンには143試合に出場し、打率.266、31本塁打、68打点、出塁率.374と、2010年に本塁打王を獲得した時以来ともいえる好成績を残している。

また、四死球で出塁する程度を表すセイバーメトリクスの指標であるIsoDは0.11をマーク。主に選球眼の良さを測ることのできる同指標は、ソフトバンクの柳田悠岐に次ぐリーグ2位の数値だった。さらに、打者がどれほど得点を生み出したのかを測ることのできる指標RC(長打力や出塁能力に加え、犠飛や犠打、盗塁などOPSにはない要素も加味されており、精度の高い得点貢献能力が識別できる)は、リーグ4位の92.62。

RCはチームの打者全員分の合計がチーム得点数となるため、2017年シーズンのオリックスのチーム得点539点のうち、約93点をT-岡田ひとりの力で稼いでいたのだ。何かがきっかけで長いスランプに陥りがちなT-岡田だが、こうした数値を振り返ってみるとチームの得点力向上に欠かせないプレーヤーであることが改めて分かる。

同シーズンの球種別の打率をみると、直球やツーシーム、チェンジアップに対しては3割以上をマークしている。その一方で、フォークやカーブには1割台と得意な球種と苦手な球種がはっきりしていた。

また、31本塁打のうち24本塁打がライト方向へのものだった。T-岡田の魅力は器用に対応するというよりも、シンプルに打てる球を振り抜いて美しいアーチを描くこと。少なくとも本塁打王を獲得しブレイクした2010年あたりの打席では、来た球をシンプルに振り抜いている印象が強かった。

レギュラー奪還は茨の道

昨オフには、主に若手が参加するウインターリーグに参加。22試合に出場し打率.200、4本塁打、9打点と数字としては満足のいくものではなかったと思うが、劇的なサヨナラ本塁打を放ちチームメイトらと喜びを爆発させるなど、日本とはまた違う環境で新たな収穫を得た。何よりも同リーグに参加したことが、今季にかける意気込みの表れだろう。

ただ、レギュラー奪還を目指す一塁は激戦必至。昨季途中加入のスティーブン・モヤのほか、今季から新加入のアデルリン・ロドリゲスらとの競争が予想される上、DHに関しても外国人助っ人のほか、吉田らを含めた競争になるケースも考えられる。試合に出続けることは困難な状況が予想されるが、本来の実力を発揮できればレギュラー奪還の可能性は十分にある。

2月9日に32歳になったばかりでまだまだ老け込む年齢ではない。吉田とジョーンズ、そして復調したT-岡田がそこに加われば打線の破壊力は格段に上がる。昨季はこれ以上にないほどに落ちたのだから、今季は這い上がるだけだ。描くアーチの軌道の美しさはリーグでも屈指。浪速の轟砲の復活を多くのファンが期待している。