加藤健一・竹下景子・小須田康人が加藤健一事務所『喝采』を語る

加藤健一・竹下景子・小須田康人が加藤健一事務所『喝采』を語る

加藤健一事務所がクリフォード・オデッツの名作『喝采』を2019年3月13日(水)〜3月17日(日)下北沢・本多劇場で上演する。加藤健一事務所では同作を2017年に上演、今回が再演となる。

ブロードウェイ初日を間近に控えた舞台の主演俳優が突然いなくなった。演出家バーニーの発案により往年の名優で今は酒浸りのフランクが代役に起用される。しかし地方公演の初日劇評でナーバスになったフランクは、献身的な妻ジョージーともぶつかり自暴自棄に。そして白日の下に晒される夫婦の過去と真実の姿。急接近するバーニーとジョージー。ブロードウェイの初日は容赦なく迫る……という、演劇の舞台裏を描いた演劇作品である。

1950年に発表された本作は1954年にビング・クロスビー、グレース・ケリー、ウィリアム・ホールデンら出演で映画化され(日本公開1955年)、ジョージーを演じたケリーがアカデミー賞主演女優賞を受賞した。また日本では、2005年、2007年に地人会(現・地人会新社)が舞台上演を行い、フランクを篠田三郎、ジョージーを倉野章子、バーニーを若松泰弘が演じた。 今回の加藤健一事務所公演では、フランクを加藤健一、ジョージーを竹下景子、バーニーを小須田康人が演じる。演出は松本祐子。また、美術を2017年度第25回読売演劇大賞 優秀スタッフ賞を受賞した乘峯雅寛が手掛ける。

加藤健一事務所『喝采』舞台写真〜加藤健一、竹下景子

加藤健一事務所『喝采』舞台写真〜加藤健一、竹下景子

去る2019年1月23日に下関市生涯学習プラザ海のホールで本作の初日を開けた直後の加藤健一、竹下景子、小須田康人による「初日コメント」をここに紹介する。

フランク・エルジン(かつての名優) 役:加藤健一

◆初日があけて(地方公演での会員の皆さんの反応や手応えはいかがですか?)

こんなにシリアスな芝居なのに初日のカーテンコールから大勢の人々がスタンディングオベーションで応えてくれた事には、本当にビックリしました!!中にはスタンディングオベーションをされたのは初めてという役者もいて、やっている僕たちの方が感動を頂いている感じです。最後の本多劇場公演までには、もっともっと芝居を深めたいと思います。

◆再演にあたって(作品に対する思いなど)

同じ回数の舞台に立っても、ロングランと再演とでは違いがあります。ロングランは皆で決めた方向に向かって、上演期間中、切磋琢磨を続けます。でも、再演は、時をおいてもう一度その作品と向き合う為、方向そのものをもう一度、客観的に見つめ直すことが出来るんです。役者も演出家も。再演が決まった時には、もう一度、生みの苦しみが始まるんだなあという思いがありますが、出来上がってみれば、やはり「本当にやってよかった!!」という思いで一杯です。

◆キャスティングについて(改めて向き合う相方・竹下景子さんとの掛け合いに何か変化はありましたか?また、新たなキャストメンバーと再演を作り上げてみていかがですか?)

竹下景子さん演じるジョージーという役は、初演よりずっと強い女性になっています。ジョージーが本気で怒る時、ゾクッとするほどの怖さを感じます。夫に対して本気で怒る事は、その裏側に本気の愛を感じ、毎日、ライブ感一杯の台詞のラリーを重ねています。新メンバーも予想通り、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれ、キャストが変わるとこんなにも芝居が変わるのかと、改めて感動しています。

◆フランク・エルジンという役、人物について(この役を演じる上で、新たに発見した難しいところ・楽しいところなどあれば)

愛する相手役を心から愛する事。自分の役所の悩みに本気で立ち向う事。役者として、当たり前のことですが、幸運にも再演のチャンスを頂いたのだから、この当たり前のことをもっともっと深めて行くだけです。発見する事は、毎日沢山あり過ぎて、とても一言では言えません。

◆今回のツアーのラストに控える東京公演に向けて一言

舞台の再演は映像の再放送や再上演とは全く違い、キャスト・スタッフ全員が、初演の成果を上回るべく、全身全霊を傾けます。ですから、よほどの事がない限り、再演を重ねる度に芝居はどんどん良くなって行くものです。今回も、初演の『喝采』よりは格段に良くなっていると思います。より深く、より感動的な作品に生まれ変わっていますので、是非劇場まで確かめに来て下さい。

加藤健一

加藤健一

加藤健一(かとう けんいち):1968 年に劇団俳優小劇場の養成所に入所。卒業後は、つかこうへい事務所の作品に多数客演。1980 年に一人芝居「審判」を上演するために加藤健一事務所を設立。以降、英米の翻訳戯曲を中心に次々と作品を発表。俳優としての活動のみならず、演出家・プロデューサーとしても実績を上げている。2007年秋、紫綬褒章受章。2013 年、第 38 回菊田一夫演劇賞受賞。2016年、毎日映画コンクール男優助演賞受賞。他授賞多数。

ジョージー・エルジン(フランクの妻)役:竹下景子

◆初日があけて(地方公演での会員の皆さんの反応や手応えはいかがですか?)

私にとっては久々のツアー初日。都内でのゲネから間があいていたこともあってドキドキしましたが、演劇に日頃親しんでいる会員さんだけあって、ジョージーが登場する 2 場ではスッカリ場の空気が出来ているように感じました。終演後に「(観客が)皆、緊張してて、もちろん良い意味で。こういうのは久しぶりですね」と主催の方からお褒めの(?)言葉を頂戴してホッとしました。本当に演劇は演る側と観る側、その両方で創っていくのだな、と実感しました。

◆再演にあたって(再演が決まった時の思い、作品の魅力・作品に対する思い、など)

これは夢、と思うくらい嬉しかったです。というのも、翻訳劇の経験の乏しい私にとって、この「喝采」は願ってもないくらい魅力的な作品であると同時に、私にはあまりあるほどの体力・気力を要するものだったからです。つくづく肉食の西洋人に生まれたかったと、自分の出自をうらめしく思いました(笑)ですので今回の再演は、まさに「リベンジ」。挑戦したいことがいっぱいです!この 40 回超えのステージで、夢から本物のジョージーに向かって一歩一歩進んでいきます。

◆再演稽古での思い出について(再演に向かう松本祐子さんの演出を受けた感想、など)

再演の稽古初日に松本祐子さんから「再演することで作品への理解がさらに深まる」とお話しがありました。必ずそうしなくては、と思いました。その一方で、初演の心構えで、と自分に言い聞かせました。新たなキャスティングで臨む今回です。日々新たな発見を積み重ねていきたいと祈るような想いもありました。そして、本当に!多くの発見と気づきがありました。祐子さんの時に大胆、常に繊細で辛抱強い演出がなければ今日の日はありませんでした。感謝の気持ちでいっぱいです。

◆ジョージー・エルジンという役、人物について

ジョージーは誠実を絵に描いたような女性です。見栄っ張りで甘えん坊のフランクを心から愛しています。とても私には真似できません(笑)。そんな彼女を作ったのは故郷ハートフォードと両親の愛でしょう。特に父親の。父親がそうだったように、彼女は自分を信じています。そして、本が彼女の友達です。少女の頃も、今も。そんなジョージーらしい台詞がこの戯曲にはキラ星のようにちりばめられていて、それが作品を時にコミカルにもリリカルにもしてくれています。そしてもう一つは、女性が自立して生きることの難しさと大切さです。1950 年代は今よりもっと困難な道だったことでしょう。この点でもジョージーは揺れ動きます。当時に思いをはせて演じたいと心がけています。

◆今回のツアーのラストに控える東京公演に向けて一言

新たに生まれ変わった「喝采」は、われらが加藤健一さんの仰るように、演劇人への応援歌であるのと同時に、人生への応援歌でもあります。たくさんの愛にあふれたこの作品にどうぞご期待ください! 本多劇場でお待ちしています。

竹下景子

竹下景子

竹下景子(たけした けいこ):1973 年「波の塔」(NHK)でデビュー。映画「学校」で第 17 回日本アカデミー賞優秀助演女優賞、2007 年「朝焼けのマンハッタン」(地人会)、「海と日傘」(あうるすぽっと)で第 42 回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。他受賞多数。最近の主な出演舞台は「君はどこにいるの」(石井ふく子事務所/17)、「移動」(可児市文化芸術振興財団/18)など。加藤健一事務所には「川を越えて、森を抜けて」(09,12)、「喝采」(17)に出演。

バーニー・ドッド(演出家)役:小須田康人

◆初日があけて(地方公演での会員の皆さんの反応や手応えはいかがですか?)

風邪大流行の時期なのに、緊張感あるシーンでは皆さん咳を堪えてまでご覧くださって、そのお気遣いがとてもありがたかったです。演劇鑑賞会のお客様は数多くの公演に足を運ばれていて演劇通の方が多いので、その皆様からお褒めいただけて光栄です。僕自身は初日はかなり緊張して反省点も多々あり、2日目の昼間は時間に余裕があったので、武蔵と小次郎の決闘の場、巌流島に行ってきました。なんにもないところと聞いていましたが、ホントになんにもなくて心が洗われるようでした。おかげで2日目、3日目は落ち着いて演じられました。

◆稽古での思い出、上演にあたって(出演依頼をもらって最初に台本を読んだ時の感想、松本祐子さんの演出についてなど)

難しい役だな、というのが台本初見の感想です。実際、稽古は苦闘続きでした。僕の演じる演出家バーニーの特徴でもあり、この作品の作家クリフォード・オデッツの特徴でもあると思うんですけど、なんていうか素直な言い方をしないのですよね。劇中、何度も口論になるのですが、相手の質問に答えずに違う話を始めたりものすごく遠回しな皮肉を言ったり。僕自身は人とケンカなんかまずしないので、自分をそっちの方向に追い込むのに苦労しました。演出の松本祐子さんはそんな僕を決して甘やかすことなく、精神的にとても鍛えられました。

◆今回のツアーのラストに控える東京公演に向けて一言

下関と熊本で計5ステージ終えたばかりですが、皆様からご好評いただけてとてもうれしいです。松本さんが稽古の最後に「再演だけれども今回新たな発見がたくさんあった。充実した稽古だった」と言っていて、自分で言うのもなんですが、完成度の高い舞台に仕上がっていると思います。初日の緊張も、完成度の高さへの意識があったからでしょう。1ヵ月半の旅公演の間、この完成度と緊張感をキープしつつ、また新たな発見もあるはず。東京公演もきっとご満足いただけるものと確信しています。本多劇場でお待ちしています!

小須田康人

小須田康人

小須田康人(こすだやすと):1981年、鴻上尚史主宰の劇団第三舞台の旗揚げにスタッフとして参加。第2回公演「宇宙で眠るための方法について」以降、すべての第三舞台公演に看板俳優の一人として出演。最近の主な出演出演は「取引」(オフィスコットーネプロデュース/17)など。加藤健一事務所公演には「マイ・ファット・フレンド」(92)「ザ・フォーリナー」(99)「木の皿」(03)に出演。


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