ポップでシュールなナンセンス世界を切り開いてきた大倉孝二とブルー&スカイによる「ジョンソン&ジャクソン」が渋谷のユーロライブへ。ただし今回は公演でなく、「梅まつり」と題したイベントとのこと。2020年2月28日(金)〜3月1日(日)の3日間、開催される。そこでSPICEは、大倉、ブルー&スカイの両氏に話を聞いた(※インタビューは2019年12月中旬に実施)。


■ 一本モノではない何かを

――梅まつりで何をやるのか、まだ完全には決めていないんですよね。

大倉孝二(以降:大倉) さっき顔合わせだったんで、はじめて本気で話し合いました。思いついたことを話したんですけど、メモったりメモらなかったりしたというのが今日の作業です。

ブルー&スカイ(以降:ブルー) コント寄りにはならないと思います。

大倉 言い出しっぺは僕なんです。ジョンソン&ジャクソンは1年おきにやってきたんですけど、2020年は公演を打つのが難しくて、それでも何かやっておきたいと。2年空いて、またやってもみんなどうせ忘れているだろうから、「ジョンソン&ジャクソンは続いていますよ」という意味で、なんかお祭りでもやっておこうというのがきっかけです。生存をお知らせするために。

ブルー じゃあ、ライブハウスとかでやればいいんじゃないかという。


大倉 今考えれば、こうして「繋ぎ止めみたいな企画をしてなんの意味があるんだ?」なんて考えちゃいますけど(笑)。

――ブルーさんの構想は?

ブルー コントはコントでやりますけど、ふだんのように一本モノでないものをやるつもりです。演奏みたいなこともやります。決まっているのは菊池明明さんが進行ということくらいですね。イベント的なものになるでしょうから。

大倉 これに関してはブルーさんが進行の人が必要だというから、ナイロン100℃の菊池に頼んだんです。僕は最終的に進行でなくて、何かやってもらってもいいと思っています。(菊池に)声をかけたんでね。進行じゃなくてもいいんじゃないかという。


■ 大倉孝二は台本を書きたくない?

――2014年からジョンソン&ジャクソン名義で始まりましたね。

大倉 ナイロン100℃の『持ち主、登場』で初めて本格的に一緒にやったのがきっかけですね。もちろん、それまでも知り合いではありましたが。

ブルー 出会いは、ナイロンで客演するようになったときです。20年以上前かな。地方公演のあと、新幹線で帰るとき、きちんと話したのが最初だったと思います。稽古中はいっさいしゃべらなかったから。

大倉 そのころのことはいっさい覚えてないですね(笑)。

ブルー 『ザ・ガンビーズ・ショウ』という作品で、けっこう客演の人が多かったんです。

大倉 本当の最初の出会いは『イギリスメモリアルオーガニゼイション』ですよ。峯村リエが企画したもので、98年だったかな。


――付き合いは長かったわけですが、本格的にジョンソン&ジャクソンへと動いていくのは……。

大倉 『イギリスメモリアル〜』では、早い話が峯村リエに作・演出を押し付けられたんですよ(笑)。僕はそもそも書かないのに、結果的にブルーさんとふたりでそういうことになって。そこから何をしようともなく、いつか何かできたらいいねという話はしていました。で、自分企画でお芝居をしたいと思ったとき、やるんならくだらないことがいいなと思って、ナイロンで『持ち主、登場』という形になりました。だから僕、ジョンソン&ジャクソンをやるにあたっても、作・演出家としてブルー&スカイを呼んでいるつもりなんです。だけど「ひとりじゃヤダ」と彼がいうものだから……。

ブルー 一緒にやろうよと声をかけられたので、一緒にやるということはつまりそういうことなのかなって。

大倉 そうじゃないんですよ。いまだに作・演出をやりたいなんて思っていないんだから。

――ブルーさんも、脚本提供されるじゃないですか。一緒に作るのではなく単独で台本を書くことも可能ですよね。

ブルー ほかのカンパニーではそうですけど。ひとりで作・演出したいものもありますけど、大倉さんとやるときはふたりのほうがいいかなと思ったんです。まあ、作るのはつらい作業ですから。

大倉 つらいという理由でね、僕まで作・演出を一緒にさせられるこの理不尽さ。いまだにブルーさんひとりでやってほしいのに、一緒にやろうと言ってくるので、僕は正直困り果てています(笑)。

ブルー 共作の面白さがあって。僕ひとりが書くと、くだらないにしても、偏り過ぎてしまうと思うんです。

大倉 なんにせよ、ふたりでやるときに、彼は楽しんでくれています。だから僕も「もう1回やろうよ」ということで続くんですが、共作スタイルは一向に崩れない(笑)。

ブルー 共作でいいのは、苦しい気持ちを減らせるんですよね。

大倉 言ってることが全部うしろ向きなんだよね。つらさの軽減を目的に共作するってどうなの? まあ、彼にとってそれが共作のメリットなんですね(笑)。あの、ダメです。この人(笑)。


■ そんなに観なくてもいいものを作る

――昨年、フロム・ニューヨーク『こまかいのの貸し借り』が上演されました。フロム・ニューヨークとジョンソン&ジャクソンの作り方に違いはありますか?

ブルー フロム・ニューヨークでは僕が基本的な部分を書いて、ト書きの部分をエチュードでやってみます。完全に僕ひとりで作っているわけじゃないけど、基本は僕が設定しています。ジョンソン&ジャクソンは、シーンで分けて書くこともありますし、会議が多いです。大倉さんは手書きなので、それをもらって書き足したり、僕が少し手を加えたりします。


大倉 ほんと、ぜんぜんやりたくないんですよ(笑)。書くことなんて志望してこなかったんですから、人が書いたことをやりたい。今回は、お芝居的なことをやるにしても、もっと何をやるかわからないんです。菊池が進行で入るとしても、こんな二人きりな企画はこれまでなかったですからね。イベントとして、もっと人が入ることがあるかといえば、たぶんなるべくふたりでやるスタイルになるでしょうね。メインとしては、僕たち二人だけで、ふだんやらないことをやろうと話しています。

――梅まつりというわりに、本番の2月末あたりは寒いかもしれませんね。

大倉 そうかもしれませんね。梅まつりというネーミングも、そんなに考えてはいませんから。特に意味はないです。

ブルー 実際の梅まつりはこの時期におこなわれるんですよ。

大倉 別にいいだろ、そのこだわりは(笑)。僕、ちょっと考えている事があって。もちろん観に来てほしいんですが、「そんなに観に来なくてもいいよ」という思いがどこかに残っていて(笑)。そんなにお客様が観に来てくれなかったとしても、いいものを作りたいというか。

ブルー そんなに観なくても、いいものを作る、というのが僕は面白いと思うから。

大倉 だいたい、本気で観に来てほしい人たちがこんなチラシ(下記イベント情報欄参照)を作りませんからね。

――本当の梅まつりのポスターみたいですね(笑)。

大倉 もちろん来てほしいんだけどね! なんだけど、その内容は決して本気で観なくてもいいものであるという……。微妙なこの思いを察知していただければ(笑)。


取材・文/田中大介
撮影/福岡諒祠