コミックスは累計発行部数1500万部を超え、第10回手塚治虫文化賞新生賞、第31回講談社漫画賞(一般部門)を受賞するなど、ひぐちアサによる大人気高校野球漫画『おおきく振りかぶって』。

2020年2月14日(金)より、2018年に行われた初演再演と、舞台第3弾となる新作『おおきく振りかぶって 秋の大会編』のダブルヘッダー特別公演がスタートした。

ゲネプロの前に行われた囲み取材には、三橋廉役の西銘駿、阿部隆也役の大橋典之、榛名元希役の神永圭佑、秋丸恭平役の佐伯亮というバッテリー2組と脚本・演出の成井豊、特別ゲストとして、テーマ曲と挿入歌を担当するBase Ball Bearが登壇し、意気込みや作品への思いを語ってくれた。

――一番印象に残っているシーンは?

佐伯:シーンとは少し違うかもしれませんが、やっぱり本編を通しての三橋の成長がすごく感情移入できると思います。三橋が西浦の仲間と出会って、仲間の存在を感じて日々強く逞しくなっていく姿は見応えがあると思います。三橋演じる西銘くんはすごく熱いものを持っているので、ぜひ見ていただきたいです。

あともう一つ、今回OPとEDでダンスを踊るんですが、再演はBase Ball Bearさんの「ドラマチック」、新作はGalileo Galileiさんの「夏空」をテーマにしています。高校ごとの良さがすごく出ていて、西浦のチーム感溢れるフォーメーションだったり、敵校はカッコよさや存在感だったりが出ているので、そこもぜひ見ていただきたいです。

――神永さんは野球経験者ですが、苦労した点はありますか?

神永:僕は小学校3年生から中学校まで、野球部に入っていました。怪我で辞めてしまったんですけど、途中まで。

右投げ・右打ちのキャッチャーだったんですが、今回僕が演じる榛名は左投げ・左打ちのピッチャー。正反対の役です。左打ちは一瞬やったことがありましたが、左投げはなかったので、そこは苦労しました。

――大橋さんは前回の夏の大会編、今回の再演、秋の大会編と3作演じられています。三橋と阿部の関係はどう変化したと思いますか?

大橋:お互いの信頼が変わってきたなと思っていて。一作目は三橋を引っ張っていく感じでしたが、夏の大会では三橋と手を組むことの大切さに気付き、秋は手を取り合った上での試合運びということで、最初は足し算だったものが掛け算に変わっていく。相乗効果がどんどん増えていっていると思います。

――舞台第3弾ですが、作品やカンパニーの雰囲気はいかがでしょうか。

西銘:最初にお会いした時はまだぎこちないじゃないですか。でも、稽古しているうちに、高校が舞台になっているのでみんな高校生っぽくなっていくというか。ふざけ方とかも高校生っぽくなっていって、稽古中も笑いが絶えませんでした。

――ダブルヘッダー公演ということで、2作分の稽古があったと思います。一番苦労した点はどこでしょうか。

成井:役者たちが色々忘れることです(笑)。1本目の稽古をして、だいたい固まって2本目の稽古をした後に1本目に戻るとまあ忘れてるんです。2作で4試合あるので、この回の頭で打つのか三振なのかを忘れちゃって。7週間もあったのでさすがに最後は忘れなくなりましたけど、最初のうちは思い出す稽古みたいな。それが一番大変でした。

――挿入歌である「ドラマチック」の制作秘話を教えてください。

小出祐介:デビューして2年目のシングルなんですが、「おおきく振りかぶって」に使っていただくために、1ヶ月くらいみっちり制作に入りました。僕らのことをたくさんの方に知っていただくきっかけでもあるので、今でもすごく大切にしている曲です。

――今回、「今は僕の目を見て」もお借りしています。こちらの制作エピソードもありましたら。

関根史織:3ピースバンドになって、純粋な3ピースバンドとしての曲にしたいと思って作った曲です。まさか舞台で使われると思っていなかったですし、すごくいいシーンで使って頂いて、「この曲がこんなところで使われるんだ」と嬉しく思いました。

――堀之内さんは高校時代に応援団で甲子園に行かれたと伺いました。現役時代の思い出があったら聞きたいです。

堀之内大介:高校一年の時、たまたま応援団として行っただけなんですけど。決勝まで行きまして。なので、「おおきく振りかぶって」は僕の高校時代の思い出とドンピシャで、胸にグサッとくる感じです。関根も言ってましたけど、「今は僕の目を見て」もすごく印象的なシーンで使って頂いて、三橋くんの応援団になれたような気持ちです。

続いて行われたゲネプロの様子をお届けしよう。

<あらすじ>
祖父の運営する中高一貫校の中等部から県立西浦高校に進学した三橋廉。
中学時代は野球部のエースだったが、「ヒイキでエースをやらせてもらっている」とチームメイトから疎まれ、自信をなくしていた。
野球を諦めきれずにグラウンドを眺めていた三橋は、新設されたばかりの西浦高校野球部に強引に入部させられてしまう。
三橋の努力と可能性に一早く気づいた捕手・阿部隆也をはじめとするチームメイトたち、女性監督・百枝まりあたち指導者に支えられながら、三橋は少しずつ成長していく。
部員わずか10名、全員が1年生。西浦高校野球部の挑戦がはじまる。
 



囲みで佐伯が話していた通り、OPで「ドラマチック」に合わせて披露されるダンスは各校やキャラクターのカラーが出ており、本編への期待が高まる。



初演や夏の大会編から続投のキャストたちの安定感はもちろん、今回が初参加のキャストたちも存在感を発揮しており、どの高校もチームワークの良さは抜群。さらに、監督のモモカンや顧問のシガポ、マネージャー・しのーかといった面々が要所で野球やトレーニングについての解説をしたり、チームメンバーをサポートしたり、クスッと笑えるシーンで物語に花を添えたりと、良いアクセントとなっていた。





最初はおどおどとして後ろ向きだった三橋が、西浦の仲間たちとの出会いで変わっていく様子に胸が熱くなる。そして、そんな三橋と共に仲間たちも成長していく様子はまさに青春。言葉はもちろん、表情やプレーといった態度・行動からも伝わる信頼関係に眩しさを覚えた。

また、西浦高校だけでなく、三橋の元チームメイトたちが所属する三星学園、阿部との因縁があるピッチャー・榛名が在籍する武蔵野第一高校、大会の相手であり前年度甲子園に出場した強豪・桐青高校といったライバルたちの物語も熱く、それぞれに感情移入してしまうため、試合が進み、決着がつくのが寂しく感じてしまう。




時にぶつかり合い、悩みながらも前に進んでいく球児たちの真っ直ぐな姿に、自らの青春時代や部活動に打ち込んだ日々を思い出す方も多いのではないだろうか。


本公演は2月14日(金)より2月24日(月)まで、サンシャイン劇場にて行われる。