『Rock, Talk, Smoke....Drunk? Vol.25』 
2020.2.21  Rethink Lounge TORANOMON

ロックと酒とタバコの伝道師、百々和宏(MO’SOME TONEBENDER)が気心の知れた仲間をゲストを呼ぶトーク・イベント『Rock, Talk, Smoke....Drunk?』。そのvol.25が2月21日に東京・Rethink Lounge TORANOMONにて開催された。シークレット・ゲストにのん(創作あーちすと)を迎えた特別な一夜の模様をレポートしていこう。

百々和宏 撮影=前田美里

百々和宏 撮影=前田美里

ゲストの事前告知がされていなかったにも関わらず、チケットは完売(ちなみに前回のシークレット・ゲストは斉藤和義)。いやが応にも期待が高まる会場に、まずは自然体の百々がビール片手に登場すると、ギルド製スターファイヤーを手に忌野清志郎の「世界中の人に自慢したいよ」を披露。会場に集まった約80名の観客たちと乾杯をしたあと、のんがステージに呼び込まれ、和やかなムードの中でイベントはスタート。オファーが届いたときに “おもしろそうだからやりたいけど……なぜ私に?!”と戸惑ったことや、親交のある奈良美智の還暦パーティーでばったり出会ったときのエピソードを交えながらトークが進む。のんが敬愛して止まないバンド=GO!GO!7188のアッコ(Ba)から届いたコメントを百々が読み上げると、キラキラと目を輝かせながらじっと聞き入るひと幕も。“初めて買ったCD はGO!GO!7188の『アンテナ』(09年)。学生時代、私がギター担当でコピー・バンドをやっていました”と当時の思い出を語ってくれた。

のん 撮影=前田美里

のん 撮影=前田美里

そして話題は、2019年末に行なわれた大友良英、Sachiko M、のんから成る“のんとも。M”のライブについてへ。会場でパフォーマンスを観た百々曰く「アグネス・チャン、植木等、古井戸、スパイダースとカバーする曲がマニアックだったのはなぜなの?」と不思議がると、のんからは「動画配信サービスでクレイジーキャッツやスパイダースの映画を観ているんです」との答えが。そして「植木等になりたいんです!」という言葉に反応した百々が思わず「見てみたいなぁ」と漏らすと、その流れで映画『クレージー作戦 くたばれ!無責任』に登場する挿入歌「ハッスル・ホイ」をアカペラで披露することに。突然の展開に恥ずかしがるのんだが、力強い「ハッスル・ホイ」の掛け声とともに会場全体が一体となる不思議なグルーヴが生まれることに。「無音はさすがに恥ずい……」と照れるのんに対して、百々が「女優スイッチが入る瞬間を見た」と返すと「……そのスイッチは見られたくないんですよね(笑)」と軽妙な掛け合いを見せていた。

のん 撮影=前田美里

のん 撮影=前田美里

イベント中盤には、アコースティック・セットによるのんのミニ・ライブが開催。サポート・ギタリストのひぐちけいとともに「わたしは部屋充」、「さぁいこう」、「わたしはベイベー」、「憧れて」、「こっちを見てる」(新曲)という5曲を披露。のんはフェンダー製ニューポーター・スペシャルを手にダイナミックな演奏を見せつけ、その熱のこもったパフォーマンスに会場からは大きな拍手が送られていた。中でも、青春時代を思い出して書いたという「憧れて」では、美しいアルペジオの調べに澄み切った透明感のある歌声が華を添える。この曲は、GO!GO!7188のアッコ(作詞)&ユウ(作曲)が書き下ろした「涙の味、苦い味」へのアンサー・ソングとしてのん自らが作詞・作曲をしたという叙情的なナンバーで、丁寧に紡がれる等身大の歌詞世界に観客はじっと耳を傾けていた。最後に新曲としてアッパーなロック・チューンの「こっちを見てる」を歌い終えると、「みなさんのおかげでめっちゃ気持ちが入った!」と眩しい笑顔を見せていた。

百々和宏 撮影=前田美里

百々和宏 撮影=前田美里

第2部は、百々とのんによる即席ユニット“のんちゃんももちゃん”によるライブ。のんはアコギからエレキ・ギターのフェンダー・テレキャスターに持ち替え、歪んだギター・サウンドのバッキングに男女2声でハモりながら展開する「RUN!!!」をプレイ。続くパワフルなロック・ナンバー「やまないガール」の演奏後には、かなりの手応えを感じたのかテンションの上がった百々が「すごく良いね!」とゴキゲンにビールをお代わりする場面も(笑)。このイベントのために事前にリハーサルをしたというふたりだけに息もピッタリで、のんも演奏が終わるたびに「かっこいい……!」と噛み締めるように呟く姿が印象的だった。「涙の味、苦い味」の演奏する前に、百々は「バンドを結成して初めてスタジオに入った時のことや解散してしまう時の心情を描いた素敵な歌詞で、アッコもきっと書きながら泣いていたんじゃないかな……」と語り、「それじゃふたりでハードにガツンと行ってみましょうか!」と感情を込めてふたりで力強く歌い上げる。ラストは百々のソロ作『窓』に収録されている「クラクラ」。百々も「いろんなゲストと一緒に歌ってきたけど、こんなにピュアなバージョンが聞けるのは今日だけ」と笑顔を見せる。ふたりならではの絶妙なハーモニーが響き渡り、盛大な拍手に包まれて約2時間以上に及んだ充実のトーク&ライブは幕を閉じたのだった。

百々和宏 / のん 撮影=前田美里

百々和宏 / のん 撮影=前田美里

20年以上にわたり心を揺さぶる魅力的なギターを轟音でかき鳴らしてきた百々と、力強く前を見据えながら真摯に音楽と向き合う、のん。“ギターと歌”というシンプルな表現によってふたりのピュアな情熱が観る者の心にダイレクトに響く素晴らしいイベントとなった。MCの中で「汚いギターが欲しかったらいつでも呼んで」という百々に対して、のんが「やったー!」とうれしそうに答えていたように、ひょっとしたら近い将来、ふたりの共演が見られるかもしれない。その日が来ることを今から楽しみに待ちたいと思う。

また同イベントは3月にも開催が決まっているが、コロナ・ウィルスの影響も踏まえて実施するかどうかを検討しているとのこと。詳細は百々のオフィシャル・サイトをチェック!

取材・文=尾藤雅哉 撮影=前田美里

百々和宏 / のん 撮影=前田美里

百々和宏 / のん 撮影=前田美里