スリーシェルズは、2020年4月29日(水)18時よりニコニコ動画で、『5時間耐久!校歌・団体歌コンサート』を初めて放送する。

放送されるのは、日本中の校歌・団体歌を集めて一挙に聴かせる驚異の長時間・5時間半に及ぶコンサートだ(2016年1月24日収録)。これらの楽曲の中には、伊福部昭、早坂文雄、諸井三郎、平井康三郎、團伊玖磨、芥川也寸志、黛敏郎。眞鍋理一郎、矢代秋雄ら、20世紀の日本の音楽界を彩った重要な作曲家の作品が多数並ぶ。開催当時、各種マスコミにも取り上げられ話題となった。また、コンサートで歌われた伊福部昭の団体歌はCD収録もおこなわれ、タワーレコードのチャート上位を記録した。

団体歌とは、学校や会社、県や市や町など、特定の集まり・団体のために作曲された歌のこと。校歌や社歌を代表として様々な団体歌がある。美しき郷土をたたえ、その向上、繁栄を歌う。日本全国、その土地、その土地で愛される故郷讃歌とも形容できる。しかし、市町村合併や人口減少などにより消えゆく団体歌も数多い。これらの保存のために結成されたのが「グループ団体歌」。その旗揚げ公演となった第1回目のコンサートが、今回、全編にわたって初放送される。

『5時間耐久!校歌・団体歌コンサート』
【日本の団体歌(校歌・社歌など)を集めて-伊福部昭とその門下を中心に-】伊福部昭十年祭参加企画(WINDS CAFE 229より)

■放送URL:http://nico.ms/lv325542829
■ニコ生タイムシフト予約(2020/04/29 18:00開始) #nicoch2644435

■収録日時:2016年1月24日 原宿カーサ・モーツァルトにて

■出演;
根岸一郎(歌唱)
河内春香(ピアノ)
西耕一(企画・構成)

■放送される主な団体歌:
伊福部昭 北海道讃歌
伊福部昭 帯広市市歌
伊福部昭 池田町町歌
伊福部昭 音更町町歌
伊福部昭 全開発の歌-全北海道開発局職員労働組合の歌-
伊福部昭 北海道立阿寒高等学校校歌
伊福部昭 北海道立新得高等学校校歌
伊福部昭 札幌市立向陵中学校校歌
伊福部昭 札幌市立琴似小学校校歌
伊福部昭 釧路市立美原小学校校歌
伊福部昭 私立札幌創成高校校歌
伊福部昭 北海道名寄市立名寄東中学校校歌
伊福部昭 名寄女子短期大学校歌
伊福部昭 むかわ町立鵡川小学校校歌
伊福部昭 福島市立飯坂町平野小学校校歌
伊福部昭 世田谷区立玉堤小学校校歌
伊福部昭 大洋紡績株式会社社歌
早坂文雄 江別市立第三中学校
諸井三郎 京都市歌(四代目京都市歌)
東京都立航空工業専門学校校歌
平井康三郎 高知学園歌
團伊玖磨 京都府の歌、川口市歌ほか
芥川也寸志 東京ガス讃歌、鹿児島ナポリターナ
黛敏郎 北海道苫小牧南高等学校校歌、仏教讃歌 With These Hands
眞鍋理一郎 砧南中学校歌
矢代秋雄 鎌倉市歌
清道洋一 スリーシェルズ讃歌ほか。

◆根岸一郎「伊福部昭の団体歌について」

純音楽、効用音楽の別なく、怒濤の如く畳み掛けるオスティナートは言わずもがな、シンプルで骨太なメロディの魅惑も伊福部音楽の醍醐味であろう。また一般に、誰もが口遊めるよう限定された音域で努めて平易に作曲される団体歌は、科された制約の為にむしろ、その作曲家の旋律作法のセンスを端的に明かすものだ。故に、このジャンルにおいても伊福部の生み出すメロディの存在感は絶大である。全ての虚飾を削ぎ落として屹立する巨巌のような潔さ、孤高の美…なんと力強い「歌」!

「名寄女子短期大学校歌」の崇高なまでの清麗な祈り、堅固な構築性が際立つ「阿寒高等学校校歌」、「琴似小学校校歌」に溢れる純真無垢な童心、不撓不屈の前進性が強烈な「全開発の歌」…枚挙に遑が無いが、伊福部が故郷・北海道に捧げた「歌」の数々は厳寒に耐える朔北のリリシズムを漲らせ皆、素晴らしい。就中、大雪山の偉容の如き極大のスケールで郷土愛を謳いあげた「北海道讃歌」は白眉である。

北海道を離れると伊福部の筆致も、土地柄に即した変化を見せる。福島の「平野小学校校歌」は一幅の山水画の如き長閑な風情を湛え、尾山台の伊福部邸に程近い「玉堤小学校校歌」に多摩川沿いの朝の清々しい情景が浮かぶ…そして、那智勝浦の「宇久井中学校校歌」には一点の曇りもない南国の空と輝く海が拡がる。

各地の風土と、その地に生きる人々を謳った団体歌は、作曲家として常に民族性を重んじた伊福部に相応しいジャンルといえよう。郷土愛や団結心といった共通するテーマを根底に孕む詩に、揺るぎない作家精神を持って伊福部が挑んだ楽曲を一堂に集めることは、これらの作品を言わばひとつの連作歌曲集として見つめ直すことでもある。
正に団体歌はファンを魅了して止まない所謂「伊福部節」の宝庫であり、伊福部の書いた最も優れた旋律のいくつかがここにある。大管絃楽の巨匠・伊福部が、希代のメロディメーカーでもあったことを証すこの作品群をまとめるにあたり、特定の団体のために書かれた「歌」ではあれど、これらの素晴らしい作品が我々伊福部ファンの愛唱歌となることを深く祈願したい。嘗て旧制高等学校の寮歌や大学の校歌が国民的愛唱歌となった時代を踏まえれば強ち無謀な夢でもあるまい。

◆出演者プロフィール

根岸一郎(ねぎし・いちろう)

武蔵野音楽大学声楽科、早稲田大学文学部フランス文学専修卒業。パリ第IV大学修士(比較文学)修了。フランス音楽コンクール(大阪)、日仏声楽コンクール(東京)、アンリ・ソーゲ国際コンクールに入賞。カミーユ・モラーヌ、中村浩子、川村英司、村田健司の各氏に師事。演奏活動は幅広く、特に精緻なディクションによってフランス近代歌曲での評価が高く日仏声楽コンクール審査員を務める。ヴォーカル・アンサンブル・カペラ、ムジカ・センペンティス、カペラ・グレゴリアーナなど古楽アンサンブルメンバーとして中世・ルネサンス音楽の分野で多くの演奏、録音に参加。 オペラへの出演も、カヴァッリ「ラ・カリスト」、グルック「思いがけない巡り会い」、ハイドン「騎士オルランド」、トマ「ミニヨン」、マスネ「マノンの肖像」、プッチーニ「トゥーランドット」、ドビュッシー「アッシャー家の崩壊」、セヴラック「風車の心」、石桁眞礼生「河童譚」、三木稔「うたよみざる」、青島広志「火の鳥(ヤマト編)」など、日本初演作を含んで多彩である。伊福部昭氏の作品には深く傾倒し、更科源藏詩の室内楽歌曲を中心に意欲的に演奏を重ねている。日本フォーレ協会、コンセール・C、東京室内歌劇場会員、トロッタの会同人。

根岸一郎(歌唱)

根岸一郎(歌唱)

河内春香(かわち・はるか)

岡山県出身。東京音楽大学大学院博士後期課程(音楽学)在学中。 これまでにピアノを山本百合子、野上登志子、水本雄三、草川宣雄の 各氏に師事。日本人作曲家の作品を中心とした演奏および研究活動をおこなっている。

河内春香

河内春香

西耕一(にし・こういち)

日本の現代音楽評論と企画を専門とする。2004年より、日本作曲家専門レーベル・スリーシェルズにて、伊福部昭や3人の会(黛敏郎、團伊玖磨、芥川也寸志)を中心に演奏・CD化を行う。これまでにNHK、東京藝術大学、日本作曲家協議会、日本現代音楽協会等、放送局や研究機関の依頼による企画協力や、NHK交響楽団、読売日本交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、東京バレエ団、新国立劇場等のプログラム冊子執筆で評価される。執筆雑誌は『音楽現代』、『音楽の友』、『邦楽ジャーナル』、『バンドジャーナル』、『New Composer』等。近年の主な仕事として、セントラル愛知交響楽団による日本の管弦楽曲100周年企画選曲や東京フィルハーモニー交響楽団黛敏郎個展、京都市響黛敏郎個展、伊福部昭音楽祭、伊福部昭百年紀シリーズ、芥川也寸志生誕90年メモリアル、渡辺宙明卆寿記念コンサートシリーズなど。『松村禎三 作曲家の言葉』(春秋社)や『黛敏郎の世界』(ヤマト文庫)の企画・編集、CD『松村禎三作品集』(Naxos Japan)解説などがある。オーケストラ・トリプティークと展開する「日本の作曲家シリーズ」では、日本の前衛音楽、近現代音楽、映像音楽をテーマにコンサートを行っている。

西耕一

西耕一