「大人計画」来年30周年の松尾スズキ氏 創作の原動力は“笑い”「とにかくウケたい」

「大人計画」来年30周年の松尾スズキ氏 創作の原動力は“笑い”「とにかくウケたい」

 ◇松尾スズキ氏インタビュー(下)

 俳優の阿部サダヲ(47)や宮藤官九郎(47)らが所属する人気劇団の「大人計画」を主宰する劇作家・演出家の松尾スズキ氏(54)が手掛けた伝説的作品「業音」が15年ぶりに再演。10日、東京・池袋の東京芸術劇場シアターイーストで開幕する。松尾氏は1988年に大人計画を旗揚げ。来年30周年を迎える。創作の原動力は“笑い”だと明かし「あまりいい年してね、こんなにウケたい、ウケたいと言っている作家もいないと思うので。そこは自分のポジションかなと思って。しがみついてやろうかと」と語った。

 30周年について水を向けると「あ、そうなんですか」と気に留めていなかった様子。劇団が続いた理由を尋ねると「長く続けようと思ってもいなかったし、かといって早く解散しようとも思っていなかったし、何も考えていないから続けられたんじゃないですかね。ただ、やりたい目の前のことをやって、宮藤君たちもやりたいことを始めて、それが相乗効果で続いているという感じなのかなぁ。やっぱり笑いに関する仕事に就いていたいということだけですね、ブレないのは」。30周年を迎えるのは「僕だけなんで。他の人は全く30年じゃないから。自分1人で何かやりますかね。ライブでもやりますか。ブルーノートでも借りて、ジャズでも歌いますか」と笑った。

 劇団員も年齢を重ねたが「稽古前にストレッチをやるようになりましたね。ストレッチ、重要だなと思っています。体のことですね、心配なのは。個人で勝手にやる分にはやっていましたが、みんなでやろうと。何か、劇団ぽくて、いいかなと思って。(今回も)ストレッチの時に、痛い痛いという声がほうぼうから聞こえてきて。苦痛の声しか聞こえてこない。年を取ったんだなぁ」と苦笑いした。

 今後の劇団の展望については「今回みたいな感じで、思い付いた時にパッと劇団員が集まって、芝居ができる環境であればいいなと思っています。今回も阿部が新感線(劇団☆新感線「髑髏城の七人 Season鳥」=IHIステージアラウンド東京)に出ていたりしますが、そこで絶対に阿部がいないと、宮藤がいないとみたいな凝り固まり方をすると、息苦しくなると思うんですよね、劇団というものが。看板と言われる阿部がいなくても、宮藤がいなくても、今回のメンツでもチケットはまあまあ売れるということは分かっているので。だとしたら、そんなに焦らなくてもいいかな」と自然体を強調した。

 松尾氏は88年に「大人計画」を旗揚げ。人間の“業”をあぶり出し、社会のゆがみを描く作品は大きな注目を浴び、一躍、人気劇団となった。97年に「ファンキー!〜宇宙は見える所までしかない〜』で、演劇界の芥川賞と呼ばれる第41回岸田國士戯曲賞を受賞。2001年には「キレイー神様と待ち合わせした女―』が第38回ゴールデンアロー賞・演劇賞に輝いた。映画監督としても活躍。04年、初の長編映画「恋の門」がベネチア国際映画祭に正式出品。作家としても06年に小説「クワイエットルームにようこそ」が第134回芥川賞、10年に小説「老人賭博」が第142回芥川賞にノミネートされた。

 数々の作品を生み出し、エンターテインメント界を牽引しているが、その創作の原動力は“笑い”。「基本は笑わせたいという欲なんですよね。ただ、僕は芸人さんのようなアプローチがどうしてもできなくて、物語に乗っかった上で笑いを提示することしかできない。だから『演劇をやりたい』じゃなく『演劇しかできない』みたいな、そんな感じなんですよね。とにかく笑い史上主義で、笑っている時間が気持ちいい。その体験を自分だけじゃなく共有したい。そこが原点。子供の時、ふざけて大人を笑わせるのは好きで、気持ちよかった。それが一番の原点だと思います」

 劇団としての目標には肩に力が入っていなかったが、自身の創作面については「毎回思っているのはレベルの高いものを作る。それしかないです。これ以下は許せないというレベルは上がっていますが、いかんせん肉体が衰えているので、そのレベルに到達するのに毎回ヒーヒー言っているのが現状です。100%満足することはなかなかないですが、本当に(観客に)ウケているか、ウケていないかなんですよね。とにかくウケたい。あまりいい年してね、こんなにウケたい、ウケたいと言っている作家もいないと思うので。そこは自分のポジションかなと思って。しがみついてやろうかと。ウケた時の気持ちよさ?覚醒剤にハマる人の気持ちが分からないくらい気持ちいいです。みんな、笑いをやればいいのに」と笑った。

 今回の「業音」も絶妙としか言えない芸能時事ネタを織り込むなど“松尾節”が炸裂。毒やブラックと簡単には括れない、松尾氏が演劇でしかできない唯一無二の笑いを、これからも創出し続ける。

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