「19」を、見てもらいたかった――。ソフトバンクの甲斐拓也捕手(27)が11日、憧れであり、野球選手としての境遇も似通う野村克也氏(享年84)の訃報を悼んだ。旅立ったレジェンドが南海時代の77年まで愛用し、「つけてくれるとありがたい」と語っていた背番号「19」を今季から背負う甲斐が、魂を引き継ぐ。

 甲斐は午前9時30分からのウオーミングアップ中に、球団マネジャーを通じて訃報を知った。感情を抑えながら全メニューを消化。言葉を選びながら、故人をしのんだ。

 「本当にびっくりしました。3年前に初めてあいさつして対談などで何度かお会いしたが“似ているね”と言っていただき、いろんな話をしたことを覚えています」

 ともに母子家庭。野村氏はテスト入団で、甲斐は育成出身から正捕手へ上り詰めた。「かつや」と「たくや」も似ている。共通項が多いことは、誇りだった。最後に会ったのは昨春のテレビ取材。「母ちゃんを大事にしなさいよ」と言われ「今でも意識しています」と振り返った。

 楊志館高(大分)時代から甲斐は野村氏の著書を熟読していた。「出された本に僕の名前があったり。それほどまで思ってくれてうれしかった」。少し声が上ずった。

 実は2年前の2月11日の宮崎キャンプで初めてじっくりと会話した際に「着けてくれるとありがたい」と背番号「19」の継承を提案された。

 「“19”を見てもらいたかった。見せたかった。寂しい。着けさせてもらう以上、これからも、いい姿を見せられるように頑張っていきたい」

 背中の“19”を一瞬、振り返り決意を新たにした。