新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、アマチュア野球でも中止、延期が相次いでいる。19日に開幕予定だった第92回選抜高校野球大会だけでなく、各地方大会なども中止や延期に。この事態に「金の卵」を探し求めるプロ12球団のスカウトも、視察スケジュールの変更などで四苦八苦。「コロナ禍」はさまざまな現場に影を落としている。(アマ野球取材班)

 日本全国を飛び回るのがスカウトの仕事。しかし足を運びたくても、試合が行われていない。まん延する新型コロナウイルスの影響で、球界は「球春到来」とは程遠い状況。現在、多くのスカウトは視察が比較的可能な大学や社会人のオープン戦に姿を見せている。「今のうちに大学生や社会人を見られるだけ見ておかないと…。高校生を見る時間が取れなくなる」と、あるセ・リーグのスカウトは言う。時間は有効に使わなければならない。高校生選手のチェックは今後、難航が予想されるからだ。

 「例年、春の段階でどれだけの力があるかを測り、評価をつける。センバツが開催されていれば(球団のスカウト)全員でチェックした上で評価できたし、全国クラスと対戦することで選手の本領も見ることができたはず」と前出スカウト。しかし学校が休校になった影響もあり、全国各地で高校野球の大会は中止や延期になっている。「対外試合が解禁になったら、即座に高校生を視察できるよう予定を調整しなければ」。日々変わる状況に対応しながら、スケジュールの大幅な変更、再調整に備えている。

 スカウトの現場では、ドラフト候補は一度見れば済むというものではない。下級生の頃から活躍している選手であれば、成長度合いなど検討する材料もある。しかし、試合にあまり出ていなかった選手で、これから実力をチェックしようとしている場合は複数回の視察が必要。試合が行われなければ、それだけ評価が難しくなる。

 担当エリアによっては中止や延期で負担が大きくなるスカウトも。既に四国が春季大会の取りやめを決めており、あるパ・リーグスカウトは「四国地区の担当スカウトは見る機会が減るので大変だと思う。複数の県を掛け持ちしているスカウトも、視察スケジュールを組むのに頭が痛いのでは」と話した。

 いまだ先行きは不透明。今年のドラフト会議は11月5日で、変更の予定はない。しかしプロ野球の開幕が延期された際には、スカウトから「ドラフトの日にちは変更ないんだろうか?」との声も聞かれた。コロナ禍が長引けばドラフト戦略にも影響を与えかねない。

 ≪米ではドラフト中止も≫大リーグでは6月のドラフト会議の中止と、7月2日(日本時間3日)開始予定の25歳未満でドラフト対象外の外国人選手との契約の延期が検討されている。米国でもアマチュアの大会が軒並み中止となっており、選手の評価がままならない状況。メジャーも開幕は最短でも5月中旬の見通しで、試合数の減少による各球団の大幅な収入減が見込まれ年間で計4億ドル(約440億円)ほどといわれるアマチュア選手との契約金は大きなネックとなる。