◇史上初の五輪延期決定的

 【記者の目】「予定通りの開催」を再確認した17日のIOC臨時理事会、国際競技連盟との合同会議からわずか5日で事態は急転した。もとより国際競技連盟や各国五輪委はIOCから多額の分配金や恩恵を受けており、理事会の決定には誰も逆らえない。いわば見せかけの議論だけで押し切ろうとしたIOCを翻意させた最大の要因は、やはり世界中の選手たちから上がり始めた悲痛な声だろう。

 「五輪は最高の選手による最高の競技会でなければならない」というのがIOCの誇りだ。ところが各国で広がる外出禁止措置によって練習すらままならなくなった選手たち自身から「ベストの状態では臨めない」という声が一斉に上がった。もしその声を無視して今夏の開催を強行すれば五輪の存在意義を問われる事態にもなりかねず、急きょ「延期」にかじを切らざるをえなかったと考えれば納得が行く。

 今回の発表で延期の時期が明確に示されなかったことに対して批判や失望の声もあるだろう。ただ、バッハ会長が言うように「週末のサッカーの試合のように簡単には動かせない」のも事実だ。IOCの収入に直結する放映権料やスポンサーの契約問題はもちろん、選手選考のやり直し、競技施設や選手村の取り扱い、スタッフ一人一人の追加人件費など精査しなければならない項目は膨大な数に上る。それに伴って動く金も数千億円に上るだろう。延期が今秋であれ1、2年後であれ、メリットとデメリット、金銭的な損得勘定を詳細に比較した上でなければ最終決定を下すことはできない。

 だからこそ私は2月から一日も早くシミュレーションを開始すべきだと主張してきたのだが、結局無駄に1カ月を浪費することになった。残された時間は少ない。IOCも組織委も東京都も持てる力を総動員して、一日も早く誰もが納得する結論を導き出すべきである。(編集委員・藤山 健二)