【競馬人生劇場・平松さとし】昨年のドバイターフには当時、日本の最強と思われた牝馬が3頭、挑戦した。ヴィブロス、ディアドラ、そしてアーモンドアイだ。

 日本のチャーリーズ・エンジェルを迎え撃つがごとく立ちはだかろうとしたのはドリームキャッスル。手綱を取るC・スミヨン騎手はレース前「日本馬はどれも怖いが特に注意すべきはアーモンドアイだね」と語っていた。また、エネイブルを管理することでも有名な英国のJ・ゴスデン調教師も同じレースにウィズアウトパロールを送り込んでおり「アーモンドアイをはじめとした日本馬がエネイブルと、どのくらいの差があるのか良い指標になりそうだ」と語っていた。

 このように注目を浴びていたアーモンドアイは、前年に日本の牝馬3冠の他にジャパンC(G1)も驚異的なレコードで勝っていた。“通常営業”の彼女は黒いメンコ(耳覆い)と白いシャドーロールを装着しているわけだが、ドバイで調整されている時は、それらを着けておらず、代わりにクロス鼻革を装着。国枝調教師に理由を聞くと、彼はニコリとして答えた。

 「口向きを考えて根岸(真彦調教厩務員)君が判断したのでしょう」

 レース前日に一転してメンコとシャドーロールを着けると、実戦でもそのいでたちで登場。結果、圧勝してみせた。ちなみに2着はヴィブロスで4着がディアドラと日本の牝馬はその強さを世界に披露。このレースを手始めに昨年、日本馬はリスグラシューのコックスプレートなど海外G1を8勝もした。最後に香港国際レースで3勝した時には改めて日本馬の強さを実感したが、実は一昨年は、ただの一頭も海外でG1を勝った日本馬はいなかった。つまりドバイターフの日本勢がその悪い流れを断ち切ったということだ。

 今年、そのドバイターフ連覇を狙って現地入りしたアーモンドアイだが、ご存じの通り新型コロナウイルスの関係で開催そのものが中止。これに伴い現地入りした20頭の日本馬はレースに使えないまま帰国することが決定した。今は人馬共に無事に帰ってきてくれることと一日も早いコロナの終息を願うばかりだ。

(フリーライター)