正式に延期が決まった東京五輪はいつ開催するのがベストなのだろうか。国際オリンピック委員会(IOC)と組織委員会、日本政府、東京都は他イベントとの兼ね合いや経費などを十分考慮した上で、できるだけ早期に結論を出したいとしている。来年4月の“桜五輪”待望論も浮上する中、改めて開催時期を考えてみた。(編集委員・藤山 健二)

 日本の桜は世界的にも有名で、満開の桜の下での五輪は確かに絵になる。ただ、そうなると現在延期や中止となっている各競技の選考会は、冬の時期に行わざるを得なくなる。しかも4月は入学、入社シーズンで人の移動が激しく、ボランティアも集まりにくい。NBAや欧州サッカーなど五輪に匹敵する人気スポーツもまだシーズン真っ最中で、それを押しのけて五輪を開催するのは相当ハードルが高い。

 1〜3月はまだ冬季競技のシーズンで、特に来年は22年北京五輪のプレシーズンという重要な局面だ。さらに、5月以降になると梅雨が始まる。高湿度の中でのプレーは海外の選手たちからも不評だろう。そう考えると、実際に開催可能なのは結局、来年の夏しかないということになる。

 運営側として、メリットは大きい。再開予定の聖火リレーは、ほぼそのままの日程で実現できる。また、競技日程を新たに組み直すとなれば膨大な作業になるが、7年もかけて練り上げたスケジュールをそのまま1年スライドさせるだけなら、大した手間はかからない。五輪は最終日が日曜というのが基本なので、来年にあてはめると7月23日から8月8日が「新東京五輪」ということになる。

 同時期にある世界陸上や世界水泳がネックだとよく言われるが、IOCからばく大な分配金を受けている国際競技団体が正面切って反対することはあり得ない。実際、すでに両競技団体ともに日程変更の可能性に言及している。また、今年とまったく同じ期間ならば巨額放映権料を支払う米NBCの同意も得やすいはずだ。

 ボランティアも夏休み中の方が集めやすいし、他のイベントの予約などで埋まっているとされる施設や選手村の問題も、国策として日本政府から要請されれば業者側が拒否するのは難しいだろう。もちろん、補償問題に発展して想定外に出費がかさむ可能性はある。

 さまざまなメリット、デメリットを検討すれば、自然と導き出される結論は来年の夏しかないということになるのだが、果たしてIOCの結論は?

 ≪陸上&水泳世界選手権 21年日程の変更検討中≫五輪の基幹競技とされる陸上と水泳の世界選手権が21年夏に開催されることは、東京五輪の延期を難航させる理由の一つとされてきた。しかし、選手を守る観点で、両競技の国際競技団体は延期歓迎を早々と表明。世界陸連、世界水連ともに日程の変更の検討に入っているとされる。また、神戸で開催される予定のパラ陸上世界選手権の主催は国際パラリンピック委員会で、パラリンピックも延期する以上、協力に問題はない。