◇女子ゴルフツアー アース・モンダミン・カップ最終日(2020年6月29日 千葉県・カメリアヒルズCC=6622ヤード、パー72)

 23年ぶりの月曜決着は、渡辺彩香(26=大東建託)が涙の逆転優勝で15年以来となる通算4勝目を挙げた。4位から出て5バーディー、1ボギーの68。通算11アンダーで並んだ昨季の賞金女王、鈴木愛(26=セールスフォース)とのプレーオフを1ホール目で制し、国内最高の賞金4320万円を手にした。ここ2年は極度の不振で、昨季の賞金ランキングは115位。だが、得意なショットへの原点回帰で復調。新型コロナウイルスの感染拡大の影響による112日遅れの開幕戦で笑った。

 112日遅れの開幕の締めくくりは1702日ぶりの歓喜だった。プレーオフ最初のホールで、4メートルのウイニングパット。ボールがカップに吸い込まれる前にもう、渡辺は左手を突き上げていた。

 インタビューで「ここ数年苦しかったですよね」と問われると感極まった。「みんなの顔が浮かんできて泣いてしまいました。もう勝てないんじゃないかと。ここ2、3年は本当に苦しかった」。

 仕切り直しの月曜決戦。最終組の若手が伸び悩むなか、前半で2つ伸ばし、16番のバーディーでトップに並んだ。ラウンド中はスコアボードを見ず「初めて優勝を意識した」のは自身初のプレーオフ。昨季は絶不調で賞金ランキング115位と沈んだ26歳の相手は1学年下の昨季の賞金女王、鈴木愛だった。

 ただ、新型コロナ禍による「新様式」が、プラスに働く。大観衆に迎えられるはずの18番は無観客。異様な空間だったが「今の自分の状況を考えたら、そのおかげで集中できたかなという思いはあります」と渡辺。気負わずに臨んだツアー屈指の飛ばし屋にはパー5の舞台がさらなる追い風となった。

 15年には1億円以上を稼ぎ賞金ランク6位に入るが、18年に6年ぶりに賞金シードを失った。昨季は30試合中23試合で予選落ち。ショットした球がわずかに利き腕の方向に落下するフェードボールを得意とするが、16年のリオデジャネイロ五輪代表を逃したことから、レベルアップを焦り、反対に曲がるドローに挑戦。それがあだとなり、ティーショットの安定感を失った。

 1Wの平均飛距離は18年の252・11ヤード(4位)から19年には238・19ヤード(42位)に落ち、セットから外す苦渋の決断をしたことさえあった。ただ「自分から1Wを取ったら何が残る」と自問自答し「フェード一本で行く」と原点回帰したのが昨夏だった。開幕戦が予定された3月には仕上がったが、ツアーは軒並み中止。ただ、ボールも心もぶれない。自粛期間中も地元のゴルフ場の協力で、利用客がプレーしない時間に練習を行うソーシャルディスタンストレで「いつ試合が始まってもいいように準備した」と技を磨いた。

 諦めきれない夢がある。「かけ離れた目標だけど、リオを逃した悔しさを晴らしたい」。かつて40位台だった世界ランクは452位。4年の雌伏を経て、再び夢を追う。

 ◆渡辺 彩香(わたなべ・あやか)1993年(平5)9月19日生まれ、静岡県熱海市出身の26歳。10歳からゴルフをはじめ、2012年7月にプロテストに合格。14年のアクサ・レディースで初優勝。15年のNEC軽井沢722日目にはアルバトロスとイーグルを達成し話題となった。16年のリオ五輪出場を目指したが惜しくも落選。趣味はサッカー観戦。1メートル72、65キロ。血液型A。