◇セ・リーグ 阪神0―5中日(2020年6月30日 ナゴヤD)

 阪神低迷の要因となっている貧打線の中にかすかな光明を探すなら、近本が放った14打席ぶりの安打だ。0―0の6回先頭で左前打。点にはつながらなかったものの、矢野監督から求められていた逆方向への一打で半歩、前進した。

 試合前時点で打率・114はリーグ最下位。前カードのDeNA3連戦後、矢野監督から「チカが機能してくると、相手にとっても嫌になるんでね。近本の復調というか、何回もチャンスメークを多くできるというのがウチにとって大事」と奮起を期待された。ただ、初回、3回の打席では空振り三振。まだまだ本来の状態とはいえない中、第3打席で意地を見せた。

 この打席も2球で追い込まれたが、1球見極めた後の4球目の外角低めのシンカーを逆らわずに左方向へ。すくい上げた打球はジャンプした遊撃手・京田のグラブをはじいて左前に落ちた。矢野監督がDeNA3連戦後に「もっと逆方向にヒットが出るイメージがあるんやけど、そういうのがないもんね」と指摘していた中での意味ある一打だった。

 続く糸原の打席ではバスターエンドランを試み、二ゴロで二塁へ進んだ。得点はできなかったものの、近本が出塁すれば作戦の幅が一気に広がることは間違いない。昨季、新人とは思えぬ躍動を見せた背番号5が本領を発揮すれば、逆襲開始の号砲となるはずだ。(山添 晴治)