流経大柏、2度目の総体サッカーV。勝利にこだわる名将に選手が共鳴

 南東北で開催された夏の高校総体。サッカー競技・男子は宮城県を舞台にして行なわれ、千葉県代表の流通経済大柏が9年ぶり2度目(※)の優勝を飾った。
※2008年に初優勝した際は、悪天候のために決勝戦が中止。市立船橋(千葉県)との両校優勝。

 今大会は、昨年度の高校選手権の覇者である青森山田(青森県)、同準優勝の前橋育英(群馬県)、そして名門・東福岡(福岡県)と、優勝候補が同じブロックに入って早々に激突。序盤から強豪同士が潰し合う形となって、思わぬ伏兵校が台頭する可能性があった。

 また、例年総体は厳しい暑さの中で行なわれる。そのため、実力どおりの結果にならないことも多く、少なからず波乱が起こることも予想された。

 しかし、今年は雨や曇りの日がほとんどで、比較的体力の消耗は抑えられ、選手たちの疲弊は最小限にとどめられた。そうした状況にあって、各校とも持ち前の実力を存分に発揮して、最後まで質の高い試合が見られた。そういう意味では、各校の実力や勝負強さ、経験値やサッカーの質の高さが、純粋に問われる大会となったと言える。

 それだけに、流経大柏の優勝は価値がある。見事、前回準優勝のリベンジを果たしたその実力は、高校サッカー界の頂点を極めるに相応しいものだった。

 そもそも今年の流経大柏は、周囲からの期待が非常に高いチームだった。なにしろ、現在の主力を務める3年生は、1年時に関東・静岡の強豪校が集まる『Rookie League(A group)』を無敗で優勝した精鋭ぞろい。2年生にも多彩なタレントがそろっていて、最終ラインの軸となるセンターバックの関川郁万(せきがわ・いくま)はU−17日本代表に名を連ねる実力者。まさに攻守に隙のない陣容が整っていたからだ。

 実際、新チームを結成してからは、ほぼ負けなしだった。全国の強豪が集う今春(3月)の『サニックス杯』では、青森山田や東福岡などを撃破。シーズンが本格的に開幕する前の練習試合や、全国各地で行なわれるフェスティバルでは常に好結果を残してきた。

 新シーズンがスタートしてからも、高円宮杯U−18サッカーリーグ・プリンスリーグ関東(※)ではやや苦戦を強いられたものの、その強さは安定していた。今大会にも、同県の宿命のライバルとなる市立船橋を破って、千葉県の第1代表として駒を進めてきた。
※高校とクラブなど第2種登録チームのすべてが参戦し、ユース年代のトップを決めるリーグ戦。最高峰のリーグは『プレミアリーグ』と呼ばれ、EAST10チーム、WEST10チームで争われる。その下のクラスに、各地域(北海道、東北、関東、北信越、東海、関西、中国、四国、九州の9地域)ごとに行なわれている『プリンスリーグ』がある。

 そんな流経大柏の強さは、単にタレントぞろいだから、というわけではない。それだけのタレントが、日頃から鍛錬を重ね、チーム内の熾烈な競争に日々さらされているからだ。

 昨年は人工芝の張り替えのため、グラウンドが使えない時期があったが、その際にはひたすら走り込んだ。当時のことを振り返って、MF菊地泰智(きくち・たいち/3年)は顔をしかめる。

「800m×30本の走りを、3グループに分かれてやった。インターバルは4分くらいで、とにかくきつい。グラウンドを使えない間はずっとそれをやっていて、めちゃくちゃきつかった(笑)」

 もともと、流経大柏は伝統的にチーム内競争が激しいが、今年は例年以上に選手の入れ替えが頻繁に行なわれているという。シーズン前のフェスティバルでは、大会前日にAチームとBチームのメンバーが10名ほどガラッと入れ替わったそうだ。その分、選手たちは常に危機感を持っていて、誰もが現状に満足することのない向上心を備えていった。

 そのチームを指揮するのは、本田裕一郎監督。2001年から流経大柏を率いて、ここまで数々のタイトルをチームにもたらしてきた名将だ。その監督が選手たちに求めるのは、勝利にこだわる姿勢。シーズン開幕前から、こんなことを語っていた。

「勝負事においては、やっぱり『勝ちたい』という気持ちが出てこないといけない。そうしないと、いろいろな考えやアイデア、戦術といったものが、自ら生み出せないと思う。普通にやっていても、そういうものは何も出てこない。勝ちを求めることによって、いろいろな想像力が働く。選手たちに一番強く言っているのは、『結果を出せ』ということ」

 そんな百戦錬磨の名将の言葉に、今年の選手たちはしっかり共鳴。この春、関川は「昨年はあと一歩で負けてしまっていた。今年は最後まで油断することなく、ガンガン言い合いながらやっていって、勝ち切れるチームにしたい」と話していたが、その目標達成のためにやるべきことをきちんと実践し、努力を怠ることはなかった。

 今や監督に言われなくても、選手みんなが高いレベルを要求し合える集団へと変貌。無論、結果も出せるチームとなった。

 そのことを改めて証明したのが、今大会だった。2、3回戦を順当に勝ち上がると、準々決勝では名将・小嶺忠敏監督率いる長崎総科大附に苦しめられたが、2−1と逆転勝利。準決勝では激戦ブロックを勝ち上がってきたV候補の前橋育英を1−0で振り切った。

 決勝では、今大会の”台風の目”となった日大藤沢と激突。準決勝で市立船橋を下して勢いに乗っていたが、その難敵も1−0で破って戴冠を遂げた。

 大会前、プリンスリーグ関東ではなかなか振るわず、思うような結果を出せなかった。しかし、その苦しい戦いの中で、選手たちの「心・技・体」が一段と磨かれていったことは間違いない。

「今大会では、サポートメンバーがいい雰囲気を作ってくれて、チームとしてもいい感じにまとまっていた。全員でうまくコミュニケーションがとれたことがよかったと思う」

 関川がそう語ったように、今大会では試合をこなすごとにチームの団結力も増していった流経大柏。彼らはこの夏、まさに”王者”になるべくしてなった。

 次なる目標は、高円宮杯U−18のプレミアリーグ復帰と、冬の選手権制覇。この優勝に満足することなく、これまでどおりさらに上を目指していけば、それらの目標も達成できるのではないだろうか。それだけの強さと伸びしろが、今年の流経大柏にはある。

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