第22節が終了した「セグンダ」と呼ばれるリーガ・エスパニョーラ2部。前半戦を折り返し、1部昇格、あるいは残留に向けて、戦いはし烈さを増しつつある。1位カディス、2位アルメリアも差はわずかで、3位サラゴサから11位のジローナまでの勝ち点差は5にすぎない。2試合でひっくり返るポイント差だ。

 セグンダは、生き残るだけでも困難な修羅場である。気鋭の若手や野心的な選手が多く集い、「世界で最もレベルの高い2部リーグ」と言える。


スペイン国王杯ヒムナスティック・タラゴナ戦にフル出場、勝利に貢献した香川真司(サラゴサ)

 得点王レースでも各国の猛者がしのぎを削る。現在のランキングのトップは、昨シーズンは1部で得点ランク5位だったウルグアイ代表FWクリスティアン・ストゥアーニ(ジローナ)。2位のルイス・スアレス(サラゴサ)は、市場価値が高騰しつつある若きコロンビア人ストライカーである。それを追うのは、37歳のブラジル人FWユーリ(ポンフェラディーナ)で、老練さを見せつけている。4位には2年前にスペイン代表に選ばれたジョナタン・ビエラ(ラス・パルマス)がつけている、天才と言われた真価をいよいよ発揮しつつある。

 年齢や経歴は関係ない。

 欧州中が注目していると言われるラス・パルマスの17歳のMFペドリは、底知れない才能を秘める。すでに2部では有力選手で、ボールキープ力とゴールに向かう迫力は特筆に値する。バルセロナの保有選手で、リオネル・メッシの後継者候補のひとりである。

 一方、40歳のベテランGK、アルフレッド・シフエンテスはカディスの守護神として、安定感のあるセービングを見せる。1部リーグでのプレー経験はない。しかし2部、2部B(実質3部)で積み重ねてきたゴールキーピングは堅牢だ。

 セグンダは、そんな猛者たちが魂を磨く場所と言える。

 その舞台に、今シーズンは史上最多、3人の日本人選手が挑んでいる。柴崎岳(デポルティーボ・ラコルーニャ)、香川真司(サラゴサ)、岡崎慎司(ウエスカ)。彼らに与えられた”中間成績査定”とは――。

 柴崎は、22位と最下位に沈むデポルティーボで苦しんでいる。シーズン序盤は先発でプレーしていたが、チームが極度の不振に陥ったこともあり、徐々にポジションを失い、やがて蚊帳の外になった。

「ロシアワールドカップで活躍した選手の活躍が楽しみ」と、入団時は現地でも下馬評が高かっただけに、期待外れ感は大きい。

 柴崎は昨季もヘタフェで出場機会を失っていた。ボランチとしては五分五分のボールをものにできず、プレー強度が低いことが致命的と言われる。その点の脆さは、スペインに来る前と何も変わっていない。

 しかし、ボールプレーヤーとしての柴崎のセンスは1部選手にも匹敵する。使い方次第では、武器になるだろう。そこを心得ていたのが、ヘタフェ時代のホセ・ボルダラス監督で、スポット的にサイドやトップ下で攻撃センスを引き出し、敵に一撃を食らわせていた。今年になってデポルティーボの新監督に就任したフェルナンド・バスケス監督は選手の力を引き出す采配に長けるだけに、柴崎には追い風になるのではないだろうか。

 だが降格(4チームが2部Bへ)した場合は、助っ人として入団した柴崎にも辛辣な評価が下される。

 一方、サラゴサの香川は、入団当初は華々しく得点を決めるなど絶賛を受けたが、そのインパクトはすでにない。プレーに波があり、全盛期の俊敏さは消えている。ただ、ビクトル・フェルナンデス監督の信頼は失っておらず、貴重な戦力ではあるだろう。

 フェルナンデス監督は、攻撃的なタレントを組み合わせる手腕に定評がある。事実、香川と前線で組むFWスアレスは得点王を争う。チームとしての得点数はリーグ2位で、その得点力が前半戦を終わって3位につける原動力になっているのだ。

 香川は、間違いなく攻撃カードの一枚になっている。直近のスペイン国王杯でも、先発でプレー。敵地でヒムナスティック・タラゴナと戦い、1−3の勝利に貢献した。そのパスセンスはチーム内でも評価が高く、ボックスに入るタイミングのよさは健在。経験豊富な選手だけに、最後は帳尻を合わせ、昇格を狙うチームの切り札となるかもしれない。

 岡崎はリーグ4位のウエスカで、チームの中心になりつつある。VARで得点が取り消される不運に泣いているものの、ここまで4ゴールでチームの攻撃を牽引。得点の匂いを嗅ぎつけ、素早くポジションに入って、パスを呼び込み、ネットに叩き込む。その技術はさすがプレミアリーグ王者のストライカーだ。

 戦術センスの高さでも、岡崎は玄人筋からの評価が高い。ボールを受けた味方がすぐに視界に入るポジションを取り、タイミングよく動き出せる。後半戦は、得点も増えるのではないか。

 前半戦の岡崎には、「Sobresaliente」(優)が与えられるだろう。マラガで経営面のトラブルに巻き込まれ、開幕直後に急遽、ウエスかに移籍してきた。そんな逆風のなかで、立派な出来だ。

 現状は三者三様だが、セグンダは長丁場の戦いとなる。後半戦の戦い方次第では、評価も覆る。最後まで気が抜けない。

著者:小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki