今週から始まる東京競馬場での5週連続GI開催。そのトップを飾るのは、3歳馬による「マイル王決定戦」GI NHKマイルC(5月10日/東京・芝1600m)である。

 先週のGI天皇賞・春と同様、このレースも「荒れる春のGI」のひとつとして知られている。なにしろ、過去10年で、10番人気以上の穴馬が7回も馬券圏内(3着以内)に絡んでおり、3連単の配当が10万円を超えたことが6回もあるのだ。

 なかでも、大波乱となったのは、2013年。10番人気のマイネルホウオウが大金星を飾って、2着に6番人気のインパルスヒーロー、3着に8番人気のフラムドグロワールが入って、3連単は123万5600円という超高配当をつけた。

 これだけ荒れていれば、穴狙いに徹するべきだろう。ということで、過去10年の結果を参考にして、今年のレースで激走しそうな伏兵馬を探し出してみたい。

 最初に注視したいのは、前走でオープン特別か、重賞レースを勝っていながら、低評価にとどまっていた馬である。

 たとえば、先述のインパルスヒーロー。同馬は、前走でGIIIファルコンS(中京・芝1400m)を勝利していながら、6番人気に甘んじていた。

 2014年に17番人気で2着に入ったタガノブルグも同様だ。こちらは、前走でオープン特別の橘S(京都・芝1400m)を勝って挑んだが、メンバーぞろいのGIのうえ、距離面が不安視されたのか、人気が急落していた。

 しかし、オープン以上のレースを勝って臨むのだから、実績も調子も申し分なく、好走を果たしてもなんらおかしくない。さらに2頭は、この時期ですでに3勝していた。確かな力がある証拠だ。


ファルコンSを快勝し、NHKマイルCに挑むシャインガーネット

 今回、このパターンに当てはまる馬がいる。シャインガーネット(牝3歳)だ。

 同馬も、前走で重賞のファルコンS(3月14日)を快勝。すでに3勝の実績を誇るが、GI桜花賞(4月12日/阪神・芝1600m)2着のレシステンシア(牝3歳)をはじめ、3戦無敗のサトノインプレッサ(牡3歳)、ルフトシュトローム(牡3歳)など、好メンバーが集う今回、上位人気は見込めない。だが、過去の例からして、人気馬にひと泡吹かせても不思議ではない。

 続いて、目をつけておくべきは、ファルコンSに加え、GIIニュージーランドトロフィー(中山・芝1600m)、GIIIアーリントンC(阪神・芝1600m)といった前哨戦で、2、3着と好走した馬たちだ。

 というのも、これら前哨戦で勝利するまでには至らなかった面々が、人気を落とした本番でも、しばしば上位争いを演じているからだ。

 いい例となるのは、2010年に5番人気で2着となったダイワバーバリアン(前走ニュージーランドトロフィー=2着)に、2017年に6番人気で3着に入ったボンセルヴィーソ(前走ニュージーランドトロフィー=3着)、2018年に6番人気で勝利を飾ったケイアイノーテック(前走ニュージーランドトロフィー=2着)、同年に9番人気で3着入線を果たしたレッドヴェイロン(前走アーリントンC=3着)、そして2019年に7番人気で3着となったカテドラル(前走アーリントンC=2着)らだ。

 そして今年も、こうしたタイプの伏兵馬がたくさんいる。

 ニュージーランドトロフィー(4月11日)で3着となったウイングレイテスト(牡3歳)、アーリントンC(4月18日)2着のギルデッドミラー(牝3歳)に、同3着のプリンスリターン(牡3歳)、そしてファルコンSで2着と奮闘したラウダシオン(牡3歳)である。

 いずれも面白い存在だが、過去にこのパターンで好走した馬たちのうち、ダイワバーバリアン、ボンセルヴィーソ、ケイアイノーテックの3頭は、GⅠ朝日杯フューチュリティS(阪神・芝1600m。※ダイワバーバリアンは中山開催)で掲示板(5着以内)に載っていた。

 この要素を重視すると、朝日杯FSで5着と健闘したプリンスリターンに、より食指が動く。人気急落は必至だが、ドでかい一発を期待したい1頭だ。

 最後に、重賞での好走歴がありながら、直前のGI皐月賞(中山・芝2000m)で惨敗を喫して、ほぼノーマックとなった馬にも気を配りたい。

 2014年に12番人気で3着となったキングズオブザサンが、この例に該当するからだ。

 同馬は、GIII京成杯(中山・芝2000m)で2着と好走。続くGII弥生賞(中山・芝2000m)でも5着と善戦していた。しかし、皐月賞では15着と惨敗。結果、そこから挑んだNHKマイルCでは、ほぼ無印といった扱いだった。

 そんな低評価のなか、キングズオブザサンはファンの度肝を抜く激走を披露。波乱の一端を担った。

 この再現を果たしてくれそうな馬が、今回のメンバーの中にいる。ラインベック(牡3歳)だ。

 同馬はデビュー2連勝のあと、GIII東京スポーツ杯2歳S(11月16日/東京・芝1800m)で3着、続くGIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)でも4着と奮闘した。しかしその後、オープン特別の若駒S(1月26日/京都・芝2000m)で3着に終わったあと、皐月賞(4月19日)に挑んで15着と惨敗を喫してしまった。

 この結果を受けて、ここでも伏兵の域を出ないと思われるが、重賞で好走を重ねてきた実績は軽視できない。まして、母は牝馬三冠馬のアパパネ。その血が大舞台でこそ、爆発するかもしない。ラインベックの大駆けに、賭けてみるのも悪くない。

 まだまだ成長盛りの3歳馬の争い。それぞれの実力差は、人気の差ほどないはずである。であれば、今年のNHKマイルCでも大波乱は起こりえる。それにひと役買う馬が、ここに挙げた面々の中に、きっといる。

著者:text by Sportiva