3歳馬の「マイル王決定戦」GI NHKマイルC(東京・芝1600m)が5月10日に行なわれる。

 同レースの過去10年の結果を振り返ってみると、1番人気は5勝とまずまずの成績を残している。しかしながら、2013年の100万円超えを含めて、3連単では10万円超えの高配当が6度も出ている”荒れる”一戦である。とりわけ、過去3年連続で3連単は10万円超え。この流れからして、今年も思わぬ波乱が起こってもおかしくない。

 そして今回は、2歳女王でGI桜花賞(4月12日/阪神・芝1600m)でも2着と奮闘したレシステンシア(牝3歳)に、前走でGIII毎日杯(3月28日/阪神・芝1800m)を勝ってデビュー3連勝を飾ったサトノインプレッサ(牡3歳)、無傷の3連勝で前哨戦のGIIニュージーランドトロフィー(4月11日/中山・芝1600m)を制したルフトシュトローム(牡3歳)など、有力馬がズラリ。下馬評ではこれら3頭が人気上位になると見られているが、デイリー馬三郎の吉田順一記者は、いずれの馬も「絶対的な信頼は置けない」と言う。

「レシステンシアは、攻め過程と今のテンションからして、桜花賞の疲れが多少残っている印象。初めてとなる長距離輸送の課題も残っており、今回は”危険な人気馬”の香りがします。

 ルフトシュトロームは、1週前の写真撮影の際、ややこじんまりとしたシルエットに見えました。最終追いでも発汗が目立っており、(好走には)テンションの維持がカギ。その点で若干の不安があります。

 サトノインプレッサは、2週続けて格下馬にあおられる稽古が気がかり。1週前の馬体診断でも、少し重めに感じました」

 となると、波乱ムードが一段と増すが、吉田記者は続けて、レースの行方を占うポイントについてこう語る。

「(ポイントは)馬場状態です。当日の天気予報が下り坂という点に多少気を配る必要がありますが、昨秋の開催以来、東京競馬場の馬場状態は申し分ありません。現状、高速馬場化していることは間違いないでしょう。それなら、内枠、さらには前に行く馬が有利になると思います」

 スポーツ報知の坂本達洋記者も、この見解に同意。そのうえで、狙い目となる馬については次のように語る。

「先週の東京では、3歳1勝クラスの芝1600m戦で1分32秒1という勝ち時計が記録されました。良好な馬場状態とあって、かなり速い時計が出ています。

 そうした状況にあって、自らのスピードを生かして、タメずにいきたいレシステンシアがレースを引っ張り、それをプリンスリターン(牡3歳)が追いかける形となれば、展開的にも前半から速い流れになることは確実です。

 そうなると、各馬がなし崩し的に脚を使わされることになって、ヨーインドンの瞬発力勝負にはならないはず。であれば、しぶとく、長く脚を使えて、スピードの持久力がある馬を狙いたいところです」


勢いある横山武史騎手騎乗で一発が期待されるウイングレイテスト

 その坂本記者が最初に推奨するのは、重賞戦線で健闘を続けるウイングレイテスト(牡3歳)だ。

「前走のニュージーランドトロフィーでは、大外16番枠というハンデがありましたが、3着まで追い上げて地力の高さを示しました。道中は終始外を回って、4コーナーでは勝ち馬に外へ弾かれる不利もありました。それでも、へこたれずに差してきたことは、中身の濃いレースだったと思います。

 1週前の追い切りでは、鞍上の横山武史騎手を背に抜群の反応を見せて、僚馬を圧倒しました。しかも、横山武騎手は先々週のGIIフローラSで重賞初勝利。今や、関東リーディングのトップに立つほど乗れているのも頼もしい限りです。長く脚を使って、最後は確実に詰めてきてくれると思います」

 坂本記者が次に推すのは、ストーンリッジ(牡3歳)だ。

「前で立ち回った先行勢がなだれ込むパターンとなれば、前々走のGIIIきさらぎ賞(2月9日/京都・芝1800m)で好位2番手につけて、2着に踏ん張ったこの馬でしょう。長く脚を使えるうえ、スピードの持続力もあります。そもそも父ディープインパクトですから、スピードの絶対値に不安はありません。

 6着に終わった前走の毎日杯は、道中で位置取りを下げてしまったことが響きました。やや重の馬場も影響したのかもしれません。今回、馬場がいい舞台に変わって、巻き返しが見込めます。

 マイル戦は、新馬戦(11月30日/阪神・芝1600m)で経験済み。その時は、超スローの瞬発力勝負でしたが、メンバー最速の上がり33秒1という時計をマークして快勝しています。兄姉にはオープン馬が何頭もいる良血ですし、その底力にかけてみたいです」

 一方、吉田記者は「人気どころでしょうが……」と前置きしたうえで、タイセイビジョン(牡3歳)の名前を挙げた。

「前走のGIIIアーリントンC(4月18日/阪神・芝1600m)時、攻め気配は地味で、正直8分ぐらいの出来といった印象でした。にもかかわらず、しっかりと勝ち上がってくるあたりは、能力の高さでしょう。

 ひと叩きされた今回は、攻め気配がグーンと上昇。上積みが大きく、いい形で本番を迎えられそうです。馬込みにも不安はなく、前が引っ張ってくれる流れも合いそうです」

 吉田記者ももう1頭、推奨馬を挙げる。

「雨の影響で、少しでも力の要る馬場になった場合には、ギルデッドミラー(牝3歳)が面白いのではないでしょうか。ここに来て、精神面がしっかりとして、道中の折り合い面も格段に良化。追い切りでも、キビキビとした脚取りを見せて、気合がみなぎっていました。今の充実ぶりは、本物です。

 ともに馬場が渋っていたレース、3走前のこぶし賞(2月16日/京都・芝1600m)では、サトノインプレッサの僅差の2着。前走のアーリントンCでは、タイセイビジョンに次ぐ2着でした。その内容や血統背景、さらに同馬の走法からも、馬場の渋化は歓迎。当日の天気が崩れたら、狙い目です」

 波乱続きのNHKマイルC。今年のレースで高配当を運んでくる使者は、ここに名前が挙がった4頭のなかにいるかもしれない。

著者:土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu