厳選!2歳馬情報局(2020年版)
第5回:レッドジェネシス

 2005年に史上6頭目の牡馬クラシック三冠を成し遂げたディープインパクト。歴代最多タイとなるGI通算7勝を挙げるとともに、記憶に残る衝撃的なレースを繰り返して、2006年、多くのファンに惜しまれながら引退した。

 しかし、この馬の偉業はそれで終わることはなかった。種牡馬としても、類を見ない才能を発揮したのである。

 2010年に初年度産駒がデビューすると、まずは2歳馬の種牡馬リーディングを獲得。2012年には全体の種牡馬リーディングでも1位となって、以降、その座に君臨し続けている。

 世に送り出したGI馬も数知れず、2009年生まれのジェンティルドンナは牝馬三冠を達成。”怪物”オルフェーヴルを下してGIジャパンC(東京・芝2400m)を制すと、海外GIのドバイシーマクラシック(UAE・芝2410m)なども勝利し、父と同じくGI7勝を挙げた。

 その後も、数多くのクラシック馬を出して、ダービー馬に関しては、今年のコントレイルを含めて6頭も輩出。そのコントレイルは無敗の二冠馬となって、父と同じ三冠馬になれるのか、この秋のGI菊花賞(京都・芝3000m)へ向けて、大きな注目が集まっている。


レッドジェネシスの父、ディープインパクト

 こうして、父サンデーサイレンス同様、歴史的な大種牡馬となったディープインパクトだが、昨年7月に急逝。そのため、残り少なくなったディープ産駒への注目度は一段と増している。

 もちろん、今年デビューする2歳馬たちもそうだ。そして、この世代で話題のディープ産駒がまもなく初陣を迎える。

 栗東トレセンの友道康夫厩舎に所属するレッドジェネシス(牡2歳/父ディープインパクト)である。

 友道厩舎はこれまでに、ディープ産駒でGⅠ日本ダービー(東京・芝2400m)を2勝している(2016年マカヒキ、2018年ワグネリアン)。そのスタッフたちから、密かに期待されているのが、同馬だ。関西競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「レッドジェネシスに対して、友道調教師は『キャンターでも動きはいいし、体に柔らかみがあり、いいバネをしている』と話していますね。気性面にも課題はなく、『加速するまでの反応に時間がかかることもあるけど、いい走り』と上々の手応えを得ているようです。助手の方も『乗り味がいい』とコメントしていますね」

 レッドジェンシスは、7月19日の2歳新馬(阪神・芝2000m)でデビューする予定。福永祐一騎手が鞍上を務める。

 なお、スタッフによれば、現時点の課題は「ゲート」だという。トラックマンが続ける。

「まだ、心身ともに幼いところがあるようで、スタッフからは『ゲートがそこまで速くない』との指摘があります。それでも、対策を練って『デビューまでにもう少し教え込んでいく』とのこと。能力そのものには期待できるので、この不安要素さえ解消できれば、面白い存在になるでしょう」

 友道厩舎のディープ産駒で、手綱を取るのが福永騎手と言えば、ワグネリアンを思い出す。同じ父から生まれた大先輩に続いて、レッドジェネシスも高いパフォーマンスを披露することができるのか。デビュー戦での走りに注視したい。

著者:河合力●文 text by Kawai Chikara