スポルティーバ厳選!
高校野球 47都道府県の注目選手
大分編

新型コロナウイルスの影響により毎年夏に甲子園で開催される「全国高等学校野球選手権大会」が中止となり、その代わりに、各都道府県は独自の代替大会を開く。大分では県独自の代替大会「2020大分県高等学校野球大会」が7月14日よりスタート。白熱の試合が期待される中、注目選手を紹介する。

 2年連続で県内2校がセンバツ出場権を獲得するなど活況を呈している大分の高校野球界。プロ注目のドラフト候補は、2020年センバツに出場を決めていた明豊と大分商の2校に集まっている。

速球のほか、カットボールなど変化球の完成度も高い大分商の右腕エース・川瀬堅斗

 秋の九州大会で優勝した明豊は、投打に逸材ぞろい。昨春のセンバツ4強を経験した左腕エースの若杉晟汰(せいた)は、直球がコンスタントに140キロを超える。スピン量が多いキレのある直球で、打者の左右に関わらず内角をズバッと突ける球質と制球力が魅力。課題だったチェンジアップのキレも増してきており、完成度を上げている。

 若杉と共にエース格として期待される右腕・狭間大暉は、ブルペンで140キロ後半を連発している。野手としての適性も高い狭間は、今季から右翼手を兼ねているが、守備やベースランニングのスピード感が光り、肩の強さも目を見張る。投手兼任でレギュラーデビューが遅かったため通算本塁打は二桁に達していないが、チームトップクラスの飛距離と打球速度があり、昨秋は強力打線の4番を任された。

 明豊でチーム最多本塁打の高校通算26発を誇る布施心海(しんかい)は、4強入りした19年のセンバツで三番打者として活躍。173センチ、68キロの”小さな巨人”だ。力強いスイングや鋭い打球は、同校OBの今宮健太(現・福岡ソフトバンク)を彷彿とさせる。

 若杉や狭間ら投手陣をリードするのが強打の捕手・居谷匠真(しょうま)。昨秋の公式戦は、打率.514とチーム最高を記録した。打席での勝負強さはピカイチで、この夏は4番に座る可能性もある。守備面で課題とする送球精度に磨きがかかれば、ドラフト戦線をにぎわせる存在になってくるはずだ。

 パワフルなスイングと鉄砲肩が魅力の外野手・小川聖太も、狭間や布施、居谷をもしのぐ”飛ばし屋”として活躍が期待される。

 8月の甲子園交流試合に出場する大分商では、福岡ソフトバンクの川瀬晃(ひかる)を兄にもつ右腕のエース・川瀬堅斗に大きな注目が集まる。最速147キロを出す本格派で、スライダー、カットボール、チェンジアップの精度も群を抜く。特に師と仰ぐ同校OBの森下暢仁(現・広島)に手ほどきを受けたカットボールのキレは、超高校級の代物だ。

 源田壮亮(現・西武)や川瀬晃、廣澤伸哉(現・オリックス)がかつて守っていた名門の遊撃手を継承するのが岩崎竜也。スピード感あふれる守備と意外性のある打撃は、見ている者を飽きさせない。

 また、50m5秒75の俊足中堅手・渡辺温人(はるひと)も、今後大きく伸びていきそうな雰囲気を漂わせている。遠投120mの強肩と4番を担う勝負強さが魅力の捕手・末田龍祐(すえだ・りょうすけ)は、182センチ、84キロの大きな体を巧みに使った動きのよさが目を引く。

 明豊、大分商の他にも逸材は多い。

 2人の本格派右腕は見逃せない存在だ。大分舞鶴の木村駿太朗は、183センチ、88キロで、力強さと球の角度は大分商の川瀬にも引けを取らない。中学時代は軟式野球部でプレーしながらも、その名はすでに九州各県に知れ渡っていたほどの剛腕。140キロ超えも目前の速球に加え、制球力とキレのあるチェンジアップ、クレバーな投球術も高評価だ。

 熊本中央リトルシニア出身、大分東明の右腕・山下健太朗は、143キロの直球と落ちのいいフォークが光る。緩急を生かした投球ができるようになればおもしろい。

 最速130キロ台後半を叩く大分国際情報の右サイドスロー・沼田光平は、度胸のある投げっぷりが見ものだ。

 左腕は個性派が目白押し。大分舞鶴の新名凌馬は踊り上がるような投球フォームで167センチ、65キロの体とは思えない存在感を見せる。130キロ台後半の直球は野性味あふれ、打者の懐をえぐる。

 大分の飯倉優侃(まさやす)は、手元でぐんと伸びる130キロ台中盤の直球がひときわ目を引く。

 日本文理大付にも楽しみな選手たちがいる。高い制球力による自在のコーナーワークと低めに集めるカーブで、優位に投球を進める好左腕・木下真吾と、広い守備範囲と高いミート力をもつ遊撃手の比嘉廉だ。両者とも14年夏に大分を甲子園へと導いた佐野徹新監督のもとで、才能をどれだけブラッシュアップしたか注目したい。

 大分東明で山下とバッテリーを組む180センチ、80キロの大型捕手・増田奨は、ワンバウンド捕球の技術に長け、左の強打者としての可能性も強く感じる。

 昨年春の甲子園を経験している大分の田中颯悟(そうご)は、外野手から遊撃手に回ってより野球センスが輝きを増した。津久見の強打者・岡部優四朗や、攻守のバランスがいい大分雄城台の工藤海翔(かいと)にも注目。広大な守備範囲と長打力を併せ持つ瀧倖之介と、打ち損じの少ない巧打者の川元洋征(ようせい)の佐伯鶴城デュオもマークしておきたい。

 この夏だけでなく、来年以降も楽しみな選手も挙げておきたい。

 やはり明豊のタレントが充実している。大阪の大淀ボーイズ時代にジャイアンツカップで優勝した右の本格派・京本眞(まこと)、ボーイズ日本代表を経験し、直球は140キロ台に迫る右サイドスローの財原光優(さいはら・あきひろ)、昨年の巨人ドラフト2位右腕・太田龍の弟で、左腕の太田虎次朗の2年生3人が筆頭格だろう。

 さらに、大分商の三代祥貴(よしき)は最近では珍しい「エースで四番」候補だ。右の大砲にして投手としても140キロ近い直球を投げる。

 また、大分の江口飛翔(つばさ)は強肩強打の大型捕手。捕球と送球に関していえば、育成ドラフト1位で楽天入りした昨年の同校正捕手・江川侑斗をしのぐ逸材ともっぱらの評判だ。

著者:加来慶祐●文 text by Kaku Keisuke