マルハニチロ・溝口真人業務用食品部長

――2019年度業績の振り返り

業務用食品ユニットの連結業績は前期比売上高10億円増1,202億円、営業利益3億円増の14億円と増収・増益だったが、計画に対する利益面については物流費の高騰等の影響で未達となった。

業務用食品ユニットのうち自社業務用食品部については、前年対比で増収増益となったが、CVS、生協、介護食を中心に、中食も含めていずれも営業が健闘する中で、在庫の増加や、欠品対応のための追加経費の増加、滞留在庫の処理経費等による物流費の増加があり、ユニットと同様計画比では未達となった。本社・仕入部門としてローコストオペレーションの構築が急務と考える。

ただ、この流れは2020年になっても続いてしまっている。当社業務用食品は6割超が海外品で、基本的に納期の3カ月前に発注する。今年は東京五輪に向けたインバウンド対応を踏まえ、中国の旧正月も見越して昨年12月から、1〜2月と発注を非常に増やしていた。それが3月以降、コロナ禍で世界が一変した。反面、中国のコロナ対策が思ったより順調で工場は稼働し、商品は入ってくるので在庫過多の状態になっている。

4月の緊急事態宣言もあって発注を絞っているが、海外品の入荷が止まるのは7月からで、ただでさえ庫腹不足の状況で在庫が増えていくのは、物流費の面で非常に厳しい。物流費の改善に本格的に取り組めるのは8月以降となってくるだろう。正味8カ月ほどで努力していくしかない。

19年度の話に戻ると、カテゴリー別では健康志向の「おいしく糖質off」シリーズの米飯類、19年秋から投入した「ノンプリフライ」シリーズ、インバウンド向けの自然解凍商品などが好調だった。また、介護食も2ケタ増と堅調だった。一方、米飯と異なり「おいしく糖質off」シリーズの焼きそばは苦戦している。焼きそばを求める人と糖質off を求める人にずれがあったと考えている。ルート別では特にCVS が好調で、レジ周りやパンの具材など中食関連が伸びた。

――19年度の重点施策と成果

1つ目は、昨春部長に就任してから重視して取り組んだ本・支社間でのコミュニケーションの強化だ。個々の営業力は高いと考えており、それをうまく活かし、全社一丸の体制で事業を推進することが重要と考えた。足元ではコロナ禍で出張が思うようにできなくなっているが、私自身ももっと各拠点を回って本・支社間の距離を縮めたいと考えている。昨年度、このコミュニケーションの強化に関しては一定の成果を挙げられたと考えている。

また、単品損益管理システムの活用による収益改善に取り組んだ。ただ、個々の納品先まで損益が明確になる一方で、お取引先は量販店だけでなく細かいお客様まで数が多く、交渉には時間がかかる。19年度はこのシステムにより明確に利益を改善できたとまでは言えないだろう。

今後、赤字の取引先に絞って対策をとるとともに、単品を紐解きつつもカテゴリーごとに見ていくなど簡素化を図り、より効果を上げられるようにしたい。

〈4〜5月はコロナ禍が厳しく影響、CVS・生協・介護は順調〉 
――コロナ禍の影響を受けた足元の業績は

4〜5月はトータルで前年比80%代と厳しい状況だ。学校給食がほぼゼロとなったことに加え、外食も50〜60%と厳しく、中食も95%と前年割れだ。本来、量販惣菜は並べられれば売れる状況だと思うが、調理を担う従業員の方々も、コロナ禍の影響で厨房が密にならないよう対策する中、定番品に品目を絞った売場にせざるを得なくなっている。そうなると当社で力を入れていた販促企画、季節提案ができなくなっている。

一方、CVS、生協、介護ルート、キャッシュアンドキャリー業態は前年を上回っている。CVSは全体市場としては都心オフィス街や観光地で苦戦しているが、当社では新規採用品もあって前年を上回っている。 

〈コロナ禍以降は外食テイクアウト向け強化、今後水産との連携強化も〉
――今年度の方針

コロナ禍で営業活動が制限される中では、業務をいかに効率化するかが重要だ。デリバリー経費削減や在庫圧縮など、今までなかなか手を付けられなかった内向きの部分を見つめ直したい。

まず前述の通り物流費が課題となっており、今は内容を言えないが、物流改革に注力し、2〜3億円は改善したい。今期に関してはコロナ禍の影響もあり、売上は落としたとしても何とか利益予算は達成したい。

それと関連して、アイテムのスクラップ&ビルドによる効率化に着手する。これは工場稼働の効率化にも繋がる。売れ筋商品であればそれに合わせた製販体制を構築し、売るべき商品をしっかり生産販売する。

ただ、アイテム数の管理については基準を定めるわけではなく、新しいマーケット創造を行うためには新商品開発を積極的に進める必要があるし、生協やCVS では今以上にシェアアップを目指すための商品開発を行う。業務用食品部が将来さらに成長するためには、商品のスクラップ&ビルドを進めながら、適正なアイテム数管理を行っていきたいと考える。

また、コロナ禍以降の需要を見据え、外食テイクアウト向けの商品パンフレットを作成し、拡販に努める。テイクアウトでは同じものをたくさん作る必要があり、人手不足の中での調理簡便性や、経時変化への耐性が求められる。一方、外食らしさも必要で、小付けなどで冷凍野菜のチャンスが拡がると見ている。

商品では、引き続き自社工場製品比率を高めるため重点9カテゴリー(▽麺類▽米飯▽春巻き▽エビフライ▽エビカツ▽マグロタタキ▽和惣菜▽かき揚げ▽介護食――)の販売強化に取り組み、もっとマルハニチロらしさを出せるようにしたい。

――中長期的な目標

マルハニチロの良さをもっと出し、変わったと言ってもらえるようにしたい。社内的にはブランディング活動も含めて、まだまだやることはたくさんある。そうした中では、水産部門との連携をより強めたい。一緒に商品開発を進めたり、面で商売を進めたりということができれば、今以上に力を発揮できると思っており、今後に期待してもらいたい。

〈冷食日報2020年7月1日付〉