野上浩太郎農水大臣 就任会見の様子

〈畜産分野は輸出拡大の主翼、体制整備を進める〉
野上浩太郎農水大臣は9月17日に就任会見開き抱負を述べた。「農林水産業の使命は、農林水産業・食品産業を強くして、豊かな農村漁村を次世代に継承していくことだ」とし、先頭に立ち、若者が自ら将来を託すことができる農林水産業・食品産業の実現に向けて全力を尽くすとした。なお菅義偉総理からは、「農林水産品の輸出、農林水産分野の改革をしっかりと進めて欲しい」と言われたとした。

農林水産業の現状について「国民に食料を安定的に供給するとともに、食品産業・関連産業とともに地域経済を支えている。高品質な農林水産物・食品、和食などは日本の成長の糧となる潜在力を有している。TPP11や日EU・EPA、日米貿易協定など新たな国際環境に対応して、生産基盤の強化、海外の新たな新市場の開拓が必要になる。

その中で、農林水産業の潜在力を最大限に引き出し、成長産業化を図るために、農業の集約や農協改革などを行ってきた。その結果、生産・農業所得は6年間で5,000億円以上増加し、農林水産物輸出額は7年で倍増するなど、着実に成果が表れている」と述べた。

続けて、新型コロナウイルス感染症の影響について、「需要減少・価格低下に見舞われた農林漁業者、加工業者、甚大な影響を受けた外食事業者に対する支援を確実に行っていく。今後も起こりうる食料供給上のリスクや、新たな生活様式による需要変化、社会全体のデジタル化の進展にも対応していく必要がある。これらの課題に対応しつつ、これまでに行ってきた改革を着実に実施することで、農林水産業の成長産業化・地域の活性化、食料安全保障の強化、食料自給率の向上を図っていく」と述べた。

農林水産品の輸出目標、2030年・5兆円実現に向けては「新型コロナウイルスの拡大により、2020年1〜7月は前年同期比6.7%減となったが、7月単月では2.2%増と明るい兆しも見え始めている。しかし、世界的な影響は続いており、現状の商流を途切れさせないための支援などを、緊急経済対策において実施している。輸出本部を中心に政府一体となり、生産から輸出まで各段階の取り組みを強化する必要がある。輸出規制国への対応強化、輸出先国向けの販売戦略強化などあらゆる手段を講じていく」と述べた。

牛肉輸出については「3、4月の輸出額は大きく減少したが、5月以降は米国向けなどを中心に回復しつつある。7月の輸出量は全体で37%増、米国向けは86%増加している。輸出促進は農水省の重要課題であり、牛肉はさらなる輸出拡大を担う分野になる。輸出本部では、食肉処理施設の整備や、内食化傾向を踏まえた売り込みの強化などに取り組んでいる」と話した。

農水省の組織再編については、日本の農業をさらに発展させるためには輸出を拡大し、生産基盤の強化を進める必要があり、必要な体制整備を進める。輸出拡大の主翼を担う畜産分野については、新たな市場環境に適応した生産基盤の強化を担当する体制整備をする。

豚熱(CSF)などの家畜衛生については「国内でのCSFは8県・58事例、野生イノシシは18都府県で陽性が確認され、昨年10月には飼養豚への予防的ワクチン接種を開始し、飼養衛生管理の強化、野生イノシシ対策を実施している。これらの対策により、ことし3月の発生を最後に飼養豚での発生は見られていない。アフリカ豚熱(ASF)は有効なワクチンがなく、アジアでは13カ国・地域まで感染が拡大している。検疫探知犬の増頭や、家畜防疫官の増員などで、水際検疫体制を強化していく」とした。

家畜盗難については、「北関東を中心に相次いでいる。家畜は農家の大切な財産で、新型コロナで深刻な影響を受けている畜産経営にとって、大きな損失となる。CSF・ASF侵入防止のための飼養衛生管理基準の遵守徹底を図る中で、家畜疾病の侵入につながる。畜産業界全体にも影響を及ぼすことが懸念される。農水省は警察庁と連携して都道府県に対して防犯上のポイントなど注意喚起、生産者には盗難防止対策について通知している」と話した。

〈畜産日報2020年9月18日付〉