私の最初で最後の東大大学院受験。最終試験の口頭試問。

東大教授にこう聞かれた。

「あなたにとって研究とは、作品のネタ作りですか?」

それが私の東大受験の最後の問題だった。


ネタ作りって言われると、なんだか軽く聞こえる。

こんな質問が出てくるってことは、


ま、待て待て。落ち込むのはまだ早い。

研究室訪問でもいい企業に就職したくて東大大学院を受験する外部生はいらないって言ってた。当然だけど。

きっと外部生の口頭試問では、”なぜ自分の大学ではなく東京大学なのか”……それを聞くはずだ。

私の場合は社会人のフリーランスで、モノ作りがお仕事だから”ネタ作り”って言葉になったんだ。

ああ、きっと


決して研究は作品のネタ作りじゃないってこと、説明しなきゃね。

……ん? いや?

メディアや作品を通して人々に何かを周知する研究者って、つまり研究はネタ作りなんじゃないの?

作品を作ることが目的の研究ではなくて、自分の考えの


尾木ママだって古市さんだって、きっとそうじゃん。

えっとつまり。

なんて言えばいいんだ。


なんでもいいから、それっぽいこと。

早く言わなきゃ。

早く言わなきゃ。

早く早く早く早く。

ただっち「あの……その。作品を通して主張するための……」


東大教授「……」


そう言った途端、なぜか


その場の教授全員が大爆笑した。

まさかこんなとこで笑いを取るなんてね。

エリート研究者に刺さるワードだったのか?

いい笑いなの? 悪い笑いなの?

私にはなにが面白いのか分からない。


文・イラスト=ただっち