代わりの先生が見つからない 学校現場から「人繰り綱渡り」の悲鳴 子どもたちに直接の影響も  

 本紙のアンケートで明らかになった関東1都6県の公立小中学校の教員不足。教育現場からは、急な休退職や産育休取得などによる欠員が常態化する一方、代わりの教員が見つからず「綱渡りの人繰りでしのいでいる」などと悲痛な声が上がっている。
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臨時の教員を募集する自治体のポスター


算数の少人数授業が中止に

 東京都葛飾区のある小学校では今年5月の大型連休明け、学年主任が出勤できなくなった。職場の人間関係などに悩み、通院もしていた。算数の少人数授業を担当するはずだった教員が後任となり、少人数授業は中止に。同校の教諭は「担任を空ける事態は何とか避けられたが、保護者や子どもたちを不安にさせてしまった」と話す。

 各学校現場では欠員を埋めるため、自力で後任を探す事態になっている。アンケートでは「都の名簿からは見つかりにくい状況のため、区や学校で探すことがある」(台東区)、「管理職の人脈が頼り」(江東区)という回答があった。

「副校長が200件電話、見つからず」「後任自分で探せ」

 実際、墨田区の五十代の小学校教諭は「急に先生が休むことになり、副校長が200件電話しても見つからなかった。副校長は電話のかけすぎでけんしょう炎になった。学校自ら探さなくてはならないのはおかしい」と指摘する。「産育休を取ることになった教員が自分で後任を探せと言われた」「がん治療中の校長が担任がいなくなり代替していた」などと明かす教員もいて、代替教員の確保に苦労し、校内の運用で何とか乗り切ろうとしている学校の実態が浮かぶ。

 アンケートでは年度当初は欠員ゼロだった自治体でも、途中で生じていたり、欠員の解消まで七十二日間かかった、といった回答もあった。葛飾区の教員は「ゼロとしている自治体の中にも、実際には欠員が出ている学校はいっぱいあるはず」と指摘する。

正規職員の離職が増え、埋める人材も枯渇

 教員不足の問題に詳しい慶応大の佐久間亜紀教授(教育学)は「教員不足の背景には、この20年ほどで進んだ教員の非正規化と、労働環境の悪化がある」と指摘する。佐久間教授によると、2000年代に入って進められた規制緩和で、教員採用についての各自治体の裁量権が増えたが、教育予算は増えず、給与水準の低い非正規教員を雇い、全体の数を増やす自治体が増加した。

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 一方、正規採用の教員は授業だけでなく部活動、保護者への対応といった多忙さが原因で職場を離れるケースも増加。労働環境の悪化で必要な教員数の不足が増える一方、それを埋める人材も枯渇するという負のスパイラルに陥っている。

 佐久間教授は「教育現場の疲弊が、教員不足という形で子どもたちに直接影響する事態を生んでいる。国は全国の実態を調査するとともに、教員の数を増やし、働き方の見直しができるよう予算を付けるべきだ」と指摘している。


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