いじめや多忙な教員の負担を軽くすることなどを目的に、小中学校で担任制のあり方を見直す動きが出ている。茨城県では、取手市教育委員会が、市立中学で3年の女子生徒がいじめで自殺した問題の再発防止策として、学級担任を固定しない「全員担任制」を新年度に導入予定。中学1、2年生のクラスで始める一方、小学校では引き続き学級担任を置き、部分的な導入にとどめる。守谷市では小学校高学年の一部で教科担任制を取り入れる。

PTA役員らに全員担任制を説明する伊藤哲教育長(奥)=茨城県取手市福祉交流センターで


取手市「全員担任制」 生徒側は相談したい先生選べる 

 取手市教委は8日に概要を市内の小中学校の各PTAに説明した。市教委によると、複数の教員で生徒を見守ることが目的。同じ学年を受け持つ教員4〜9人程度が、交代しながら各クラスの学級担任をする。交代期間は数日や1週間、1カ月ごとなどを想定し、各校に状況に応じ決めてもらう。生徒と保護者は、相談や面談をする教員を選べる。

 中学3年生については、導入初年度で受験期でもあり、急激な変化を避けるため翌年度に見送った。特別支援学級も専門的な支援が必要として、引き続き学級担任を固定する。

きっかけはいじめ問題 担任だけでなく組織的対応を 

 小学校では、一部の授業やクラス運営、給食、清掃などは、学級担任以外の教員にも担当させる。生徒数なども大きく異なるため、具体的な運営方法は各校に決めてもらう。

 教員らが情報を共有して組織的に対応するため、スクールカウンセラーや支援員らも加わる「教育相談部会」を各校に設ける。支援員は、新制度の導入のために新設する役職で、教員OBなどを想定している。

 全員担任制は、女子生徒のいじめ問題で担任が対応しきれなかったことを踏まえ、組織的に対応する方法として第三者委員会が1月に提言した。中学校では、教員が教科ごとに複数のクラスを既に指導しているのに対し、小学校については特に低学年の学級運営などで慎重論も出たという。

教育長「支援員を置いて、学校と一緒に考えたい」

 PTA役員への説明会では、制度のデメリットなどの質問が出され、伊藤哲教育長は「新しいことを始めれば疑問点やトラブルはつきまとう。実際に動いたら問題点は出ると思うが、支援員を置いて学校と一緒に考えたい」と答えた。

 今後は3月にかけて各校のPTAの会合で、校長らが保護者たちに説明する。

 取手市教委によると、全員担任制は茨城県内の公立中学校では初めて。東京都内などの一部で導入されている。

守谷市は「教科担任制」 小学校の理科、音楽、図工

 茨城県守谷市は4月から、小学校高学年の一部授業で「教科担任制」を市内全9校で導入する。5、6年生の理科と音楽、図工では、学級担任ではなく、専門の教員が授業をする。市が独自に教科担任制の教員を雇用するのは、県内初という。

 専門性の高い教科で、専門の教科担任による質の高い授業を目指すほか、学級担任の負担軽減も目的としている。

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教科担任制に向けた小学生の理科の授業=守谷市内で(市提供)


 市によると、小学校の授業は学級担任がほぼ全教科を教えるのが一般的。しかし、実験準備の必要な理科など、特に専門性の高い教科は授業の準備に時間がかかるという。

 このため、理科7人、音楽と図工が4人ずつの計15人を1年間の任期付きで雇う。雇用期間は、実績などにより最長5年まで延長できる。

 教科担任の導入で、学級担任には週に6時間程度の空き時間が生まれる。教材研究や事務時間などに充てて、働き方改革にもつなげてもらう。

 小学校の教員免許や、中学高校の対象教科の教員免許を持つ人を対象に、公募で採用する。

 年間給与が約680万円の常勤10人、年間給与約410万円の非常勤が5人で、計約9000万円を新年度当初予算案に盛り込む。

[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年2月9日]