母乳が出にくい、赤ちゃんが飲んでくれない…。やむを得ない理由でミルクだけ、もしくは混合栄養だと「母乳をあげるべき」という言葉やネット上のうわさが迫ってきて…罪悪感から「涙が出ます」という声が編集部にはよく届きます。
もちろん母乳は赤ちゃんにとって最良ということは分かっているけれども…。悩んでいるママたちに、ミルク育児の不安や疑問を答えてもらい、多くのママが心配していた気がかりについて、よしかた産婦人科副院長 善方裕美先生に答えてもらいました。

善方先生がママたちに伝えたい!そもそもヒトの授乳が軌道に乗るまでは大変なのです

本当は母乳で育てたいと思っていたのに、産後に母乳があまり出ず、落ち込んでしまうママは多いですよね。

「ほかの哺乳(ほにゅう)類と違い、2足歩行のヒトは、胸が重力にさからってついている状態なので、体の構造上母乳が出にくいのです。また、生まれたばかりのヒトの赤ちゃんは首がグラグラで自分でおっぱいに吸いつくことができません。ママと赤ちゃんの両方が授乳が上手になる必要があるのです」(善方先生)

母乳が出にくいのは、決してママのせいではありません。そのことで罪悪感を抱いたり、自分を責めたりしないでくださいね。

ミルク育児のお悩みを解決!Q&A

読者ママから、ミルク育児についての気になる疑問やお悩みを集めました。善方先生にズバッと解決してもらいます。

Q.母乳とミルク、含まれる栄養は違う?

A.どちらにも、赤ちゃんの成長に必要な栄養素が含まれます

母乳・ミルクともに赤ちゃんの成長に必要な栄養素が含まれています。どちらをあげても赤ちゃんは元気に育つので、安心して。

また、何をあげるかよりも、赤ちゃんの要求にきちんとこたえることのほうが、大切。泣いていたらすぐに様子を見る、おなかがすいていたら授乳するなど、こまめに対応してあげるほうが、赤ちゃんに心理的な安心感を与えられます。

Q.ミルク育児だと太りやすいって本当?

A.ミルク自体が太りやすさには影響しません

昔は、母乳よりも哺乳びんから飲むほうが、赤ちゃんが力を使わなくて済むといわれていました。母乳を飲むときは全身の筋肉を使って吸うので、ミルク育児の子よりも母乳育児の子のほうが体がしまって見えていたのかも。現在の哺乳びんは、よりママの乳首に近づいた設計になっているため、大きな違いはないでしょう。

ミルク育児はSIDSのリスクが高いと言われて不安です

A. こまめに様子を見ることが、最良の予防

乳幼児突然死症候群(にゅうようじとつぜんししょうこうぐん/SIDS)は、元気だった赤ちゃんが寝ている間に突然死亡してしまう病気のこと。その病気の3つのリスクといわれているのが
1)受動喫煙
2)うつぶせ寝
3)母乳育児でないこと
とされています。頻回授乳で様子を見ることが多い母乳育児だと、リスクが低いといわれますが、推測の域を出ません。ともあれ、いちばんの予防は、こまめに赤ちゃんの様子を見てあげることでしょう。

(写真/矢部ひとみ 取材・文/ひよこクラブ編集部)

あげるものが母乳でもミルクでも、赤ちゃんが元気に成長することは確かですし、ママが悩みすぎないことがいちばんですね。


■監修/善方裕美先生
(よしかた産婦人科副院長)
横浜市立大学産婦人科を経て、1998年より現職。日々、ママたちからの授乳をはじめとする、さまざまな育児の気がかりにアドバイスをしています。