家の中でずっとこもっていると、育児ストレスがたまりやすくなります。赤ちゃんに八つ当たりして自己嫌悪してしまうことも…。ママの気持ちを落ち着かせ、乗りきる方法を臨床心理士の帆足暁子先生に聞きました。

赤ちゃんはこんなにかわいいのに、どうしてイライラしてしまうの?

人は「こうしたい」という自分の期待に相手が応えなかったりしたときに怒りの感情を覚えます。赤ちゃんはまさしく思いどおりにならない存在。育児中のイライラはだれにでも起こり得るといえます。
ただ、小さな赤ちゃんに手がかかるのは当然だし、親もそれはわかっているはず。ではわかっているのになぜ腹が立つのでしょう?イライラに隠された「本当の理由」を探ることが、肝心です。
たとえば、目の前の赤ちゃんの泣き声に腹が立ってしまうなら……。「なぜ腹が立つ? ←寝不足が原因←パパにサポートしてもらい休息をとりたい←でも頼れない←パパは仕事で忙しそう←休日なら頼れる?」というふうに考えられるでしょう。
自分は何をつらいと感じているのか、根元の原因を探って解決策を見つけることが、イライラ脱出の手がかりになります。

ストレスをためやすい「性格」×「環境」

イライラの原因は人によってさまざまですが、ストレスをためやすい性格や環境はあるといわれています。解決策を考えるときのヒントにしてみてください。

ストレスをためやすい性格について解説します

・まじめで責任感が強いタイプ
他人に甘えるのが苦手で、失敗をするのを嫌がるためストレスがたまりやすい傾向にあります。

・律義できちょうめんタイプ
育児も家事もしっかりこなしたい完璧主義。生活の変化にも臨機応変にすべて対応しようとして疲れきってしまうことが。

・社交的なのに気が弱いタイプ
八方美人になりがちです。押しが弱く板挟みになり、自分を追い込んでしまうことがあるので注意。

ストレスをためやすい環境について解説します

・実親との関係がうまくいっていない
育児に口出しをする実親の存在がストレスを助長します。

・育児に苦戦している
子育てで手一杯のため気持ちに余裕がもてません。あせればあせるほど悪循環に。

・周囲のサポート不足
支えが無いと育児は孤独に。心が弱くなり、負担にたえられなくなりやすいです。

イライラしがちなパターンと対処方法は?

ママたちがどんなときにどんなふうにイライラしているのか、そんなときはどうしたらいいのか、ケース別に帆足先生に対処方法を聞きました。

寝ない・夜泣き。あやすのはママ一人

子どもがやっと夜寝てくれるようになったのも束の間、ここ1カ月くらい夜泣きに悩んでいます。夫は仕事が忙しく、不器用なので、夜はしっかり休んでもらうために寝室は別です。

帆足先生から
寝不足は人を怒りやすくするので、まずは自分の睡眠時間を確保。
寝不足で体力が奪われるとイライラしやすくなるのは人間の生存本能。せめて週末の夜泣き対応はパパに頼んで朝まで眠るなど、寝不足を解消する作戦を立てて。また5〜6カ月ごろは睡眠リズムがまだ整っていない子もいるので夜泣きをすることはよくあります。早起き・早寝の生活リズムを作る、朝日を浴びる、昼は室内でも体を動かす遊びをする、夜は照明を落として静かに過ごす……など赤ちゃんが眠りやすい環境を整えることも夜泣き解消に役立ちます。

遊び食べで離乳食に1時間かかる

ポイが楽しい時期なのもわかってはいるんですが、手づかみ食べさせたくても食べてくれなくて、結局食べれるもの(スープとか、ふりかけかけたりとか)で作り直したり、それでもなんとか掴んで食べるときは頑張らせたいので声をかけ続けて、の繰り返し…で、食べ終わるまでに1時間はかかる…。
疲れる……めっちゃ疲れる………。

帆足先生から
手づかみ食べはしなくても大丈夫。それに、1時間もかかったら、食事が楽しくなくなります。子どもは「食べる」ルールを親のリアクションで学びます。遊び食べになったら「食べないならおしまいね」と穏やかに声をかけて片づけてOK。次の食事まで楽しく遊んだりして過ごしましょう。このときに強く怒ったり、親のリアクションがオーバーだと子どもは遊びだと思って繰り返すので逆効果。淡々とルールを教えましょう。

後追いがピークでトイレにも行けない

10カ月の1人娘ですが、8カ月ごろから私の行動に敏感になり出しまして…今は立ち上がると「ふえぇ!?」
トイレに行くと追いかけてきつつギャン泣き…。同じ部屋に居ればひとり遊びもできますが、すぐに抱っこ要求してきます。

帆足先生から
後追いはママのイメージを作る時期。
赤ちゃんが泣いても「待っててね」と穏やかに声かけをして、トイレに行きましょう。家事で手が離せないときも同様です。戻ったら「待っていてくれてありがとう!」とオーバーにほめることを繰り返しましょう。この繰り返しが赤ちゃんに「ママは離れても必ず戻って来る」という見通しとなり、泣かずに待てるようになります。赤ちゃんの後追いにイライラしながらかかわると、かえって赤ちゃんの不安感を刺激してしまうので注意しましょう。


監修/帆足暁子先生 取材・文/中澤夕美恵、ひよこクラブ編集部

「赤ちゃんへのイライラと思っていても、実は自由に外出できないことの不自由さがイライラの本当の理由かもしれません」と帆足先生。
「大切なことは二つ。まずはイライラする自分を責めないこと。もう一つはそのイライラを自分の中で抱え込みすぎないこと。限界まで抱え込むと、だれも当たらないと自分が壊れてしまうから。でもだれかに当たると罪悪感をもちやすくなるので、おすすめできません」帆足先生。
ママがイライラして、そのイライラがなかなか無くならなかったら、ママと一緒にその理由を探し、対処方法を考えてくれる人を頼るのも手です。まずは自治体の子育て部署に電話をかけてみるといいかもしれません。「そのために専門家はいるのですから」と帆足先生は言います。

監修/帆足暁子先生(ほあしあきこ)
一般社団法人 親と子どもの臨床支援センター 代表理事 
Profile
公認心理師・臨床心理士。保育士・幼稚園教諭1種免許を持つ臨床心理士。クリニックでの育児や心理相談、大学での保育者養成等を経て、子育て相談や心の相談、保育支援に携わる。


※文中のエピソードは口コミサイト「ウィメンズパーク」からの抜粋です。