テレワーク推奨により、夫や妻が自宅で仕事をするようになったというご家庭が増えています。その中で今まで知らなかった相手の顔を知ることになり、戸惑う人がいるかもしれません。テレワークで見えたパートナーの「外の顔」について、夫婦カウンセラーの木村泰之さんにお話を聞きました。

木村泰之
夫婦カウンセラー
一般社団法人夫婦問題レスキュー隊 代表理事。3万人以上のカウンセリング、夫婦カウンセラー養成、セミナー、相談者交流会等、様々な形で日々アドバイスを行う。
「夫婦カウンセラー木村泰之ブログ(https://www.41-22.net/)」は毎日更新中。

「自分の知っているパートナー」とは

普段当たり前のように一緒に暮らしている夫婦。ですが、結婚する際に相手を生涯の伴侶として選んだ決め手を思い出してみると、結局のところ性格がポイントだったという方は少なくないはずです。
女性の場合、たとえ第一印象で「かっこいい!」と感じた男性でも、話してみて何か噛み合わないと思えば恋人にもならなかったはずですし、逆に見た目は全然好みでもないのに「この人思ったよりも優しいんだ」「結構真面目で仕事熱心な姿に惹かれる」「少しおっちょこちょいだけど、謙虚な所が好き」などだんだんと魅力を感じて、恋人に発展することもあります。

「想定内の相手」に安心している

さらに結婚となると一生を共に暮らすわけですから、なおさら性格が重要となるのは言うまでもありません。付き合うなかで今後の生活を想像して、「こんなときには私をフォローしてくれる」「結構弱い所もあるんだ」「こういう時に怒るのね」など、夫の性格を把握し、理解したうえで結婚します。
つまり、ともに生活する上では、自分にとってパートナーは「よくわかっている人」「困らない人」であることが望ましいのです。もちろん結婚した後でわかる性格や癖も出てきますが、大体は自分が想像できる相手です。これは言ってみれば「想定内の相手」であるという安心です。想定内の相手とは、自分にとっては都合のいい相手であり、驚きのない相手でもあります。

しかし、実はそれはあくまでも「結婚するまでの姿」という条件付き。結婚して時間が経つにつれ、パートナーもさまざまな経験を積み、年齢相応の考え方を身につけ、出会う人などで性格も変化していきます。自分の知らない外での環境が、いつも家で見るパートナーを少しずつ変えているのです。

長時間家にいることで初めて見るパートナーの姿

朝早く家を出て夜遅く帰ってくるパートナーとは、これまで夕食やたまの休日くらいしか一緒に過ごすことがなかったという人は多いはず。そんな中、会社からテレワークの指示が出たことにより突然、夫婦が長時間ともに過ごす状況になります。普段は家にいない時間に夫婦ともにいることで、これまで見たことのない姿が出てきます。

場所ではなく相手で変わるパートナー

例えば、家で会社の人やクライアントと電話をしている夫は「承知しました、いえいえ、こちらこそありがとうございます」「ハハハ、そうなんですね、僕もそう思っていました」「それじゃあダメだろう、全然意味ないよ、もう少し考えろよ」など、想像以上に喜怒哀楽を出して会話をしているのではないでしょうか。そして電話が終わっても、夫はしばらくそのまま温厚だったり、テンションが高かったり、怒った表情をしていたり。
そんな姿を見て、「私にはちっとも優しくないのにこんなに丁寧な口調で話してる」「思い切り笑ってる、こんな顔見たことないわ」「温厚なあの人がこんなに強く言うんだ」など、初めて見る夫の姿や口調に驚くこともあるはず。想定外の夫に接することで「夫をわかっていたつもりだったけれけど、そうでもなかったんだ」「同じ家にいる夫でも、こんなに違うんだ」と感じるはずです。
そして、それはまた夫から妻に対しても同様であると言えます。

パートナーの外の顔を知る3つのポイント

テレワークがきっかけで、自分の知っているパートナーがすべてではなかったという事実を知ることになります。これは、驚きでもありショックでもあるかもしれません。
パートナーが「外の顔」になる理由を、3つに分けてご説明します。

パートナーは社会性のスイッチを切り替えている

第一に、パートナーは家と仕事とで社会性のスイッチを完全に切り替えています。家で見せる姿は気持ちがオフになっているので、夫や妻、パパやママの姿がメインです。しかし仕事では、組織やクライアントへの責任で頭が一杯。外ではビジネス世界の一員という「社会性のスイッチ」をオンにしている顔を持っています。

パートナーは上下関係の中で生きている

第二に、パートナーは上下関係の中で生きています。多くの場合、パートナーには上司や部下がいて、その中間にいながら仕事をしています。家では上下関係はなく、命令を受けたり出したりすることはありませんが、外では平身低頭になったり、強い口調になることも必要なのです。

パートナーは自分の存在感を出したい

第三に、パートナーは自分の存在を示したい意識が強くあるということです。家の中ではそれほど必要ありませんが、会社では自分に存在感がなければ浮いてしまいますので、必死に成果を残そうという行動や、自分が仕切るという気持ちが現れます。その中で、営業トークや理論武装した姿がふんだんに出てきます。

知らないパートナーを理解する意欲が重要

仕事中のパートナーには、以上の三つの意識が自分の想像以上に働いているのです。
自分から見るとパートナーはパートナーでしかありませんが、相手は一人の社会人であり、組織の一員であり、競争意識を持っている人間です。そういう顔を持っているということが、テレワークを通じて垣間見えることでしょう。

これまで知らなかったパートナーの顔を知ること、それは「知らなかった」と驚くだけではなく、相手への見方を変える転機にもなります。
普段知っているパートナーは、全体のごくわずか。「相手はこういう一面も持っているのだ」という発見が、自分の固定観念を捨て、夫婦の見方を変えてくれるはずです。「相手のことをもっといろいろな角度から見よう」「自分の知っている姿だけで判断して接していてはいけない」という意識は、これからの夫婦にも大きく役立つはずです。

家族以外の人と接するとき、パートナーは家族の知らない面を数多く出しているはず。新しい発見によって夫婦関係がプラスに働くよう、少し意識を変えてみてはいかがでしょうか。