「授乳をしようと抱きあげたら体が熱かった」「いつもと様子が少し違うと思って赤ちゃんに触れたらすごい熱」などの経験はありませんか? さっきまでご機嫌だったのに…突然熱を出してびっくりというとことは乳幼児期にはよく起こることかもしれません。突然の発熱に慌てないために、日ごろから情報を得て、シミュレーションをしておきましょう。帝京大学医学部附属溝口病院の小児科医・黒澤照喜先生にとっさのケアやおうちのケアの基本を聞きました。

慌てないで。全身状態をチェックして受診の判断をしましょう

発熱はさまざまな病気の症状として現れます。赤ちゃんの場合、38度以上を「発熱」と考えますが、体温の高さだけにとらわれすぎず、全身状態をチェックすることが大切です。

【診療時間外でも至急受診】
□けいれんを起こした。または、反応が悪い

上記の場合は、救急外来に連絡して自家用車かタクシーで向かうか、救急車を呼ぶなどして、できるだけ早く受診してください。


赤ちゃんは体温調節機能が未発達なため、厚着などで体に熱がこもって一時的に体温が高くなることもあります。まずは、着せすぎ・かけすぎていないかを確認します。着せているものやかけものを減らしてから30分後に、もう一度熱を測りましょう。
そのうえでどのような形での受診が必要かを赤ちゃんの様子や症状で紹介します。

【診療時間外でも受診】
□3カ月未満の赤ちゃんで、熱が38度以上ある
□3カ月以上の赤ちゃんで、熱が38度以上あり、ゼーゼーしている
□ぼんやりしているなどいつもと様子が違う
□6時間以上おしっこが出ない
□元気がなく、ぐったりしている
□深く眠れずにウトウトしている
□唇や口の中が乾いて、目がくぼんでいる
□母乳、ミルク、水分を受け付けない

以上のいずれかの症状があるときは、病院の診療時間まで待たず、休日診療や夜間外来を受診してください。

【診療時間内に受診】
□元気で食欲はあるが、鼻水やせきが出ている
□元気で食欲はあるが、嘔吐(おうと)や下痢をしている
□発熱に気づいた翌日、症状が悪化した
□水分は受け付けるが、食欲はない
□何をしても機嫌が悪い

以上のいずれかの症状があるときは、おうちケアをしながら、診療時間内に受診しましょう。


発熱していても「元気で食欲があり、おしっこが出ている」場合はおうちケアで様子をみていて大丈夫です。

初めて育児でもあわてない。おうちでのケアの基本とポイントはコレ


赤ちゃんの症状がおうちケアで様子を見ていていい場合や、受診後のおうちケアについて基本の考え方とポイントを紹介します。

【おうちケア①】正確に体温を測り、記録をつける

体温計はわきのしたで測るタイプがおすすめです。泣いた直後や授乳・離乳食直後を避け、わきのしたの汗をふき取り、くぼみに体温計の先をしっかり入れて測定。正確に測れていたら、測定は1日3回程度で十分。記録をしておくと、受診時に役立ちます。

【おうちケア②】水分がとれるかどうか確認し、水分補給をする

発熱時には体内の水分がたくさん奪われます。水分がとれるか、おしっこの回数や量がいつもより減っていないか確認をしましょう。母乳・ミルク、湯冷ましや麦茶など、意識して飲み物をこまめに飲ませて。

【おうちケア③】汗をよくかくので清潔にする

汗をかいたままだと肌荒れを起こしやすいので、湯や水でぬらしてかたく絞ったタオルなどでやさしく体をふきましょう。ぐったりしておらず、機嫌が悪くなければ、シャワーで汗をさっと流すかおふろに入れてもいいでしょう。ただし、長湯は熱が上がることもあるので避けて。

【おうちケア④】熱の状態に合わせて、衣類や寝具を調節る

熱が上がりきるまでは、手足は冷たく、ブルブル震えることもあります。寒そうなら、かけものなどで温かくします。手足が熱くなったら、熱がピークに達したサインなので衣類やかけものを減 らし、熱がこもらないように調節しましょう。

【おうちケア⑤】気持ちがよさそうなら冷やしてあげる

赤ちゃんが気持ちよさそうなら、タオルでくるんだ保冷剤を両わきや太もものつけ根に当て、冷やしてあげてもOK。ただし、感染症 による発熱を抑える効果はないので、赤ちゃんが嫌がるときは無理に冷やさなくて大丈夫です。太い血管が通っている、両わきや太もものつけ根(鼠蹊部)を冷やしましょう。

ここも気になる発熱のことQ&A

Q発熱時の離乳食はどうしたらいい?

A無理せず、水分補給を優先して。
離乳食を食べたがらないときは無理に食べさせなくて大丈夫。水分補給をメインにします。発熱から数日間は1日トータルで普段の 1⁄3〜1⁄2量を食べれていれば十分。消化に時間がかかる脂肪分が多いものや食物繊維の多いものは控え、炭水化物やスープ類をベースに食べさせましょう。

Q38.5度以上あるときは、必ず解熱鎮痛薬を使うの?

A体力の消耗を防ぐために必要なときにだけ使って。
解熱鎮痛薬は、原則として体力の消耗を防ぐために、必要なときにだけ使うものです。熱が38.5度以上あり、つらそうで眠れない、泣きやまないときなどに、医師の指示に従って使います。ただし、効果の持続は数時間程度なので、再び熱が上がることもあります。

監修/黒澤照喜先生 撮影/なべ 構成/ひよこクラブ編集部

夏は冬とは違うウイルスが活発になり、ほかの季節とは異なる感染症が流行します。また、気温が高くなると熱中症や日焼けといったトラブルも多くなります。もし赤ちゃんが病気になっても少しでも症状を和らげることができるようにお世話をしてあげましょう。

監修/黒澤照喜先生(くろさわてるよし)
(帝京大学医学部附属溝口病院・小児科)
Profile
東京大学医学部卒業。都立小児総合医療センターなどを経て、現在は帝京大学医学附属溝口病院小児科に勤務。3人のお子さんのパパです。

参考/『ひよこクラブ』2020年7・8特別合併号「夏の病気・事故・けが 赤ちゃん専用救急BOOK」