食べれば食べるほど元気に!?といわれる「エイジングビーフ」の魅力

食べれば食べるほど元気に!?といわれる「エイジングビーフ」の魅力

師走が近づいてくるに従って道路も慢性的な渋滞気味になり、なんだか気ぜわしさが増していきます。
そんな折、街歩きの最中にレストランの看板に「ドライエイジングビーフ」「熟成肉」といった表記を最近よく見かけるようになりました。数年前から注目を集める「ドライエイジングビーフ=熟成肉」ですが、なんとなく「カラダにはよさそう」と思っていても、「エイジングビーフ」がいったいどんなものなのかを知らない人も多いよう。
食べれば食べるほど元気になる!といわれる「エイジングビーフ」。その噂は本当なのでしょうか?

欧州で長い歴史をもつ「エイジングビーフ」

日本では熟成肉=ドライエイジングビーフ(以下・エイジングビーフ)の言葉を、数年前からよく耳にするようになりましたが、「ドライエイジング」の手法は、欧州(ニューヨーク式のエイジングビーフもあります)で古くから取り入れられてきた歴史あるものなのです。
「やっぱり和牛がいちばん!」と思っている日本人に対し、肉に対する価値観が日本と異なる欧州では、水分量の多い赤身肉が主流であり、赤身肉をいかに柔らかく、いかに美味しく変化させるか……といった手法が長年にわたった研究されてきました。その結果、現在の「ドライエイジングビーフ」の手法が完成し、日本にも上陸したといわれています(日本でも独自の牛肉・羊肉・野生の鹿肉といった食肉の保存・熟成方法があります)。

欧州で長い歴史をもつドライエイジングビーフの手法
欧州で長い歴史をもつドライエイジングビーフの手法


腐りかけの牛肉=ドライエイジングビーフは謝った認識

「ドライエイジング」を端的に言うと、肉の“発酵食品”になりますが、納豆、醤油、味噌、漬物、 鰹節などの発酵食品がカラダにいいことは広く知られていますよね。
そこでまず知っておきたいポイントは「腐りかけの肉=エイジングビーフ」ではないという点です。
「エイジングビーフ」の手法とは、急がず、ゆっくり時間をかけ、正確な保存方法にもとづき、肉の部位ごとに異なる熟成技術や、経験に基づいた細かい管理が必要とされるもの。
つまり、購入してきた赤み肉を冷蔵庫で1週間以上放置しても、それは「エイジングビーフ」にはなりません。「エイジングビーフ」には高度な技術を用いた熟成方法が必要であるため、一般の人が「エイジングビーフ=熟成肉」を作ることはほぼ無理とされているのです。

欧州での牛肉の熟成過程
欧州での牛肉の熟成過程

「エイジングビーフ=熟成肉」が完成するまでの一定条件

「エイジングビーフ=熟成肉」を完成させるためには、一定の条件があるのですが、主条件をいくつかあげると……、
●1℃〜4℃の低温に管理された室内
●湿度70%〜80%に管理された室内
●送風状態をコントロールした室内(強い風を当てることで肉の「水分活性」を下げる)
●肉には「自由水」と「結合水」が含まれるが、微生物が繁殖しやすい「自由水」と、外に流出することがなく微生物や雑菌も繁殖しにくい「結合水」をコントロールすることで、肉のジューシーさ、旨み、香りを凝縮させる
●そうした条件下で、赤み肉を20日から長い場合は2カ月ほど寝かせる(熟成させる)

「1」の価値だった赤身肉が、熟成後には「10」の価値に?

食べた時にパサパサした食感の赤み肉であっても、先にあげた条件下に置く(熟成させる)ことで、「これが同じ赤み肉なの!?」と驚くほど肉質や旨みが変化します。
では、きちんとした条件下で寝かせた結果、どんな価値が生まれるのでしようか。
●特定の微生物が生成する酵素によって、凝縮されたタンパク質が旨み成分のアミノ酸に変化
●変化したアミノ酸量が熟成の過程で5倍〜10倍に増すことで、肉の繊維がほぐれ、子どもや高齢者でも噛み切れる柔らかい肉質に変化
最初の肉の価値が「1」だと仮定すると、熟成後の「エイジングビーフ」は高級肉のような味わいに変化し、その価値は「10」倍ほどに上昇するといわれているのです。
また、「エイジングビーフ」の製造工場に行くと、天井から吊り下がった肉の塊は表面が黒ずみ、塊全体にびっしりとカビが生えている様子を確認できます。このイメージが「腐りかけの肉=エイジングビーフ」という誤った認識のもとになったようですね。

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