「リズムが意味を上回る瞬間がある」サカナクション山口が語る、作詞の葛藤

音楽プロデューサー・松任谷正隆が、さまざまな分野のゲストを迎えて新たな魅力に迫るTOKYO FMの番組「JINS presents 松任谷正隆の…ちょっと変なこと聞いてもいいですか?」。4月19日(金)・26日(金)は、サカナクションの山口一郎さんをゲストに迎えてお届けしました。


松任谷正隆と山口一郎さん



◆小学生で書いた《愛と偽り》

松任谷:初めてオリジナルの曲を作ったのはいつ?

山口:小学5年生ですね。「青い空」っていう曲です。

松任谷:俺も小学生だった。5年か、6年。曲は「馬」(笑)。歌詞はどういうのを?

山口:《この青い空に〜映し出された君を見て〜》。

松任谷:すごいね。小学生で《君》なんだ。

山口:その次に作ったのが「手紙」。《愛と偽りはいつも紙一重だけど》っていう歌詞で。

松任谷:なんてませてるの。

山口:何でそうなったのかな。でも僕、フォークだったので。どこか、演歌調と童謡が混ざってたと思うんですよね。

松任谷:《君》っていうのは、誰に向けたの?

山口:いや、誰にも向けてないですね。僕、初めてカバーしたのが、イルカさんの「なごり雪」だったんですよ。あとは吉田拓郎さんの「結婚しようよ」とか。

松任谷:両方とも俺がやってるよ。

山口:そうですよね。そういう曲をコピーして、そこでコードを覚えて、メロディーと言葉の関係性やリズムをなんとなく感じて、真似をしてたっていうか。好きだと思ったものを自分が作ると、どうなるのかっていう。

松任谷:真似にしては立派だよね。

◆小4&今の“グッとくるメロディー”

松任谷:最初にグッときたメロディーは覚えてる?

山口:The Beatlesの「A Hard Day's Night」ですね。こんなにすごいメロディーがあるなんて、みたいな。

松任谷:どこに? 頭のところ?

山口:そうですね。ジャーン!から《It's been a hard day's night〜♪》って。小学4年生のときでした。僕、最近、ハマってるものがあって。相撲が始まるときの太鼓わかります? 「パンパンパパパ...(メロディーを口ずさむ)」。

松任谷:俺には「テンテン」って聞こえる。

山口:あれ、跳ね太鼓っていうんですけど、改めて聞いてもらいたいんです。たぶん、ヨーロッパのダンスミュージックのトラックメイカーが聞いたら「やばい」って言うと思う。太鼓の音しかないんですが、踊れて、かつ、裏切られるんですよ、つねに。「裏切られてるけど気持ちいい」瞬間っていうのが、音楽のなかで最も幸せな時間だと思うんですね。究極の隙間。

松任谷:サカナクションも、俺は“余白の美学”だと思ってるよ、ずっと。

◆リズムが意味を上回る瞬間

松任谷:じゃあ、小学校のころに読んでた本で、特に印象に残っているものは?

山口:今も自分のなかで、絶対に外すことのできない詩があって。石原吉郎さんの「竹の槍」なんですが、《直喩を水平に保ち》という1文があるんですよ。当時、小学6年生か中学1年生だったんですけど、全然理解できなくて。でも、その響きだったり字面だったり、リズムにすごく感動したんです。だから、リズムというものは、意味を上回る瞬間があるんですよ。

松任谷:わかるね、それは。

山口:メロディーと歌詞が同時に出てくるときは、やっぱりいい歌になるんですよ。だけども僕は、ほぼ8割は曲が先なんですね。鍵盤で作られたメロディーに対して、言葉を当てなきゃいけない。でも、そうすると違うリズムになってしまうじゃないですか。極力、《ラララ》で歌った気持ちよさや母音を残したいんですけど、限界がある。その究極の難しさみたいなのが、僕にはつねにあるんですね。

松任谷:それ、みんなあるよね。

山口:「いいリズムでさえあれば、意味なんてどうでもいいや」と思って書く時間がすごくあるんですよ。でもやっぱり、曲を発信する立場としては、歌詞にちゃんと意味があって、みんなが共感できるものじゃなきゃいけない。そこが僕の葛藤です。《直喩を水平に保ち》で感じた、リズムが意味を上回る感じ。そこに、自分はすがりたいなと。

松任谷:詞を書いてるときは、どんな感じ?

山口:3時間サイクルなんです。3時間集中して、30分ないし1時間リフレッシュして、また3時間やって、30分、1時間で見直す。それを1日ずっと繰り返します。

松任谷:じゃあ、寝ないんだ。

山口:寝ないです。つねにパソコンのデスクで書くんですけど、今回、床ずれ起こしたんですよ、おしり。座りすぎて(笑)。

後編はこちら(5月22日21:30公開予定)。

<番組概要>
番組名:JINS presents 松任谷正隆の…ちょっと変なこと聞いてもいいですか?
放送日時:毎週金曜17:30〜17:55
パーソナリティ:松任谷正隆
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/personality/view.php?id=85


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