ようやく開幕が決まったMLBだが、すべての選手がプレーするとは限らない。事実、29日現地時間、ダイヤモンドバックスのマイク・リークと、ナショナルズのライアン・ジマーマンとジョー・ロス、そしてロッキーズのイアン・デズモンドが、今シーズンはプレーしないことを決断したと報じられた。いずれも家族への新型コロナウイルス感染リスクを懸念した決断と見られる。

 彼らの他にも、持病などにより感染リスクが高い――重篤化して命に関わる恐れもある――か、自身でなくともそういった家族と暮らしている選手は難しい選択を迫られるだろう。

 例えば、ディーディー・グレゴリアス(フィリーズ)は腎臓障害、ジェイク・ディークマン(アスレティックス)は潰瘍性大腸炎、スコット・アレグザンダー(ドジャース)とアダム・デュバル(ブレーブス)は1型糖尿病を抱えている。また昨シーズン、カルロス・カラスコ(インディアンス)は白血病によって長期離脱した。

 また、ショーン・ドゥーリトル(ナショナルズ)の妻には喘息の持病があるし、マイク・トラウト(エンジェルス)、ゲリット・コール(ヤンキース)、ザック・ウィーラー(フィリーズ)の妻は、それぞれ妊娠中。シーズン辞退を決断したデズモンドもやはり妻が妊娠しており、ジマーマンも3人目の子どもがまだ生まれたばかりだ。
  本人が「ハイリスク」と診断された場合は、シーズンのすべてを欠場しても、出場する他の選手と同じように年俸をもらうことができ、サービスタイムも加算される。その「ハイリスク」には、配偶者が妊娠中の選手も含まれると一部では報じられたが、基本的には本人が「ハイリスク」と診断されない限り、給料は支払われず、サービスタイムも加算されない。事実、シーズン辞退を選択したリークら4選手には、給料は支払われないことになっている。ただし、『USAトゥディ』紙のボブ・ナイチンゲール記者のツイートによれば、「妊娠中の配偶者がいる選手は、3日間の産休リストに入った期間も支払われ、家族の緊急事態に際しても最大7日間は同様」だという。

 もっとも、現在のMLBで一番の高給取りであるトラウトや、昨オフに投手史上最高額でヤンキースと契約したコールにとっては、金銭やサービスタイムは大きな問題ではないだろう。それに今回のような場合、シーズン欠場を選択したとしても誰も責めないはずだ。開幕は喜ばしいが、ベースボールよりも大切なものがある。それは、命だ。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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